航空機 車椅子を利用する重度障がい者の利用条件と搭乗方法

車椅子利用者も一般の航空機を利用することができます。

ただし様々な制約、一般利用者とは違う利用ルールがあります。

本稿では、一人での搭乗が困難な重度の障がいがある人が、航空機を利用する場合の条件や搭乗方法を紹介します。

○一般的な搭乗可能条件

航空機の座席が利用できることが必要条件です。したがって、空港で別の車椅子に乗り換えることが出来る、そして機内で座席に移動出来る人は搭乗可能です。

ただし医療的ケアが必要で、搭乗により命に係わるリスクがある人は、航空会社によって利用条件があります。医ケアの実際を航空会社に詳しく説明してください。

一般座席での座位保持に問題がある人は、航空会社によっては、ある程度の機能がある座位サポート器具の貸し出しサービスが用意されています。

特別な対応として、ストレッチャーでの搭乗が出来る航空会社、航空機があります。ストレッチャーは航空機に備えられたもので、自家用は利用できません。

ストレッチャー搭乗には、制約があります。一般搭乗よりも大きなスペースが必要なので、そのスペースが確保できる便であること。そして特別料金がかかります。

またそのような状態の人は、一般に高度な医療的ケアが必要なので、医師や看護師の同乗、あるいは搭乗許可書の提出などが必要です。

航空機 車椅子を利用する重度障がい者の利用条件と搭乗方法

○予約の方法

飛行機によっては、車椅子は1台だけ、などの制約がある場合があります。また座席は早いもの勝ちで埋まるので、予約は早めに入れます。

手馴れた方はWeb予約で座席までとってしまい、後で連絡を入れてもよいのですが、通常は電話で予約をした方が、間違いがありません。

航空会社としては、どういう搭乗方法が可能な障がい者なのか、どの座席がいいのか、という2点が予約時のチェックポイントになります。

旅行代理店経由で申し込みをする場合も、通常は代理店の人が電話で航空会社と話をします。

電話をすると、障がいの状況、車椅子の種類、介助者の有無、座席の希望などを聞かれます。

座席は、通常搭乗口からなるべく近い席が薦められます。

席が決まると、空港への来場の時間や受付カウンターの説明があります。

空港や航空会社によりますが、一般にかなり早い時間に来るように求められます。最近では、専用カウンターがある空港が増えています。

航空機 車椅子を利用する重度障がい者の利用条件と搭乗方法

○空港でのチェックインの方法

指定の時間までに空港に行き、チェックインをします。

チェックイン時に、空港備え付け、または航空会社所有の車椅子に乗り換えになります。

自分の車椅子は、手荷物預かりになります。

電動車椅子の場合は、バッテリーを外して折りたたみます。スタッフの方も手馴れているとはいえ、車椅子の構造はそれぞれですから、特殊な構造がある場合は、よくスタッフに説明をしてください。

搭乗口に入る際のチェックです。車椅子は金属なので、機械チェックが反応します。したがって、重度の障がいがある人も、ボディーチェックを受けます。

航空機 車椅子を利用する重度障がい者の利用条件と搭乗方法

○機内への搭乗方法

車椅子利用者は、飛行機内への搭乗案内が一番早い、優先搭乗になります。

チェックイン時に搭乗口への集合時間を指定されるので、厳守してください。

一般の搭乗客より先に、車椅子利用者と介助者1名が機内に案内されます。

通常、介助者ではなく、空港スタッフが車椅子を押します。ちょっとした段差でも後ろ向きに変えるなど、基本に忠実なとても丁寧な押し方をします。

機内の入口までくると、ここまで利用した空港内用の車椅子では機内の通路を通れないので、機内専用の小型の車椅子に乗り換えます。この乗り換えは介助者の仕事です。

座席横まで行き、座席に移ります。これも介助者が行います。

以上が一般的な連絡ゲートを使用した搭乗の場合です。

地上からタラップを使って搭乗する場合は、一般的なケースでは、空港に配備されている、車椅子用の特殊な昇降装置を利用します。

よくあるのは、一般搭乗客が利用する普通のタラップの反対側のドアに、特殊昇降装置がセットされます。真っ先に案内され、特殊昇降装置のリフトに乗り込み、機内入口に進みます。以後は連絡ゲートを使用した搭乗の場合と同様です。

○機内でのトイレ利用

長時間のフライトの場合、トイレの問題があります。

客室乗務員は、トイレの介助は一切行いません。本人と介助者だけで何とかします。

シートベルトサインが消えている安定した状態の時は、通常トイレまでの移動に機内用の車椅子を借りることは出来ます。

航空機のトイレは狭いので、介助者が一緒に中に入ることは、ほぼ不可能です。

航空機 車椅子を利用する重度障がい者の利用条件と搭乗方法

○目的地到着後の手順

目的地に到着すると、機内から出るのは最後になります。一般搭乗客が全員降りてから、案内されます。

搭乗の逆で、機内専用車椅子に乗り、機外からは空港の車椅子に乗り、手荷物引き渡し場まで、空港スタッフが車椅子を押して案内していただけます。

通常ここで、自分の車椅子が介助者に引き渡されます。

空港では通常の利用者よりも、車椅子利用者は何かと時間がかかります。

航空機 車椅子を利用する重度障がい者の利用条件と搭乗方法

以上は一般的なケースです。利用条件や搭乗方法は、空港、航空会社、航空機体によって変わります。利用前に状況を確認するようにしてください。

(本稿は2020年1月に執筆しました)

別稿で「新幹線 重度の障がいがある人の車椅子での利用方法と注意点」を掲載しています。ご参照ください。

新幹線 重度の障がいがある人の車椅子での利用方法と注意点

鉄道各駅のバリアフリー化は進みました。本稿を執筆している2020年1月現在では、構造的に車椅子で利用できない新幹線の駅は、ほぼ無くなりました。

しかし、重度の障がいのある人と介助者が新幹線を利用するには、まだまだ注意すべきことが多々あります。車椅子乗車のポイントを紹介します。

新幹線 重度の障がいがある人の車椅子での利用方法と注意点

○要事前電話予約

山陽新幹線で一部ネット予約が始まりましたが、車椅子での新幹線利用の予約は、原則前日までに電話または駅での直接予約が必要です。

これは車椅子の仕様や、利用者の障がいの状況などを確認し、利用できる席を確実に予約すること、そして当日の駅スタッフの配置を行うためです。鉄道会社に悪意があるわけではありません。

当日の予約、または直前の予約の受付の可否は、ケースバイケースです。予約した列車に乗り遅れた、などアクシデントが発生した場合は、駅に連絡を入れてください。

なお料金は障がい者減免制度があります。

○席数は希少

新幹線の車両により車椅子席の仕様は変りますが、原則1編成に2席程度しかありません。個室タイプの特別席の場合は、原則1編成に1席です。

席数が極端に少ないので、早めの予約が必要です。

また車椅子利用者のグループで旅行をする場合は、どのようなスケジュールを組むか、考える必要があります。

新幹線 重度の障がいがある人の車椅子での利用方法と注意点

○席の幅は狭い

車椅子席がある車両のドアは、一般車両よりも少し幅広くなっています。それでも横幅が70㎝を超える車椅子だと、車両に乗り込めない可能性があります。大型の車椅子を利用している場合は、予約時に利用の可否を確認してください。

一般にある車椅子席は、ABC席の3列シートの1席を外してABの2席並びになっています。利用する典型的なパターンは、介助者がA席、障がい者は車椅子から下りてB席、そして車椅子は外されたC席のスペースに置きます。

したがって車椅子を置くスペースは、普通車両の1席分です。B席に移動が出来て、かつ車椅子が折り畳める場合は、問題はありません。

車椅子乗車のままで車椅子を置くスペースに乗車すると、一般的なサイズの車椅子でも通路にはみ出します。大型の車椅子の場合は、他の乗客の通行の障害になるほどはみ出します。車椅子を横向きにすると通路を塞いでしまいます。

また車椅子席は車両の端に用意されています。もっとも端の席で、車椅子が通路にはみ出していると、車両出入口の自動ドアが反応して開いてしまいます。

○指定時間に駅に行く

駅のバリアフリー化が進んだので、以前ほど駅員の誘導は必要ではなくなりました。それでも原則として、車椅子乗車は駅員の誘導で行います。

車椅子乗車の予約をすると、原則として駅構内の集合場所と集合時間が指定されます。乗車に余裕のある時間が指定されるので、一般的な感覚よりも早めに駅に行くことになります。

誘導スタイルは駅によって違いますが、一般的なパターンは、集合場所からホーム乗車口まで駅員が誘導する、そして乗車口にスロープを架けて車内に誘導し、席まで案内をします。降車の時も同様の案内があります。

駅員が関わるのはここまでです。車椅子から一般シート席への移動、トイレの介助などは行いません。

新幹線 重度の障がいがある人の車椅子での利用方法と注意点

○車両による特別装備

新しい車両ほど、バリアフリー装備が充実しています。車椅子を固定する装置、手摺付きの広いトイレ、そして重度障がいの人が横になることができるベッドタイプシートがある個室。車両の装備を確認して予約をするのも得策です。

○比較的障がいが軽い人の場合

長時間の歩行や階段歩行が困難で車椅子を利用している人などは、これまでの経験では、必ずしも車椅子席を利用しなくても新幹線に乗車することが出来ます。

短距離の介助歩行が出来て、一般普通シートに乗車可能で、コンポクトに折り畳める車椅子を利用している場合は、車両の進行方向最後席の後ろ側の席と壁の隙間に、車椅子を収容することが出来ます。もちろん車椅子の形状によるので、予約時によく確認してください。

車椅子で新幹線を利用するのは、様々な制約があります。特に重度の障がいがある人は大変です。障がいの状況に応じた最善の席を確保して、新幹線を利用して下さい。

(本稿は2020年1月に執筆しました)

別稿で「重度障がい者の介助をして車椅子で電車に乗車する方法と注意点」を掲載しています。ご参照ください。

重度障がい者の介助をして車椅子で電車に乗車する方法と注意点

車椅子を利用する重度の障がいがある人と電車に乗る場合の、利用方法と気を付けるべきポイントを紹介します。

重度障がい者の介助をして車椅子で電車に乗車する方法と注意点

○ホームでは横向きで待つ

転落防止柵が設置された駅が増えています。安全なホームであれば心配はありませんが、車椅子でホームで電車を待つときは、転落防止のために横向きが基本です。

またホームから下りる階段の近くで待つのは、転落するリスクがあるので避けるのが無難です。

○車内は横向き乗車

車椅子利用者用の乗車スペースがある車両が増えています。

電車の場合、強い横Gがかかることや、急発進はあまり想定されません。あり得るのは急停車です。そのことを想定すると、車椅子を進行方向に対して横向きで乗車していると、身体への衝撃および車椅子へかかる慣性力によるすべり防止に役立ちます。

重度障がい者の介助をして車椅子で電車に乗車する方法と注意点

○車両への乗降は駅員の支援を受ける

ホームと車両の乗降は、原則として駅係員にスロープを架けていただいて行います。通常の場合、乗車駅で駅員から声がかかり誘導され、降車駅へ連絡がいき、駅員が待っています。

スロープの用意、到着電車への事前連絡などがあるので、乗車までに時間がかかります。東京圏で数分毎に電車が運行される路線では、一本待って次の次の電車に誘導されることが多々あります。時間に余裕をもって、行動するようにしてください。

運行本数が少ない路線を利用する場合は、事前に駅に連絡を入れておくと、対応がスムーズになります。

特に階段しかなく、車椅子を担ぎ上げる駅は、前日までに連絡しておくと、駅員が用意をしてくれます。

○乗降駅のバリアフリー状況を事前に調べる

駅のバリアフリー化が進んでいます。それでも、東口は階段のみ、この乗り換え通路は昇降機しかないなど、バリアフリールートが限定的な駅は多々あります。

東京圏で地下鉄を利用する場合は、地上へ出るエレベーターの場所はチェックしておく必要があります。とても不便な場所にでる地上エレベーターしかない駅が多々あります。

○運賃割引の適用方法

各鉄道会社により制度は異なりますが、重度の障がいによって障害者手帳を持つ人を介助して乗車する場合、介助者の運賃が割引になるケースがあります。ケースによりますが、多くの場合半額に減免されます。

運賃半額を適用する方法は、鉄道各社によって異なります。

こども用の半額キップを購入して、駅員がいる窓口の前の自動改札から、障害者手帳を提示して構内へ入る方法。

駅窓口で手帳を提示して、障害者減免用の半額切符を購入する方法。

ICカードを利用する場合は、東京メトロでは、改札にタッチして入場し、降車駅で駅員に障害者手帳とICカードを提示して手操作で運賃を引き落とす方法が推奨されています。

乗車前に、駅係員に相談してください。

重度障がい者の介助をして車椅子で電車に乗車する方法と注意点

○ラッシュの利用は避ける

駅のバリアフリー化が進んでも、混雑した駅や車両を車椅子で利用するのは、やはり大変です。

重度障がい者の介助をして車椅子で電車に乗車する際は、混雑時間帯を避けるのが基本です。

駅のバリアフリー化が進み、車椅子での電車利用は便利になりました。それでも重度障がいの人を介助しての乗香降車は大変です。混雑を避けて、駅員の支援を受けて、電車を利用して下さい。

(本稿は2020年1月に執筆しました)

別稿で「障がいのある人の移動手段 介護タクシーと民間救急車のサービスと料金」を掲載しています。ご参照ください。