茨城県北茨城市の大津港には、隣接して資料館・物産館・漁協食堂の3つの観光施設があり、いずれも車椅子で利用できます。「北茨城市漁業歴史資料館よう・そろー」「よう・そろー物産館」「大津漁協市場食堂」のバリアフリー状況を紹介します。
〇大津港「よう・そろー」駐車場の状況
アクセスは車が便利です。3つの施設は大津漁港の西側にあり、建物の周囲が駐車スペースになっています。はっきりと駐車区画のラインがあるエリアは一部だけで、フリースペースに自主判断で適切に駐車します。「資料館よう・そろー」のエントランス前は広い舗装路面の駐車スペースで、パイロンの内側以外は駐車できます。
現在は閉鎖されている資料館横の出入口の周囲も、舗装路面の駐車スペースです。
「よう・そろー物産館」と「大津漁協市場食堂」の側面も、駐車できる舗装路面です。
物産館と直売所の港側も駐車スペースですが、ここは未舗装路面です。車椅子利用者は舗装路面のどこかに駐車することをお薦めします。
○「北茨城市漁業歴史資料館よう・そろー」のバリアフリー状況
「資料館よう・そろー」は2007年に開館した施設で、東日本大震災で津波の被害にあいました。エントランスのドアには、津波の高さが示されています。大津港は約2ⅿの津波に襲われました。
メインエントランスは段差のない自動ドアです。「資料館よう・そろー」は有料施設ですが、入館料の障がい者減免制度があり、本人の入館料が無料に減免されます。エントランスにある窓口に障害者手帳等を提示して減免措置を受けます。
「資料館よう・そろー」は2フロア構造の施設で、バリアフリートイレは1Fにあります。
バリアフリートイレは、一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイトが備えられています。
展示室は1Fと2Fにあり、1Fは北茨城の歴史と文化、2Fは名産の「あんこう」を紹介しています。1F、2Fともに展示室内に段差は無く車椅子で観覧できます。1Fからの観覧が通常ルートです。
1Fには大きな船の展示があります。漁業の神「佐波波地祇(さわわちぎ)神社」で、5年に一度行われる春の大祭「御船祭」の「神船」です。
神社の神輿が運び出され、「神船」に載せられます。
そして「神船」が街中を巡る祭りです。「御船祭」は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
次にある第1展示室のテーマは「明日を信じて元気」。北茨城の東日本大震災による被害と復興が紹介されます。
第2展示室のテーマは「海とともに生きる」。漁業のまち北茨城の自然と歴史文化を紹介しています。
漁具を紹介するコーナー。
豊かな海洋資源を紹介するコーナー。
江戸時代に大津港に黒船が来航した史実を紙芝居風に紹介するコーナーがあります。
攘夷思想の水戸藩の対応が分かりやすく解説されます。結末はハッピーエンドのお話です。
第2展示室を抜けると、「神船」の展示に戻ります。1Fの観覧は以上です。
次に2Fの展示室へ上がります。吹き抜け構造のため、1Fより展示スペースは小さくなります。
エレベーターが用意されています。かごのサイズは一般的なエレベーターで、普通サイズの車椅子と2~3名が乗り込めます。
2Fは第3展示室。テーマは「北茨城のあんこう極上の味わい」です。
フラットでスペースに余裕がある展示室です。
あんこうの吊るし切りを紹介するコーナー。
名物どぶ汁あんこう鍋の作り方を紹介するコーナー。
北茨城の「極上の味わい」が並んでいます。
「神船」は上からしか見えない箇所もあり、車椅子で2Fから鑑賞できます。「北茨城市漁業歴史資料館よう・そろー」は、車椅子で観覧できる資料館です。
○「よう・そろー物産館」のバリアフリー状況
物産館は平屋構造の施設で、内部にバリアフリートイレがあります。ただし今回取材時は故障して使用禁止でした。軽食グルメ店、海産物直売店、服飾店が営業しています。
施設内はフラットな構造でスペースに余裕があります。「よう・そろー物産館」は、車椅子で買い物ができる施設です。
○「大津漁協市場食堂」のバリアフリー状況
定食から一品料理まで、魚料理が自慢のお店です。
出入口はフラットな自動ドアです。車椅子で問題なく出入りができます。
店内はフラットでスペースに余裕があるバリアフリー仕様です。
店内にバリアフリートイレがあります。やや狭い個室ですがウォシュレット付き便器が備えられています。
座敷席もありますが、席の8割は車椅子で利用できる可動式のテーブル席です。セルフサービスではありません。席で注文をして、スタッフが席まで料理を届けます。「大津漁協市場食堂」は、席を選べば車椅子で食事ができるお店です。
大津港の資料館、物産館、漁協食堂は、車椅子で利用できるバリアフリー施設です。
童謡の作詞で知られる北茨城市出身「野口雨情」の記念館を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年1月に書き直しました)