知的な障がいのある人への学生ボランティア活動

知的な障がいのある人への学生ボランティア活動

障がいのある人に対してのボランティア活動に、多くの若い人が参加しています。実際に接した学生ボランティアの様子を紹介します。

身体障がいで車椅子を利用し、中度の知的障がいもある中学生女子の家庭が、夏休みの期間、家庭に来て一緒に遊んだり出かけたりしてくれるボランティアさんを求めました。

そしてボランティアサークルに登録していた、女子大生のAさんが来てくれることになりました。半日コースで週に2回、2週間、計4回の予定です。

とても社交的で明るいタイプのAさん。初回は家族の人と一緒に活動をして、トイレの方法や車椅子の使い方などを勉強します。

2回目からは、二人だけで近所にお出かけ。お買い物などをしてきます。

3回目、4回目はちょっと電車に乗ってお出かけ。無事に帰ってきました。

障がいがあるといっても、基本は元気で医ケアがない中学生であること、ボランティア経験が豊富である程度自信のある学生さんであること、そして思い切って人に子ども任せられるタイプの親であること、これらの条件が整うと、このようなボランティア活動が成立します。

 

ある社会福祉法人の活動にボランティア活動で参加した、BさんとCさん。同じ大学1年生の女性のお友達です。初めての参加で、知的障がいのある人が中心のグループの一日遠足でのボランティアです。

それぞれ障がいのある人1名を担当。社会福祉法人のスタッフの指揮の下、安全に気を配りながら、水族館にお出かけです。

もちろん介助が楽なタイプの人を担当しているのですが、初めてのことで緊張が続いたようです。

解散式では「こんなに気を使うとは・・・、でもまた来ます」と挨拶していました。

円滑なコミュニケーションが成立しない初対面の人と過ごすのは、ベテランでも気をつかいます。

 

ある障害児キャンプに参加した学生が、自傷行為が目立つ障がいのあるDさんに、腕を噛みつかれました。

その学生さんが最後の挨拶で「噛まれた腕は痛かったですが、Dさんはいつもあんな痛いことを自分に対してしている、そのことの方が辛いです。」とコメントしていました。

 

身体障がいだけがある人との関わりは、イメージがしやすいところですが、知的障がいやコミュニケーション障がいがある、発語がない、予想外の動きをする、そういうタイプの人との関わりは、経験がないと緊張します。奇声を発して走られたりすると、どうしていいのか解らなくなります。それでも積極的にボランティアに来てくれる学生たちがいます。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「重度知的障がい者の行為や動作から推定される感覚過敏の実例」を掲載しています。ご参照ください。