資格を取得してヘルパーとして働く重度障がい者の親

資格を取得してヘルパーとして働く重度障がい者の親

重度障がいの子どもがいる家庭は、毎日の生活がたいへんです。そんな日常の中、ヘルパーの資格を取得して仕事に挑戦する親がいます。年齢層としては、子どもが小学校の高学年から中学生くらいの頃に、資格に挑戦する人が多いようです。

ヘルパーの仕事に挑戦するきっかけとしては、毎日の生活の中に介助の仕事があること、ヘルパーさんを実際にお願いしてその仕事に馴染みがあること、そして「資格をとってうちで働かない」と声をかけられる機会が多いこと、などが挙げられます。

一人親家庭の親で、ヘルパーになり、自分が働いている間は、自分の子どもは別のヘルパーさんに頼む生活をしている人がいます。その人の収入、お住まいの行政の財政状況などによって可変的ですが、ヘルパーさんをお願いした場合は一般に行政からの助成があり、自己負担は料金の一部分だけになります。

経済的な理由以外に、乳幼児期を過ぎて子どもが大きくなると、毎日親とばかり一緒である状況に疑問が出てきます。子どもに意思表明がなくても、親から見てそう考えるようになってきます。一方親としても、毎日自分の子ども100%の生活に、自分で疑問を持つようになります。双方にとって、離れる時間は大切です。

ヘルパーさんになった障がい児の親。仕事が長続きするかはその人次第です。あまり続かなかった人も知っています。家庭の問題、収入の問題、仕事の体力問題、いろいろな壁はあります。

夫婦でヘルパー事業所を開設した家族があります。母が社長、父が専務です。二人揃ってヘルパーとしても一線で活動します。自分達の障がいのある子は、可能な限り社員のヘルパーがみます。事業所はあまり儲からず、忙しいばかりのようです。

社員ヘルパーさんの定着率が低いのが一番の悩みということです。障がいのある若い人相手の仕事よりも、話が通じるお年寄り相手の仕事に移ってしまうヘルパーさんが多いそうです。

障がいのある人を抱える多くの家族が、ヘルパーになる挑戦を続けています。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「重度障がいのある家族との生活とフルタイム勤務の両立は難しい」を掲載しています。ご参照ください。