神奈川県大磯町の「旧吉田茂邸」は、車椅子で見学ができる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

なお大磯城山公園全体および大磯町郷土資料館本館のバリアフリー情報は、別稿の「大磯城山公園 バリアフリー情報」をご覧ください。

大磯駅からは約2kmの距離で徒歩30分の案内です。車椅子利用者は車の利用が便利です。

「旧吉田茂邸」には来館者用の有料駐車場があります。身障者用駐車区画は1台分用意されます。

駐車場から階段路ですが、段差回避スロープがあります。

傾斜は緩く一般的な車椅子利用者なら通行可能です。

スロープの先からは、砂利路面や未舗装路面がありますが、車椅子一台分の幅がある舗装通路が整備されています。

通路を進むと管理事務所があります。「旧吉田茂邸」有料駐車場は駐車料金の障がい者減免制度があります。管理事務所の窓口に障害者手帳等と駐車券を提示すると、駐車料金が無料になる減免措置を受けられます。

旧吉田茂邸への入館方法です。旧吉田茂邸の正面入口は階段路です。車椅子ルートは園内に案内表示があります。それに従って建物の裏側にまわります。

建物の横から先は、上り坂のスロープ路です。それほどきつい傾斜ではありません。

建物の裏側に車椅子用の出入口があります。

鍵がかかっているので、インターフォンでスタッフに連絡します。

車椅子用の出入口に段差はありません。旧吉田茂邸内は土足禁止で、靴を脱いで見学します。
車椅子利用者は、自分の車椅子のタイヤを拭いて上るか、館内用の車椅子を借りて乗り換えて見学します。
今回の取材では、自分の車椅子のタイヤを拭いて上りました。出入口にペーパータオルがあり、それでスタッフの方にタイヤを拭いていただきました。
介助者も車椅子用の出入口から一緒に入館できます。その場に介助者用スリッパの用意があり、脱いだ介助者の下足は、車椅子用出入口にそのまま置くことができます。

車椅子用出入口から、正面入口の受付に移動して、入館手続きを行います。
旧吉田茂邸は有料施設ですが観覧料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付で障害者手帳等を提示して減免措置を受けます。

館内のバリアフリー状況です。バリアフリートイレは1Fに1つ用意されています。オストメイトがある広くて綺麗なトイレです。ユニバーサルベッドはありません。

1Fは応接室と食堂そして展示休憩室、2Fは新館と応接間棟に分かれた構造で、それぞれにエレベーターがあります。
応接間棟2Fの「書斎」は、スリッパを脱いで見学する畳の間ですが、車椅子で畳の上にあがることが許可されました。

「金の間」「銀の間」がある新館2Fへ上るエレベーターは、とても狭いホームエレベーターです。普通サイズの車椅子がギリギリで入るサイズで、大柄な介助者は同乗できません。大型の車椅子はエレベーターの利用が難しいかもしれません。
新館のエレベーターが狭いこと以外は、車椅子での館内見学に大きな問題はありません。

館内各部屋にスタッフが常駐して積極的に解説をしていただけます。また各部屋の解説掲示も、分かりやすく丁寧です。
2009年に全焼しましたが、資料に基づき正確に再現された建物ということが分かります。事前知識がなくても、理解が深まります。
家財の多くは火災によって焼失しましたが、蔵書は図書館に預けられていたために本物ということです。また現在展示されている家財は、資料に基づき、可能な限り各地の職人に再現製作していただいたそうです。

2Fの部屋からの眺望は素晴らしい。西湘の海、箱根の山、富士山を臨みます。

2016年に再建されたバリアフリー施設です。旧吉田茂邸は、車椅子で見学できます。
(本稿は2020年2月の取材に基づいています)