文部科学省が学校施設のバリアフリー化事例集を作成

2022年6月「学校施設のバリアフリー化加速に向けた取組事例集」を文部科学省が公開しました。

事例集は3章からなる構成で、第一章は「学校施設バリアフリー化の考え方」として、インクルーシブ教育、地域防災拠点として学校の役割、そして学校内の円滑な移動が確保できるバリアフリー化のポイントなどが整理されています。

https://www.mext.go.jp/content/20220610-mxt_kouhou01-000023031_02.pdf

第二章は「個別事例」集で、11自治体19施設の、既存施設の改修または新築施設のバリアフリー化事例が掲載されています。

https://www.mext.go.jp/content/20220610-mxt_kouhou01-000023031_3.pdf

第三章は「参考資料」で、バリアフリー化に関わる関係法令、国庫補助等や既存不適格建築物の緩和措置等が掲載されています。

https://www.mext.go.jp/content/20220610-mxt_kouhou01-000023031_4.pdf

文部科学省は、令和7年度末までの学校施設バリアフリー化「緊急かつ集中的に整備を行うための整備目標」を定めています。

《生きるちから舎ニュース 2022年6月13日付》

歩道・バス停・駐車場・トイレ 道路空間のバリアフリー化ガイドライン

2022年3月29日に「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」が国土交通省より公表されました。

国土交通省によると「道路管理者が道路施設等を新設、改築及び管理する際に、バリアフリー法や道路移動等円滑化基準に加えて、高齢者、障害者等をはじめとした全ての人が利用しやすいユニバーサルデザインによる道路空間のあり方について、具体的に示した目安」となります。

主な内容を抜粋して紹介します。

○歩道

・車椅子使用者がいつでもすれ違えるよう有効幅員2m以上を確保

・縦断勾配は5%以下、横断勾配は1%以下

・雨天時に水たまりがないよう雨水を地下に円滑に浸透させることができる構造

・車両乗入れ部との接続部の高さは5cm が標準とし、横断勾配の基準を満たす部分の有効幅員は2m 以上を確保

・横断歩道に接続する歩道の高さは2cmが標準

○歩道橋

・高齢者と障がい者の移動円滑化のために必要であると認められる箇所の立体横断施設には、エレベーターを設置

・傾斜路の場合は幅2m以上、勾配5%以下

○バス停

・バス停留所と隙間を空けずに停車できるように配慮

・低床バスにスロープ板を設置できる高さとして、歩道等の高さは 15cmを標準

・車椅子使用者が乗降できない停留所について情報を提供する

○路面電車の停留所

・車椅子使用者のために乗降場の路面と車両乗降口の床面は同じ高さとし、乗降場と車両との間隔はできる限り小さくする

・軌道の隙間は車椅子の車輪がはまらないようにできる限り狭くする

○駐車場

・身障者用駐車施設の数は、全駐車台数が200以下の場合で駐車台数×1/50以上、全駐車台数が200を超える場合は当該駐車台数×1/ 100+2以上

※100台収容の場合=2台以上  300台収容の場合=5台以上

○高速道路などのトイレ

・機能分散のために、車椅子使用者用便房、オストメイト用設備を有する便房、乳幼児連れ用設備を有する便房を、それぞれ又は同一の便房として増設

・一般便房にベビーチェアや簡易型オストメイト用設備などを設置

・バリアフリートイレを男女別に設置する場合は、一般トイレの出入口付近など異性介助の際に入りやすい位置に設置

○バスターミナル

・通路の縦断勾配は8%以下、高さ75cm以内ごとに踏み幅1.5m以上の踊り場を設け、横断勾配は設けない

・券売機や案内のカウンターは車椅子使用者も利用しやすい高さとし、容易に接近できるように蹴込みを設けるなど配慮する

・高齢者、障がい者が利用可能な休憩のための設備を設置

・車椅子使用者の乗降のためにリフト、スロープ等を使用する場合は、事業者側による安全確認や設置の役務の提供が必要

今後はこのガイドラインに従い、道路空間のバリアフリー化が進みます。

《生きるちから舎ニュース 2022年3月30日付》

国交省が都市公園バリアフリー化ガイドラインを10年ぶりに改訂

都市公園におけるバリアフリー化をより一層推進するために、「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」が改定され、2022年3月29日に公表されました。

改定された主な内容を抜粋して紹介します。

○バリア情報やトイレ設備詳細情報の提供

車椅子で通行困難な園路、階段や急な坂道などのバリア情報、トイレのオストメイト用設備については、汚物流し・簡易型のいずれが設置されているかまで、ウエッブサイトで写真や地図を用いてわかりやすく情報提供を行う。

○トイレの名称をバリアフリートイレに改称

「多機能便房」から「高齢者障害者等用便房」」に変更して利用対象者を明確化し、一般的な呼称は「多目的トイレ」から「バリアフリートイレ」に改称する。

○乳幼児用設備を男性トイレにも設置

都市公園において需要が高い乳幼児用設備はバリアフリートイレ以外にも設けることとし、男女別トイレそれぞれに設置する。

○ユニバーサルベッドの導入

バリアフリートイレにおけるおむつ替え用の大型ベッドの設置を「望ましい整備内容」に位置付ける。

○トイレ全体のレベルアップ

従来のガイドラインは一般トイレに関する記述が十分ではなく、一般トイレのレベルが低いことがバリアフリートイレの利用者が増える要因になっている。高齢者や障がい者を含む全ての人に対する利便性向上の観点から、便所全般の基準を引き上げる。また異性の介助者との利用などを想定した男女共用のバリアフリートイレの設置を推奨する。

○車止めの形状の見直し

公園の出入口に設置される車止めが、車椅子通行の妨げになっているケースがある。有効幅については車止めの最上部まで90cm以上を確保したものとする。また車止めを複数列配置する場合は、車椅子使用者が円滑に通行できるような配置とする。避難場所になっている公園に車止めを設置する場合は、可動式のものを設置することが望ましい。

○駐車施設の構造と設備の見直し

駐車区画の奥行きは車椅子用リフト付福祉車両の駐車や乗降にも配慮することが望ましい。

雨天時のために車椅子使用者の乗降に必要なスペースは屋根を設けることが望ましい。

屋根を設ける場合には、大型の車椅子用リフト付き福祉車両の高さ(230cm以上)を確保する。

○野外劇場、野外音楽堂のバリアフリー化

車椅子使用者用観覧スペースは、少なくとも3以上設ける。小規模な施設でも少なくとも同時に2以上の専用スペースとして固定位置に確保する。

車椅子使用者用観覧スペースが高い位置にある場合には、床の端部に脱輪防止用の立ち上がりを設ける。

車椅子使用者の同伴者席は、車椅子使用者用観覧スペースに隣接して設ける。

○ベンチとテーブルのバリアフリー化

車椅子のまま席に着けるように野外卓下部にスペースを確保することが望ましい。

ベンチ、野外卓の下と前面は、平坦で固くしまっていて滑りにくい仕上げとすることが望ましい。

今後公園は、より一層のバリアフリー化がすすみます。

《生きるちから舎ニュース 2022年3月30日付》