利根川が流れる茨城県境町。「道の駅さかい」は改装および増築により、町の観光拠点になりました。開発の概要と道の駅施設のバリアフリー状況を紹介します。
町の観光核施設「道の駅さかい」に隣接して新設されたのが食のスポット「茶蔵」。建物の設計は隈研吾氏。1Fが自然食バイキングレストラン、2Fには特産の「さしま茶サロン」と予約制の鉄板焼き店が入ります。
道の駅から利根川沿い800mほど先にあるのは「河岸の駅さかい」。明治時代からの店舗をリノベーションしてベーカリーとキッチンが入ります。
そして利根川を航行する観光船「さかい」の運行。河川敷のBBQ施設、セグウェイの貸し出しなど、アクティビティにも力が入ります。
「道の駅さかい」は1996年の開業。2019年に大規模なリニューアルが行われました。
地ビールを製造する「さかい河岸ブルワリー」が誕生。地産の美味しいものを何でもサンドする「さかいサンド」を新設。情報館、物産館とも内装をリニューアル。食事処のスペース拡張。そしてトイレ設備の更新。車椅子で利用できる電話ボックスは健在です。
以下、車椅子目線でのリニューアルの詳細を紹介します。
駐車場は第一と第二に分かれています。第二はトンネルをくぐった道の反対側。第一駐車場に身障者用駐車区画が屋根無しで2台分あります。
駐車場と施設敷地内に段差がある構造です。身障者用駐車区画からの段差解消箇所を上り、道の駅施設へと向かうルートは、途中で施設内の車道を信号付きの横断歩道で渡ります。
この横断箇所の段差解消はラフで、車椅子がひっかかるレベルの段差が残ります。
もう一つの施設に向かう歩行ルートは、駐車場の車道内を進み横断して、バス駐車区画の先にある段差解消箇所から施設内に向かいます。このルートの方が、車椅子では楽だと思います。
物産館の中のトイレには、バリアフリートイレはありません。独立トイレ棟の男女別トイレの入口にそれぞれバリアフリートイレが用意されます。入口なので異性介護でも利用できるトイレです。トイレ設備は更新されてウォシュレット付き便器が備えられています。
3つの物販棟が連続する構造の施設です。最初に入るのは「情報館」。観光情報コーナーと、お菓子、お茶、お酒など特産品の売り場があります。
自動ドアでフラット構造なので車椅子での買い物は可能ですが、一部販売棚の配置が悪く、車椅子で通行できない通路があります。車椅子では幅の広い通路を選び、店内を移動します。
「情報館」を出てすぐ左手に新設された「さかいサンド」があります。サンドの販売コーナーとイートインスペースで構成される店舗です。絶対的なスペースはありませんが、混雑していなければ車椅子での利用は可能です。面白いほど多品種のサンドが並んでいます。
「情報館」と「物産館」の中間エリア、「さかいサンド」の前の屋根付き屋外スペースから農産物の販売コーナーになります。
その先の「物産館」は農産物を中心にした直売所と食事処が入ります。出入口は自動ドアで店内はフラットな構造。店内通路に車椅子で通行できないほどの狭い箇所はありません。
※物産館内に2020年8月、アンテナショップ「沖縄県国頭町公設市場」がオープンしました。
食事処は食券式カウンターテイクアウトの軽食店。スペースに余裕があり、可動式のテーブルと椅子が配置されるお店なので、セルフサービスに対応できれば車椅子での利用は可能です。
駐車場はあまり変わっていませんが、2019年のリニューアルで「道の駅さかい」は車椅子で利用者しやすい施設に進化しました。買い物と食事を車椅子で楽しめます。
茨城県にある道の駅を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2019年7月の取材に基づいています)