略称は「かわはく」。埼玉県寄居町の荒川沿いにある、荒川をテーマにした博物館です。開館は1997年。その後に様々なバリアフリー改修が行われ、一部を除いて車椅子で利用できる施設になっています。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
最寄駅から徒歩20分の案内です。車利用の場合、P1からP3までの有料駐車場が用意されています。有料駐車場の駐車料金は障がい者減免制度があり、無料に減免されます。この一般駐車場から「かわはく」へは坂道を上がります。
そのため「障害者用駐車場」が本館の裏側に用意されています。下の写真は「障害者用駐車場」の入口です。
入口の近く左側にブルーペイントされた2台分の駐車区画があります。
入口から右側に、縦列駐車で利用する3台分の駐車区画があります。この「障害者用駐車場」は、空いていれば自由に無料で利用できます。施設内への入場時に、スタッフに「障害者用駐車場」利用していることを申告してください。
「障害者用駐車場」から本館に入る専用入口があります。段差解消箇所に迂回して、このドアまで車椅子で移動します。
館内に入ると、もう一つドアがあります。ドアの手前にある連絡用ブザーを押して、スタッフを呼びます。
「かわはく」は有料の施設です。また「荒川わくわくランド」と「アドベンチャーシアター」は、さらに施設利用料金が別途必要です。そのすべてに障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。スタッフに障害者手帳等を提示して減免措置を受けます。身障者用通路から本館に入館すると、その先の事務所内で減免措置を受けます。スタッフの誘導と指示に従ってください。下の写真は事務所がある本館の外観です。
本館1Fにバリアフリートイレがあります。スペースは一般的なサイズで、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。
本館の展示室は1Fと2Fの2フロア構成で、通常ルートは階段で2Fへ上がり、展示室内の階段で1Fへ下ります。車椅子の場合、エレベーターで2Fへ上がります。エントランス付近は吹き抜け構造です。
展示室内の階段には昇降機があります。車椅子はこれで1Fへ下ります。スタッフの誘導に従ってください。
2Fは企画展示室で、年数回の頻度で特別展や企画展が開催されます。フラットな床面で、車椅子で問題なく観覧できる展示室です。
企画展示室を出ると、1Fの常設展示を見下ろす回廊にでます。回廊の途中に大型スクリーンを鑑賞する観覧席があります。段差構造の席なので、車椅子ではスロープと同じ高さの位置に車椅子を停めてスクリーンをみます。「あさぎ~荒川の詩~」が毎時00分から上映されます。
1F展示室はフラットな構造で車椅子で観覧できます。
大山沢にあった鉄砲堰4分の1モデルがあり、1日4回鉄砲堰の流れを再現するイベントが開催されます。
また川船に水車小屋をのせた「船車」の再現モデルがあります。かつては川の水力で小麦を粉にしていました。
荒川で輸送に使用された「荷船」でも、再現イベントが開催されます。
1F展示室の出口近くにある「水塚」は、かつての洪水から身を守るための施設。中では猫とネズミの寸劇風解説が楽しめます。
本館の3Fは展望台です。
一般の推奨ルートは階段ですが、車椅子はエレベーターで上がることができます。眼下の荒川の流れ、遠くは群馬や栃木方面の山々を眺望する展望台です。壁の高さは車椅子目線よりも少し低い高さなので、車椅子からは横から上の眺めを見ることができます。
アドベンチャーシアターと荒川わくわくランドのバリアフリー状況です。本館の1Fにあるアドベンチャーシアターは、スクリーンの映像に連動して座席が動く「かわせみ号」に乗船して楽しむアトラクションです。車椅子乗船はできません。乗船箇所には小さな段差があり、階段席への通路は幅に余裕のない階段路です。固定された席に移動する横通路は狭い構造で、一人で席に座りシートベルトします。瞬間的にはガクンと動くアトラクションです。車椅子利用はしているものの、自助レベルの高い介助歩行が出来て、かつある程度の衝撃が楽しめる人なら参加できるアトラクションです。
屋外施設「荒川わくわくランド」は、ウォーターアスレチック。元気な子供向きの施設なので、車椅子利用はできません。
本館の出入口は段差のない構造で幅広い自動ドアです。車椅子で問題なく出入りができます。
その先の屋外スペースに日本一大きい「大水車」があり、記念撮影ポイントが用意されています。車椅子でもっと大水車に近づくこともできます。
そのほかに2つの水車があり、車椅子で内部が見学できる構造です。下の写真はコンニャク水車です。
フラットな路面から、複雑な内部構造が見学できます。
こちらは精米水車です。
正面から内部の動きを見学できます。
別棟のレストハウスはバリアフリーです。屋外部にバリアフリートイレが1つあります。出入口はフラットな自動ドアです。
館内もフラットな構造です。
1F屋内はフリーテーブルが配置されています。
2Fレストランへはエレベーターで移動できます。
屋外施設「荒川大模型173」は、荒川の源流から東京湾までの流域を1000分の1の縮尺で再現した地形模型です。すべて舗装通路から車椅子で見学できます。
「ようばけ」などがある「古秩父湾」であった「河岸段丘域」から始まります。
リアルな模型とその解説があります。
大模型の途中で本館を振り返ると、川合玉堂の大陶版画「行く春」が鑑賞できます。
下の写真は東京湾に流れ込む最終地点の模型です。
舗装通路をその先に進むとミニ水族館「渓流観察窓」があります。下の写真はヤマメが泳ぐ大型水槽です。
このような小型水槽もあり、車椅子で鑑賞できます。
埼玉県立川の博物館「かわはく」は、「アドベンチャーシアター」と「荒川わくわくランド」は車椅子向きではありませんが、その他の屋内外の展示と展望台及び休憩施設は、すべて車椅子で鑑賞できるバリアフリー施設です。大人から子供まで幅広い層が楽しめます。
(本稿は2021年9月に執筆しました)