脳性麻痺など身体障がいのある子どもは、必ず整形外科と関わります。
特別支援学校には、学校医として整形の先生がいて、定期的に「整形診」と呼ばれるメディカルチェックが行われます。
整形外科の領域ですので、外科的な医療についての診断が行われます。
身体障がいのある子どもの家族にとって、外科的な医療の是非はとても悩ましい問題です。
身体障がいのある子といっても様々ですが、本稿では主に脳性麻痺の子どもによくある悩みをご紹介します。
脳性麻痺は残酷な病気で、年齢とともに骨格の奇形が進みます。進行性の骨格異常の病気という側面があると思ってください。
一般的に、年少の頃からよく奇形が発生するのが足です。足首、ひざ、股関節の異常が出現し、ほっておくと奇形が定着してしまいます。
骨の成長が止まる前、つまり10歳くらいまでに、手術をするべきかの判断を迫られます。
手術についての専門的な詳述は避けますが、奇形する箇所を手術で切って正し、ギブスなどで固定して定着させ、リハビリで運動機能を回復させる、そういうイメージです。
大手術で、長期の入院が必要で、正しいリハビリが重要です。
子どもにとっては、傷は痛み、ギブス固定での寝たきりを強いられ、その後に痛みをともなうリハビリを強要されることになります。
ただし、手術をするなら、一般的には10歳くらいまでです。「このまま足が曲がったままでいいのですか」と整形外科医から言われて、家族は悩むことになります。
手術の他に、薬による治療が行われます。
奇形の進行をとめるために、短期入院して点滴で薬剤を投与し、その後のリハビリにつなげる治療もあります。
体の緊張を緩める薬剤を注射によって投与する方法もあります。これは大人になってもある種の緊張性障がいのある方には、施される治療です。
手術、薬剤、リハビリが組み合わされて、整形外科の医療が行われます。
補装具に公的な助成を受ける場合も、整形外科医の診断が必要です。
運動機能を発達させる、あるいは機能低下を抑える、運動を補佐する、などの目的で、足首をサポートするための装具や、その子の足の形に合った装具靴など、各種の装具が開発されています。
これら各種装具の必要性判断は整形外科の領域です。
車椅子も含めて、福祉医療器具に公的な助成を得るためには、資格を有した整形外科医の「治療のために必要です」という一筆が必要になります。
身体障がいのある子供と整形外科は、深い付き合いがあります。
(本稿は2019年11月に執筆しました)