兄弟姉妹 子供たちそれぞれに障がいがある家族の選択

兄弟姉妹 子供たちそれぞれに障がいがある家族の選択

人が何らかの重大な障がいをもって生まれる確率は、1%とも2%とも言われています。この数値は障がいが低年齢で顕在化したデータであり、事実はもっと高い確率なのかもしれません。兄弟姉妹でそろって障がいのある家族は少なくありません。実例を紹介します。

双子が二人とも障がいを負っているケースは、数多くあります。多胎児はそれだけでハイリスクです。早産、難産の可能性が高く、妊娠期や出産時に脳障害を負う可能性は高まります。

双子の兄弟がともに重度の脳性麻痺の障がいがあるご家庭です。それでもお母さんは、一人で双子用バギーに兄弟を乗せて病院に通います。休日はお父さんもフル参加。ご夫婦で兄弟を育てています。

小学校年代になったころからは、意図して休日は、兄は父、弟は母など、兄弟別々に連れ歩くようにしているそうです。いつも一緒ではいやだろう、という配慮です。

障がい児対象の音楽教室に、毎週脳性麻痺の兄弟を連れてきている人が、お母さんにしてはちょっと年配の印象です。お話を聞くと、自分の娘さんが双子を生み、産後に亡くなってしまったので、自分が孫兄弟を育てているそうです。それでもお婆ちゃんは、前向きで元気に、毎週教室に通っています。

兄弟姉妹 子供たちそれぞれに障がいがある家族の選択

兄弟姉妹がそろって自閉傾向があるケースは、少なくありません。生まれた子供が3人とも自閉傾向が強い、というご家庭を知っています。

自閉症および関連する病気の発症原因は解っていません。兄弟発症の事例は多いのですが、遺伝的な原因説は医学的には否定されています。

3人の成長とともに家族の苦労は増えます。高校卒業後は、子どもを施設へ入所させる道を選びました。週末は帰宅します。いつまでも家族で暮らすのが最善の選択ではない、という判断です。

染色体、免疫系、血液系などの難病をもってうまれてくる兄弟姉妹も大勢います。身体的あるいは知的な障がいを併せ持つケースも少なくありません。

ある難病のため、3人のご兄弟の上のお二人を10代で亡くしている家族。3人目の子どもも同じ難病で脳性麻痺も併発しています。

子どもを2人も亡くし、3人目の子も安心できない状況です。深い愛情をもって、自分の時間を犠牲にして、重い障がいがある末っ子を育てていらっしゃいます。

兄弟姉妹に障がいがある家族は、困難に挑戦しています。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「重度の障がいのある人と家族が人生の進路を選択する年代」を掲載しています。ご参照ください。