バリアフリー法のガイドライン 駅・空港など旅客施設の車椅子への配慮

バリアフリー法のガイドライン 駅・空港など旅客施設の車椅子への配慮

バリアフリー法に基づき、公共交通機関のバリアフリー化が進められています。「段差の解消」など一般的なバリアフリー要件以外に、具体的に車椅子利用者のために何が求められているのか。「バリアフリー整備ガイドライン(2020年3月版)」から、「望ましい整備内容」を中心に、駅・空港・バスターミナル、客船ターミナルなど、旅客施設に推奨されている設備を紹介します。

 

○乗り継ぎルートの円滑移動

飛行機から電車、電車からバスなど、他の交通モードへの乗り換えが車椅子で円滑にできるように配慮する。

その上で、隣接する他社線、公共空間とは連続的に案内サインが繰り返し配置されることが望ましい。

長い通路等では、動線に分岐がない場合であっても、誘導サインは繰り返し配置することが望ましい。

 

○屋外への出入口には庇を設置

車椅子利用者は傘をさすことが難しいため、屋外に通じる旅客施設の出入口には大きめの庇を設置することが望ましい。

 

○サインの掲示方法

構内案内図、旅客施設周辺案内図、時刻表などの掲出高さは、歩行者及び車椅子使用者が共通して見やすい高さとする。

地下駅などでは、階段構造の各出入口に、エレベーターが設置されている出入口までを示す位置案内図を設置し、バリアフリールートへの誘導経路を示すことが望ましい。

移動距離が長い場合、目的地までの距離を併記することが望ましい。

 

○エレベーターのタイプ・サイズ・機能

車椅子使用者の円滑な移動の観点から、設置可能な場合は、スルー型エレベーターを設置することが望ましい。

緊急時の対応等に配慮し、可能な箇所には、ストレッチャーを乗せることができる、奥行きのあるエレベーターを導入することが望ましい。

エレベーターのかご外部から、かご内の車椅子使用者や小児、また転倒した旅客が視認できるよう、ガラス窓の下端は床面から 50cm 程度が望ましい。

ドアが開いた状態は最低 4 秒維持するものとし、車椅子使用者対応の主・副操作盤の行き先ボタンを操作することにより、戸の開放時間が通常より長くなる(10 秒以上)機能を設置することが望ましい。

 

○トイレの配慮

異性介助に配慮し、男女共用車椅子使用者用便房を 1 以上設置する。

車椅子使用者用便房を男女別に設置する場合は、一般トイレ出入口付近等、異性介助の際に入りやすい位置に設置する。

高齢者、障害者等の利用状況に応じ機能分散の考え方を踏まえ、 車椅子使用者用便房(車椅子使用者用簡易型便房を含む)、オストメイト用設備を有する便房、乳幼児連れ用設備を有する便房をそれぞれまたは同一の便房として増設する。

更なる機能分散を図る観点から、必要に応じて、一般便房にベビーチェアや簡易型オストメイト用設備(腰掛便座の背もたれに水栓をつけたもの等)などを設置することが望ましい。

車椅子使用者便房を2 ヵ所以上設置する場合は、右まひ、左まひの車椅子使用者等の便器への移乗を考慮したものとすることが望ましい。

介助者を伴って利用することが想定される便房内には、介助者の同伴に配慮し、カーテンなどを設置することが望ましい。

旅客施設の複数の方面からバリアフリールートが確保されている場合は、経路の方面ごとに、男女共用の車椅子使用者用便房、オストメイト用設備を有する便房、乳幼児連れ用設備を有する便房を 1 以上設置する。

車椅子使用者用簡易型便房を設置する場合は、簡易型と分かる表示をすることが望ましい。

トイレの個室の大きさや備えている機能について、ホームページ等で情報を提供することが望ましい。

車椅子使用者の利用を想定する場合、洗面器の下に床上 60~65cm 程度の高さを確保し、洗面器上面の標準的高さを 75~80cm 程度とする。

排水溝などを設ける必要がある場合には、視覚障害者や肢体不自由者等にとって危険にならないように、配置を考慮することが望ましい。

便器に腰掛けた状態、車椅子から便器に移乗しない状態、床に転倒した状態のいずれからも操作できるように呼出しボタンを設置することが望ましい。この場合、音、光等で押したことが確認できる機能を付与する。

便器に背もたれを設置することが望ましい。

便器に腰掛けた状態と車椅子から便器に移乗しない状態の双方から使用できるように紙巻器を設置することが望ましい。

上肢が動かしにくい利用者に考慮し温水洗浄便座を設けることが望ましい。

小型手洗い器を便座に腰掛けたままで使用できる位置に設置することが望ましく、蛇口は操作が容易なセンサー式、押しボタ ン式などとする。

洗面台周りに石鹸容器やハンドドライヤー等を設置する場合には、仕上がり床面から 80cm~100cm 程度の操作可能な高さで、 洗面台中央から 75cm 程度の範囲に設置することが望ましい。

機能分散の観点から、おむつ交換台は車椅子使用者用便房以外の場所に設置することが望ましい。

障害者等のおむつ替え用等に、折りたたみ式大型ベッドまたは収納式の大型おむつ交換台を設置することが望ましい。

上記の折り畳み式大型ベッド等を設置する場合、畳み忘れであっても、車椅子での出入りが可能となるよう、車椅子に乗ったままでも畳める構造、位置とすることが望ましい。

大型ベッドを設置する際には、介助者の動きを考慮し、ベッドの両側に十分なスペースをとることが望ましい。

手摺りの材質は、冬期の冷たさに配慮した材質とすることが望ましい。

 

○発券機の構造

車椅子使用者が券売機を操作できるように、蹴込みの奥行きは 40cm 程度とする。

 

○待合室のレイアウト

待合室を設ける場合には、車椅子使用者、ベビーカー使用者等の利用に配慮し、室内の動線の妨げにならない位置に130cm 以上×75cm 以上のスペースを設けることが望ましい。

 

○水飲み台

車椅子使用者が使いやすいよう、高さは 70~80cm とする。壁付きの場合には、蹴込みの高さは60cm程度、奥行きは35~40cm 程度とする。

 

○駅の拡幅改札口

車椅子使用者の動作の余裕を見込み、有効幅 90cm 以上とすることが望ましい。

拡幅改札口は、有人改札口ではない自動改札機にある改札口に設けることが望ましい。その際、当該改札口は、車椅子使用者の問い合わせがある場合に対応できるよう有人改札から視認できる位置とする。

有人改札口のカウンターの一部は、車椅子使用者との対話に配慮して高さ 75cm 程度とすることが望ましい。

 

バリアフリー整備ガイドラインでは、車椅子利用者のために、旅客施設に以上のような配慮をもとめています。

(本稿は2020年8月に執筆しました)