生まれながらに重度の障がいがある人。脳梗塞の後遺症がある中途障がいの人。寝たきり、あるいは多少は動けても、水や食事は介助が必要な家族がいる方が大勢います。
部分的にヘルパーさんの支援を受けるにしても、日常的には家族による介助が中心な家庭がほとんどです。
命取りになる誤嚥性肺炎を防ぐために、誤嚥のリスクを最小にするための、水分、食事の介助方法情報を紹介します。ただし障がいの状況は人それぞれなので、最適な方法も違います。したがって、以下に紹介することがすべての人に適している保証はありません、必ず専門医などの意見を聞くようにしてください。
水分補給方法です。一般の人は、飲み物で半分、食事で半分、水分をとっています。食事が十分にとれない人の場合、その分を補填して飲み物で水分を補給する必要があります。
一般的な成人で、一日に必要な水分は2リットルです。一日1リットル以上の水分補給を目指します。基本はとろみ材の利用です。お茶でも、水でも、とろみ材をつけます。
次に温度です。体が弱っているので、常温の飲み物を用意したくなりますが、ある程度、冷たいもの、熱いもののほうが良い、というのが最近の理論です。冷たい、熱い、という刺激が体の感覚を呼び覚まし、肺ではなく食道に入れるのだ、と体が反応するとされています。
飲ませ方は、ゆっくり少量ずつが基本です。そして極力、普通の人が自分で飲むときと同じような体制にします。ベッドの背もたれを上げて、できるだけ通常の姿勢にします。寝たままの水分接種は良くない、というのが最近の定説です。
食事の方法です。障がいの状況に応じて、初期食や中期食を用意します。姿勢は飲み物と同じく、なるべく通常の食事をとる姿勢に近づけます。食事も、ゆっくり少量ずつが基本です。そのため使用するスプーンは、なるべく小さいサイズのものが良い、とされています。
そして介助者が「アーン」で食べさせる場合は、本人と同じ高さに姿勢を併せるのがコツです。よくあるのは、上からの角度で口に入れてしまうこと。パン喰い競争のようになってしまいます。介助する人の手の位置からスプーンを始動し、下から水平までの角度で口に入れます。
食後は最低10分間以上、背もたれを起こした姿勢のままが望ましいとされています。胃から逆流する可能性が高いためです。ただし10分で完全ではありませんし、10分間姿勢が保持できなければ無理は出来ません。介助する人の障がいの状態に応じて、最善を尽くします。
正確な実態は把握されていませんが、自宅介護を頑張っている方が大勢いるといわれています。誤嚥リスクを最小にして、家族の介助を進めてください。
(本稿は2019年11月に執筆しました)