医療行政の大方針の一つに「かかりつけ医」があります。「かかりつけ医」からの紹介状を持たずに大病院に行くと、料金が加算されたり、そもそも診療を拒否されたりします。
重い障がいがある人でも、行政上は全く同じ扱いです。お住まいのエリアに「かかりつけ医」を見つけておくことが必要です。
重度障がい者の診療を拒否するお医者さんもいます。
重度の身体障がいがある人で、薬を処方するとどうにかなってしまうかもしれない人、知的障がいがあり、静かに受診が出来ない人などは、近所に診てもらえる医院が見つからないことがあります。
一般に医師会はエリア制で、ほとんどの場合は市区町村レベルで一つの会になっています。
そのエリアの「かかりつけ医」が、そのエリア管轄の大病院に紹介状を書くのが通常ルートで、エリア外からの受け入れは一般的ではありません。
ただ、難病治療などの場合は、その医師の出身大学の病院などへの紹介があります。
先天性の障がいがある人の場合、幼児の頃から医療機関との関わりがあります。
障がいのある小児専門の病院に子どものころからかかっていた人の場合、18歳を超えると小児病院の診療対象から外れてしまします。
この場合、いったん地域の「かかりつけ医」に診てもらい、成人の障がい者を診る大病院を紹介してもらう、という手続きが原則として必要になってきます。
専門病院への転院などの事情が無くても、住まいの近くに障がいのある人を診てくれる医者がいることは、家族にとっても心強いことです。
近年、歯科は障がい者の受け入れを表明している地域の医院が増えてきました。
内科など他の診療科目の医院で、障がい者の受け入れを明らかにしている地域の医院は、まだ数は少ない状況です。
「かかりつけ医」の探し方の例です。エリアの特別支援学校の校医や、障がい者通所施設の担当医を引き受けている医者は、一般に障がいのある人への医療に理解のある人です。ただし稀に評判が悪いこともあるので、情報を集めましょう。
公的機関に相談するなら、障害福祉相談課などエリアの行政担当部署です。通常、実績のある医者を紹介してくれます。
医者も人間なので、リスクを気にするタイプの人、逆にどんな障がいのある患者も診る人など、様々なタイプの人がいます。
障がいのある本人と家族からみて良い医者と思える「かかりつけ医」と、なかなか出会えないこともあります。
候補の医院が見つかったら、先ずはインフルエンザの予防接種あたりから、受診するのも作戦です。
(本稿は2019年11月に執筆しました)