双子の兄弟が重度重複障がい児 一緒に遊べない子供の生活

双子の兄弟が重度重複障がい児 一緒に遊べない子供の生活

家族として一緒に生活し成長していく兄弟姉妹に、重度の障がいがある人は大勢います。双子で生まれて、一人だけが重度の障がいがあるケースを、障がいのない兄弟からの視線で紹介します。

同じスピードで成長が進むはずなのに、一人はまだ首が座らない、ハイハイが出来ない、など差が出来るので、わかり難い障がいでも、双子の場合はきわめて早期に発見されるケースが多くなります。したがって障がいのある兄弟は、0歳や1歳から専門病院などにかかるケースが多くなります。

重度の障がいがある乳幼児を抱えて、両親そろってフルタイムで働くことは、今の社会では現実的ではありません。働かないと、元気な子は保育園には入れません。

お父さんはお仕事、お母さんは主婦という場合、お母さんが障がいのある子を一人で病院に連れていく際に、双子を一緒に連れて行くのは大変です。

頼めるお祖母ちゃんでもいれば、その間は預けられます。いなければ一時保育なども利用します。

双子の兄弟に重い障がいがある人は、乳幼児年代から、自分だけが預けられることが多くなります。

人生最大級の不幸と向き合う 子どもに障がいがあることを知るとき

幼稚園年代になると、ほとんどの場合進路が別れます。障がいのある兄弟が通える場所が見つかれば、お母さんは大忙しで、双子を幼稚園と通所施設など、別の場所に通わせます。

お母さんが、パートタイムでも仕事を持っている場合は更に忙しさが増します。手をかける優先順位は、やはり障がいのある子になってしまいます。健常な子は、甘える機会、時間が少なくなります。

日曜日は家族でお出かけ。お出かけ先は障がいのある兄弟も、楽しめるところになります。例えば重度の肢体不自由の兄弟がいる場合、潮干狩り、フィールドアスレチック、アイススケートなどが、主なNGお出かけ先のイメージになります。幼少期に家族そろって遊びに行くことに、一定の制限がある環境で育ちます。

小学校以後は、普通校と特別支援学校など、進路がはっきりと違ってきます。近所に住む友達には、そういう障がいのある兄弟がいることを自然な流れで知ってもらいます。昔は障がいのある兄弟の存在をひた隠す家族もいましたが、現在では稀です。周囲も暖かく迎えてくれます。

双子の場合、入学式などの公式イベントは日程がかぶります。保護者は、こっちは母親、あっちは父親と分担して参加します。

兄弟に重度の障がいがある人の人生で、もっとも特殊なことは、兄弟はいるのに、一緒に遊べない、会話が出来ない、コミュニケーションが成立しないことです。

重度障がいといっても状態はそれぞれですが、最重度の場合は、障がいのない兄弟から見た場合、双子の兄弟はずっと動かずにいるだけの人、ということになります。ですから一人っ子と変わらない面もあります。

一方、物心がついたときから、もっとも身近に障がいのある人がいる生活をしています。兄弟に対する親の苦労も全部見ています。障がいのある人が関わる施設や病院なども、幼少期から知っています。双子なのに、一人っ子。障がいの世界のすべてを見ながら成長する。人格形成に影響がないはずがありません。

場合によっては、親亡き後は兄弟の全てを看ることになるかもしれません。双子の兄弟に障がいがある人は、身近にいます。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「兄弟姉妹 子供たちそれぞれに障がいがある家族の選択」を掲載しています。ご参照ください。