バスタ新宿のバリアフリー状況と高速バス車椅子対応の現状と課題

新宿駅南口のバスターミナル「バスタ新宿」は2016年に開業したバリアフリーなターミナルです。2020年には法律が改正されて「特定車両停留施設」となり、正式にバリアフリー法対象施設に位置付けられました。

バスタ新宿

甲州街道に面するエントランスが2Fで、3Fが高速バスおり場とタクシー乗降場、4Fが高速バス乗り場です。

エレベーターは4系統で合計6基、バリアフリートイレは4Fに2室、待合室には車椅子優先スペースが設けられています。バスターミナルとして、車椅子利用上の大きな問題はありません。

バスタ新宿

鉄道各線新宿駅からの車椅子でのアクセスは少し問題があります。

JR新宿駅からは「新南改札」で直結します。埼京線および湘南新宿ラインが停車する「1・2番」ホームと「3・4番」ホーム、そして成田エクスプレスが停まる「5・6番」ホームからは、問題なくエレベーターで「新南改札」へ上ることができます。

中央線、山手線、総武線などが停まる、7番から16番ホームから「新南改札」へは、エスカレーターの利用になります。JR新宿駅の7番から16番ホームから車椅子で「新南改札」へ向かうには、2つのルートがあります。

各ホームの代々木寄りにあるエレベーターで南口に上がります。そのまま改札を出て、甲州街道を横断歩道で渡り、バスタ新宿へ向かいます。

もう一つのルートは、南口で「1・2番」ホームか「3・4番」ホームへエレベーターで下ります。そしてホームの南側にあるエレベーターで「新南改札」へ上ります。このルートは、雨天でも濡れずにバスタ新宿に行くことができるルートです。

京王線、京王新線、小田急線、大江戸線、丸ノ内線、西武新宿線の新宿駅から、バスタ新宿への移動ルートは、いずれもどこかの出口から地上に上がり、地上路でバスタ新宿へ向かいます。甲州街道の歩道は上り坂になります。

小田急線からのアクセスで、雨天で屋内ルートを通行したい場合は、入場券を購入してJR新宿駅南口から構内へ入り、前出のJR新宿駅内ルートを利用することができます。

京王線、京王新線、丸ノ内線、大江戸線の駅から地下経由でルミネ1に入ると、2Fで段差解消リフトを使用してJR新宿駅南口に向かうことになります。

2020年に東西地下入口からJR新宿駅に入るルートに、エレベーターが完成しました。便利な動線ではありませんが、雨天の場合は入場券を購入してJR新宿駅構内に入り、新宿駅新南改札へ移動することができます。

雨天の日に、JR新宿駅以外の駅から車椅子でバスタ新宿に行くには、新宿西口地下広場からタクシーを使うのも一つの手段だと思います。

西武新宿駅からバスタ新宿までは遠いので、高田馬場駅で山手線に乗り換えてJR新宿駅を利用した方が便利だと思います。

西武新宿駅から地上路を進む場合は、西口ルート、東口ルート、どちらでもほぼ同じ距離で、混雑した歩道、複数箇所の横断歩道を通ります。

西武新宿駅からは、濡れずに車椅子で西口地下広場へ行ける、段差の無い地下ルートは現在のところありません。

バスタ新宿

車椅子で利用できるバスタ新宿ですが、車椅子で乗車できる高速バスは限られます。現時点では羽田空港および成田空港行きのリムジンバスに、車椅子対応エレベーター付き車両が運行されています。車椅子乗車ができるのは各便1名で、予約は1カ月前から受け付けています。

2020年頃から幾つかのバス会社で、リフト付き車両、2階建てバスの1F に車椅子乗車できる車両などの導入が始まっています。たまたま運良く、車椅子対応車両を利用できる可能性はあります。

しかし現状では、バスタ新宿を発着する多くの車両は車椅子対応車両ではありません。車椅子利用者でも短距離の介助移動が可能な人の場合、介助を受けて高速バスのステップを上がり、もっとも乗降口に近い席に座り、車椅子は畳んで収納するような乗車方法が一般的です。車椅子のタイプによっては、形状や重量の問題でバスに収容できないケースもあります。

バスタ新宿からは、東北、甲信越、東海、関西、中国四国方面行きの長距離バスが運行されています。長距離バスでは途中のSAなどで休憩がありますが、休憩の際に乗員による介助支援はできないので、介助者の同乗を求めるバス会社もあります。何よりも安全が大切なので、このような対応を単純に非難することはできません。

また現状ではすべてのバスターミナルが、バスタ新宿のようなバリアフリー施設ではありません。目的地によっては、到着後の車椅子対応に問題があります。

リフトやエレベーター付きの車椅子対応バス車両は値段が高くなるので、低価格で新幹線や飛行機と競争するバス事業者にとっては、簡単に購入できる車両ではありません。

リムジンバスを運行する東京空港交通(株)によると、バス停となる都内のホテルは高さの問題があり、2階建てバスは運行できないそうです。

全国のバスターミナルのバリアフリー基準は、2021年にまとめられました。その実現はまだこれからです。

バスターミナルに関するバリアフリー基準等については、以下の2稿もご参照ください。

「歩道・バス停・駐車場・トイレ 道路空間のバリアフリー化ガイドライン」

「バリアフリー法のガイドライン 駅・空港など旅客施設の車椅子への配慮」

バスタ新宿

日本を代表するバスターミナル「バスタ新宿」はバリアフリー施設です。しかし車椅子での高速バス利用には課題があります。

(本稿は2022年6月に書き直しました)

食と農のイベントハウス JA東京アグリパーク バリアフリー情報

東京都新宿区。新宿駅近くに2017年4月に誕生した「JA東京アグリパーク」は、全国のJAのイベントが週替わりで開催される施設です。

場所は新宿駅南口から徒歩4分の案内。甲州街道に面した「JA東京南新宿ビル」の1Fです。周辺の歩道はフラットで、店舗エントランスに段差はありません。店内もフラットな構造で、車椅子での利用に大きな問題はありません。

トイレは一般個室トイレが2つ。バリアフリートイレはありません。杖で歩くことができる人なら、問題なく利用できるトイレです。

「東京」と名乗っていますが、全国JAのアンテナショップです。

開業当初は月曜日が定休でしたが、現在では日曜日と月曜日が定休日で、火曜日から土曜日にかけて、週替わりでイベントが開催されます。

「JA東京アグリパーク」は、車椅子で利用できるイベントハウスです。

近隣にある服飾専門の博物館「文化学園服飾博物館」を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2019年10月に執筆しました)

都心最高峰 新宿箱根山への車椅子での近づき方と楽しみ方

東京都新宿区の「都立戸山公園」内にある「箱根山」は、江戸時代に築かれた山手線内最高峰の人造の山です。車椅子で登山は出来ませんが、中腹の森から山頂を仰ぎ見ることはできます。無理をすれば車椅子でも近づけるルートを紹介します。

都心最高峰 新宿箱根山

箱根山とは、この地が江戸の御三家、尾張徳川家の江戸下屋敷であったとき、庭園の池を掘った残土で造られたスケールの大きい築山です。江戸時代の富士山信仰により、各地にこの種の人造山がありますが、現存する最大スケールの築山がこの箱根山です。標高は44.6mです。

尾張徳川家の江戸下屋敷

その後、ここは旧日本陸軍の戸山学校になり、近年、地中から大量の人骨が出土しましした。現在でも、旧陸軍が建設した建物の基礎部などがそのまま放置されている場所もあります。日中でも人気のないエリアで、夜は幽霊やお化けの目撃証言が多々ある心霊スポットでもあります。

旧日本陸軍の戸山学校

箱根山の周辺は、都営住宅や福祉系、研究系などの公的な施設が並ぶエリアです。他に戸山教会や幼稚園があります。箱根山の近くには、CVSなど商業店舗は全くありません。駅からは距離があり、箱根山の近くに一般利用できる駐車場はありません。

現在の箱根山周辺

早稲田駅方面からアクセスすると、箱根山通りが厳しい坂道なので、車椅子では辛いルートになります。

車椅子でも近づけるルート

戸山公園大久保地区方面の明治通り側から真っすぐにアクセスすると、箱根山の麓にでます。そこから中腹までが急な坂道です。このルートも車椅子利用者にはお薦めしません。

車椅子でも近づけるルート

比較的楽なのは、大久保通り方面からいったん都立戸山団地の中に入り、団地側からアクセスするルートです。

車椅子でも近づけるルート

それでも戸山公園に入ると未舗装路面でデコボコがありますが、頑張れば車椅子で箱根山の中腹ラインに行くことが出来ます。

車椅子でも近づけるルート

中腹ラインまで行けば、そこは緑豊かな山の中です。

車椅子でも近づけるルート

登山コースは階段路です。

車椅子でも近づけるルート

箱根山の見どころは紅葉です。とても新宿区にいるとは思えない深山幽谷の紅葉景色を楽しめます。

箱根山の楽しみ方

前出のルートで、箱根山の中腹ラインまで行けば、車椅子で本格的な山の紅葉が楽しめます。

箱根山の楽しみ方

紅葉情報は都立公園のHPでアップされています。見ごろ情報を確認して、出かけることが出来ます。

箱根山の楽しみ方

最後が階段ルートのため車椅子では山頂登頂はできませんが、登頂した人には都立公園の事務所から証明書が発行されます。申告は自己申告。証拠は不要です。事務所は箱根山から離れた戸山公園大久保地区にあります。

車椅子では山頂登頂はできません

箱根山は都心とは思えない自然が楽しめる場所です。ただしアクセスはバリアフリーではありません。

都内で箱根山に次ぐ高い山「愛宕山」と「愛宕神社」の状況を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2019年9月に執筆しました)