車椅子で野鳥観察 涸沼網掛公園 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

オオワシなどの野鳥が飛来する茨城県の涸沼。網掛公園は涸沼の湖畔「弁天の鼻」にある茨城町の公園です。アクセスは車が便利。来園者用の広い駐車場が用意されています。

涸沼網掛公園

遊具などがある公園スペースに野鳥観察台が設置されていますが、観察台は階段で上がる構造なので車椅子では利用できません。車椅子でバードウォッチングを楽しむなら、公園から舗装坂道を上がり堤防通路に進みます。距離は短い坂ですが角度はあるので、一般的な手動車椅子利用者は介助者が必要です。

涸沼網掛公園

坂を上がればすぐに涸沼湖畔です。ほぼ180度の視界でバードウォッチングを楽しめます。涸沼周辺には200種を超える野鳥が生息しているといわれています。

涸沼網掛公園

堤防通路は歩行者専用道路で、フラットな舗装路面ですが、ガードレールはないので注意して移動してください。

涸沼網掛公園

涸沼湖畔の網掛公園は、坂道を上がれれば車椅子でバードウォッチングが楽しめる公園です。

(本稿は2024年3月に執筆しました)

涸沼の対岸にある大型公園「涸沼自然公園」のバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ご参照ください。

水戸八景 名勝広浦 車椅子で行く茨城涸沼 バリアフリー情報

茨城県茨城町の「涸沼広浦公園」は、湖畔ギリギリまで車椅子で行ける景勝地です。ただしバリアフリーではありません。現地の状況を紹介します。

「広浦公園」は、県指定の「名勝広浦」とされています。その起源は江戸時代、水戸藩第九代の藩主、徳川斉昭公が「水戸八景」のひとつに選んだこと。公園には斉昭公が読んだ和歌の碑が建っています。湖面に映る中秋の名月を見て読んだ歌です。

県指定の「名勝広浦

淡水と海水が混じり合う汽水湖の涸沼(ひぬま)。6000年前までは海だったのですが、地殻変動などで、涸沼川の下流がふさがれて沼を形成。下流になる那珂川から満潮時は海水が逆流して流れ込む汽水湖となっています。

名物は「ヤマトジジミ」。黒いダイヤとよばれる大粒のシジミです。そして天然のうなぎです。昭和初期までは「涸沼ニシン」が水産業の柱でしたが、乱獲と環境汚染により絶滅したと考えられています。現在では「ヤマトシジミ」などの固有種が絶滅しないように、様々な対策が施されています。涸沼一帯をラムサール条約に登録したのは、貴重な自然を守るためです。

汽水湖涸沼

「広浦」は涸沼の漁港です。シジミを売っているお店、歴史ある鰻屋など、いくつかの商業店舗があります。

赤い鳥居の神社は「大杉神社」。本社は茨城県稲敷市にあり、通称「あんば様」。この広浦の大杉神社のお祭りも、通称は「あんば祭り」。湖上に浮かべた船を舞台にして、踊りを奉納するお祭りです。

祭りのとき、夏のキャンプシーズンは賑わいますが、それ以外の季節は静かな、風光明媚な景勝地です。

赤い鳥居の神社は「大杉神社

広浦公園は、赤い鳥居が浮かぶ水戸八景の景勝地にあります。キャンプ場がメインの公園で、無料駐車場があります。

広浦公園の周辺はフィッシングゾーンで、自由に釣りができます。淡水と海水が混じり合う汽水湖なので、マハゼなどが釣れるということです。

アクセスは車が便利です。涸沼の周囲を走る道路から、湖畔寄りの側道に入ります。

キャンプ場の無料駐車場として、隣接する第一駐車場と、100mほど離れた第二駐車場があります。

第一駐車場はキャンプ場宿泊利用者専用となっていますが、オフシーズンであれば、実際には誰でも利用可能です。

また第二駐車場に停めても、キャンプ場まで舗装路を車椅子で行くことが出来ます。ただし狭い道なので、車が来ると、車椅子を慎重に道の脇に寄せる必要があります。どちらの駐車場にも身障者用駐車区画はありません。

車椅子でのアクセス

公園内のバリアフリー状況です。駐車場からキャンプ場に到着します。

キャンプ場の中央には、未舗装でデコボコですが、車椅子でもなんとか通行可能な通路があり、湖畔に向けて進むことができます。通路の横はBBQ広場です。

湖畔への最後の箇所が、大きな岩がゴロゴロするゾーンです。赤い鳥居まではあと一歩ですが、車椅子では沼の畔や鳥居の下にはたどり着けません。

キャンプ場のバンガローは「ツリーハウス」と呼ばれる階段利用の仕様で、車椅子での利用は出来ません。

キャンプ場の公衆トイレには、バリアフリートイレはありません。

涸沼広浦公園

「涸沼広浦公園」は、多少のゴツゴツ、デコボコは気にならない車椅子利用者なら、湖畔の一歩手前まで行くことができます。

茨城町の「涸沼自然公園」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2016年11月の取材に基づいています)

茨城 涸沼自然公園 車椅子散策ガイド バリアフリー情報

茨城県茨城町の「涸沼自然公園」は、段差やアップダウンがある公園ですが、車椅子で散策が出来る湿地内の木道や園内を散策する舗装路があります。現地の状況を紹介します。

関東唯一の汽水湖「涸沼(ひぬま)」北岸の一角にある入園無料の公園です。涸沼を眺望する高台の展望台、ラムサール条約登録の湿地、さくらの丘などがあります。「あじさいの谷」では、季節には30種類1万株の紫陽花が咲きます。守られた自然のなか、天然記念物の固有種トンボなど絶滅危惧種の生息が多数確認されています。

自然公園なので、基本はバリアフリーではありません。飲料の自販機がある程度で、売店はない公園です。

涸沼自然公園の全体概要

アクセスは車です。約250台程度を収容する無料駐車場があります。未舗装の砂利路面の駐車場で駐車区画はなく、適当に車を停めて利用します。

公園入口の管理棟の前に、1台分だけ舗装された身障者用駐車区画があります。舗装されているのはここだけ。特等席のような駐車スペースです。

駐車場から園内へ入る箇所に公園の管理棟があります。駐車場からみて管理棟の右側にバリアフリートイレがあります。外から利用するビルドインタイプです。今回取材時は、トイレの設備はやや老朽化していましたが、広くて清潔なトイレでした。

公園内の他の公衆トイレにも、バリアフリートイレがあります。チェックした限り、設備面でベストのバリアフリートイレは管理棟のトイレです。

障害者用トイレの状況

舗装された身障者用駐車区画から管理棟へは、フラットな舗装路です。管理棟の中をくぐりぬけ公園内へ向かいます。ここに段差がありますが、段差回避スロープがあります。

そのまま園内のフラットな舗装路を直進します。横には花壇やシダレザクラがあります。

更に公園内を直進すると「若宮川」が流れ、その流域が湿地帯になります。ここに、池の中を車椅子で通行できる木製の歩道が設置されています。

歩道の広さは十分にあり、車椅子での通行に問題はありません。距離的にはたいした長さはありませんが、ラムサール条約登録湿地内を車椅子で通行出来ます。ただし経年劣化によって、木道にはところどころにデコボコがあります。慎重に車椅子を進めて下さい。湿地帯には貴重な植物が育ちます。水中は小魚が多数泳いでいます。「若宮川」を渡ると、公園のキャンプ場エリアに出ます。

管理棟から湿地帯へ

涸沼を一望できるスポットは、小高い丘の上です。複数の丘上りルートが設置されていますが、ほとんどのルートは段差がある未舗装路です。

丘への舗装路は1本です。このルートは勾配が急で車椅子での坂上がりは楽ではありません。ご自身や介助者の体力に応じて、登坂の是非はご判断ください。

坂を上りきると花壇があり、その付近から涸沼が一望できます。「展望広場」へはひどく荒れた未舗装面を進むので、車椅子利用者にはお薦めしません。

涸沼絶景ポイント

丘への舗装急坂路の途中、頭上にある橋は「イトトンボ橋」です。「イトトンボ」とは、1971年に涸沼のヨシ原で発見された天然記念物の固有種トンボ。絶滅危惧種に指定されています。

他にこのエリアで生息が確認されているレッドリストの昆虫は「オオルリハムシ」「ナゴヤサナエ」。鳥類では「オオワシ」「オオセッカ」「アマサギ」「カイツブリ」「ミサゴ」など。植物では「ミズアオイ」「ミズオオバコ」「タコノアシ」など。涸沼周辺は、絶滅危惧種が数多く生息する貴重なエリアです。

涸沼自然公園

「涸沼自然公園」は、湿地内の木道を車椅子で渡ることが出来ます。また坂を上ることが出来れば、涸沼の眺望を楽しむことが出来ます。

「涸沼」の畔に建つ大型宿泊施設「いこいの村涸沼」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2019年9月に一部修正しました)