茨城県北茨城市の「天心記念五浦美術館」は、太平洋に面した高台の景勝地に建つ美術館です。
開館は1997年ですが、車椅子で利用できるバリアフリー施設で、常設展示の「岡倉天心記念室」、企画展が開催される3つの展示室、講堂、講座室、ライブラリー、カフェ、ミュージアムショップ、そして屋外には絶景を眺望する広場と展望台があります。
デザイン設計の美術館で、外観、内観ともに建築物としての魅力があります。そして美術館の窓からの風景は、一枚の絵画の様です。
アクセスは車が便利です。急坂を上がり駐車場に向かいます。坂を上ると来館者用の無料駐車場がありますが、身障者専用駐車場は更にその上の高さに5台分の駐車スペースが用意されています。
横幅は十分にある身障者用駐車スペースです。前向き駐車をすれば後部からスロープで乗降する車両でも問題なく利用できます。
一段低い地点にある一般来館者用駐車場からでも、スロープ路が用意されています。距離はありますが、ベビーカーは十分に通行可能です。
美術館エントランスへは、身障者専用駐車場の高さから、さらにスロープを上がります。スロープは緩い傾斜で、車椅子で問題なく通行できます。
エントランスの手前にあるのは「月魂の池」です。
池を鑑賞しながらエントランスに向かいます。ここまで来れば、後はフラットな通路です。
エントランスはフラットでスペースに余裕があります。ドアは自動ドアです。
エントランスホールは広々とした空間。コンクリートの梁が印象的なデザインです。
正面に受付があります。茨城県天心記念五浦美術館の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付で障害者手帳を提示して、無料観覧券を発券していただきます。
エントランスホールの横に、カフェとミュージアムショップがあります。どちらも段差のない構造です。
展示室へ向かう通路の段差箇所には、段差回避スロープが用意されています。
なだらかな傾斜のスロープです。車椅子で問題なく通行できます。
館内から大きなガラス面越しに、太平洋が眺望できます。
展示室横の休憩スペースにもガラス面があります。
高台から大海原を眺望する見事な風景を館内で楽しめます。下の写真はいわき方面の景観です。
展示室に向かいます。ドアは自動ドアで、通路に段差はありません。
岡倉天心記念室の入口があります。段差のないバリアフリーな展示室です。
入口正面に岡倉天心のレリーフが飾られています。
昭和17年に新海竹蔵氏によって製作されたレリーフです。
記念室内はバリアフリーで、推定復元された天心の書斎、天心が設計した釣り船、各種資料の壁掛け展示、ケース内展示があります。車椅子で観覧できる記念室です。
企画展示室の近くに小さなトイレがあります。スペースにゆとりがある男女別の個室トイレで、バリアフリートイレを兼ねています。
男女別それぞれのトイレにオストメイトが備えられています。
大きなトイレはエントランスホールにあり、バリアフリートイレが1つ用意されています。このトイレにはオストメイトはありません。
美術館の屋外スペースを紹介します。展望広場は「鷗雲広場」と「滄海広場」、そして展望台があります。移動ルートにアップダウンが少なく、かつエントランスから距離的に近いのは「滄海広場」です。
本来「滄海広場」へは、エントランスホールの裏側にある出入口からほぼフラットに移動できます。ただし今回取材時は、コロナ対策で裏側出入口は閉鎖されていました。
正面エントランスからは「滄海広場」へは、多少のアップダウンがあるルートです。エントランスから美術館を左回りして進みます。スロープ路の横の池は「乾坤(けんこん)の池」です。
ルートの途中にあるベンチがある地点から、大海原が観え始めます。
坂を上り進むと、俳句ポストが設置されている四阿があります。
その横が「滄海広場」です。展望ベンチ付近からは、生垣があるため車椅子からの目線では水平線が観える角度の眺望になります。
「滄海広場」は芝生の丘です。少し無理をすれば車椅子で芝生広場の小高い地点まで上がることができます。
そこからは、車椅子で大海原が眺望できます。
茨城県天心記念五浦美術館は、美術館そのものと、館内外からの大海原の眺望が美しいバリアフリー美術館です。
資料館・物産館・漁協食堂の3つの観光施設がある、北茨城市大津港「よう・そろー」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年1月に書き直しました)