障害者支援施設「北総育成園」コロナ集団感染発生時の対応事例

千葉県の施設で発生した新型コロナウィルス集団感染の対応事例が厚生労働省より公表されました。感染者は、入所利用者70名の内54名、通所およびショートステイ利用者12名の内6名、職員67名の内40名。利用者の多くは重度の知的障がい者という状況です。

〇現地に支援対策本部を設置

最初に感染が判明したのは職員1名。その翌日に全職員と発熱がある利用者を検査したところ、集団感染が明らかになりました。

ただちに国のクラスター対策班、千葉県、県の指定医療機関で調査を実施し、対策が検討され、最初の感染者判明から4日後に施設内に対策本部が設置されました。

対策本部は県、市、保健所、医療機関で構成され、大きく4つのチームが編成されました。

「健康管理」は医療機関、県、保健所。

「資材管理」は市。

「人員調整」は県と市。

「データ化」が市と医療機関です。

また対策本部では情報共有のため、毎朝夕にミーティングが行われました。

 

〇利用者の医療方針

環境の変化に適応できない重度障がいがある利用者が多いために、以下の方針が決まりました。

・陽性でも施設内で療養する

・重症化した利用者は対策本部の医師の判断で入院を決める

・入院した利用者の症状が回復したら、施設へ再入所する

 

〇スタッフの派遣

・看護師

医療機関から検温や巡回を行う看護師が派遣されました。また「感染管理認定看護師」により、施設内のゾーイングの徹底、ガウンなどの防護具の使用方法の指導が行われました。

・職員

施設職員の過半が感染したため、市の職員と運営法人の他施設の職員が応援派遣されました。その際、市の職員は近隣の廃校に宿泊しました。

厨房を担当する職員も多数が感染したため、福祉協会の調整で近隣の施設から食事が届けられました。

 

〇終息後の取組

最初の感染者判明から約50日後に、全員の陰性が確認できたとして対策本部は終了しました。

県では、令和2年6月から9月にかけて、県内の障害者施設へ県立病院に勤務する感染管理認定看護師を派遣し、施設内のゾーニングの考え方、施設内での消毒方法や手指衛生方法、個人防護具の取扱い等について助言指導を行うことにしています。

《生きるちから舎ニュース 2020年6月18日》

令和2年度コロナ補正予算 障がい者に係る主な緊急経済対策案

国会に提出された令和2年度の補正予算案の中には、数多くの緊急経済対策が計画されています。厚生労働省から公表されている資料から、障がい者に関係する主な緊急経済対策を抜粋して紹介します。

〇障害福祉サービス等の衛生管理体制確保支援等事業

予算 69億円  国の補助率 2/3

都道府県等が障害者支援施設等へ配布する障害児のための小型マスクの卸・販社からの一括購入等、施設等の消毒、感染症予防の広報・啓発に必要な費用を補助する。

〇障害者支援施設等の多床室の個室化に要する改修

予算 10億円  国の補助率 2/1

障害者支援施設等について、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、多床室の個室化に要する改修経費について補助する。

事業者の負担率は4/1。

〇特別支援学校等の臨時休業に伴う放課後等デイサービスへの支援等事業

予算 123億円  国の補助率 2/1

・学校の臨時休業により追加的に生じた利用者負担の補助に係る経費。

・代替サービスの提供に係る利用者負担の補助に係る経費。

・居宅レスパイトの提供に係る経費。

・感染防止のための福祉タクシー券配布に係る経費。

・学校の臨時休業に伴う給付費の増に係る障害児入所給付費等国庫負担金。

以上の補助をおこなう。

〇遠隔手話サービス等を利用した聴覚障害者の意思疎通支援体制の強化

予算 6億円  国の補助率10/10

新型コロナウイルスや災害時にも活用できるよう、遠隔手話サービス(タブレットやスマホを通じて、遠隔手話を行うことができるサービス)を実施するための導入経費を支援することにより感染予防を進め、地域において聴覚障害者等が安心して相談等できる体制の整備を図る。

〇地域活動支援センターや 日中一時支援事業の受け入れ体制強化等

予算 13億円  国の補助率 2/1

地域活動支援センターや日中一時支援における新型コロナウイルスへの対応に係る支援に必要な人件費や消毒液の購入等を補助する。

〇障害福祉サービス確保のための支援策

予算 42億円  国の補助率 2/3

通所サービス事業所等は、障害児者やその家族の日常生活を支えるため、関係者が密接に連携を図りながら、利用者の居宅を訪問するなど、特別な形でのサービスを提供することが求められている。

通所サービス事業所等に対し、通常では想定されない「関係者の緊急かつ密接な連携」や「特別な形でのサービス提供」に関する取組に対して支援を行う。

〇在宅障害者等に対する安否確認等支援事業

予算 20億円  国の補助率 2/1

「在宅障害者等の自宅訪問等による安否確認、緊急的な相談受付及び情報提供等」と「小規模での研修の開催等を行うために追加的に必要となる経費、研修内容の映像化」に係る費用について財政支援を行うことにより、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止及び在宅障害者等の安心の確保を図る。

〇就労系障害福祉サービス等の機能強化事業

予算 9億円  国の補助率 2/1

障害者の就労を維持・確保するため、以下の事業を実施し、就労系障害福祉サービス等の機能強化を図る。

・共同受注窓口の活性化

・生産活動の拡大等の支援強化

・就労支援等障害福祉人材マッチング支援事業の実施

・障害者就業・生活支援センター(生活支援)の強化

〇心身障害児総合医療療育センターにおける感染症対策のための施設整備

予算 0.95億円   国が直接実施

東京都板橋区小茂根の同センターの「感染症外来等のための改修工事」と「食器食缶洗浄機更新工事」を行う。

〇障害福祉サービスにおけるテレワーク等導入支援事業

予算 5億円  国の補助率 2/1

感染症拡大防止の観点から、在宅就労を推進するために、就労系障害福祉サービス事業所におけるテレワークのシステム導入経費等を補助することに加え、「導入に向けた個別コンサルティング」や「在宅での作業受注に係る営業活動」に係る経費への補助なども追加するとともに、発達障害児・者の支援としても、専用VR機器等を活用したソーシャルスキルトレーニングの学習を推進するなど、多様な支援が可能となるようなパッケージ支援として実施する。

〇障害福祉分野のICT導入モデル事業

予算 4億円  国の補助率 2/3

障害福祉サービス事業所等におけるICT導入に係る経費を助成する。

〇障害福祉分野におけるロボット等導入支援

予算 1億円  国の補助率10/10

障害者支援施設等が感染症拡大の防止、介護負担軽減、労働環境の改善、生産性の向上等を図るためにロボット等を導入するための費用について財政支援を実施する。(補助の上限は1機器当たり30万円)

以上の12対策の予算案を合計すると、約303億円になります。

《生きるちから舎ニュース 2020年6月12日付》

A型B型福祉作業所にコロナ支援一時金50万円 第二次補正予算案

厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部から公表された「令和2年度第二次補正予算案」の中に、

(4)就労系障害福祉サービス等の機能強化事業

①生産活動活性化支援事業

が盛り込まれています。これはコロナ禍で経営に打撃を受けている就労支援継続事業所(A型・B型)への支援一時金です。

公表された資料によると事業の主旨は以下になります。

〇新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止が長く求められる中、就労継続支援事業所の生産活動は、特に大きな影響を受けており、このままでは、事業継続自体が困難になり、地域の障害福祉サービスの基盤、ひいては障害者の働く場が失われかねない状況。

〇このため、就労継続支援事業所の生産活動の再起に向けて必要となる費用などについて支援し、生産活動の存続を下支えすることを通じ、引き続き、障害者の働く場及び利用者の賃金・工賃の確保を図る。

また事業内容としては以下です。

〇直近の生産活動収入が相当程度減収している就労継続支援事業所(A型・B型)に対し、次の費用などについて支援を行う。

・生産活動収入の減収下においても生産活動を存続させるために必要となる固定経費等の支出に要する費用

・ 生産活動の再稼働等に係る設備整備のメンテナンス等に要する費用

・ 通信販売、宅配、ホームページ製作等新たな販路拡大等に要する費用

・ 新たな生産活動への転換等に要する費用

・ 在庫調整等に要する費用や風評被害への対応等に係る広報活動に要する費用等

支援一時金の対象は

「生産活動収入が相当程度減収している就労継続支援事業所(A型・B型)」としています。

支援一時金は「1事業所当たり最大50万円」とされ、100%国費負担として、16億円が予算計上されています。

予算案通り16億円が確保された場合、50万円で単純に割ると、3,200事業所が支援一時金50万円の支給対象になります。

対象となる「生産活動収入が相当程度減収」の具体的な数値は現時点では不明です。

参考までに「持続化給付金」の場合は、前年同月比50%以上売上が減少した中小事業者が対象です。

従来厚生労働省は、国家予算を直接的に賃金や工賃に充てることは認めていませんでした。補正予算が成立し「生産活動活性化支援事業」が執行された場合、この点でも大きな政策変換になります。

《生きるちから舎ニュース 2020年6月9日付》