麻布山善福寺 車椅子お参りガイド バリアフリー情報

東京都港区麻布の善福寺は、都内では浅草寺に次ぐ古い歴史があると伝承される名刹です。境内へは坂道を上りますが、車椅子でのお参りは可能です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

創建者は弘法大師。親鸞が訪れたことを契機に浄土真宗に変わった、と伝承されています。

織田信長に対抗した石山本願寺に、援軍の僧兵をおくった記録が残る古刹です。

幕末には、ここ善福寺が初代米国大使公使館になりました。ハリス公司以下、米国スタッフの居住地はここでした。

本堂のバックにあるのは「元麻布ヒルズ」。タワー棟は29階建てです。

麻布山善福寺には、弘法大師と親鸞に関わる史跡、そして米国大使公使館の史跡、そしてタワーマンションをバックにした現代の風景があります。

歴史と見どころ

アクセスの状況です。麻布十番駅から徒歩圏内です。

境内の駐車スペースは信徒専用です。参道の入口にスペースに余裕があるコインパーキングがあります。

麻布十番方面からアクセスした場合、境内の入口付近まではアップダウンはほとんどありませんが、境内に向かう最後の道が傾斜の強い上り坂です。元気な介助者がいれば、なんとか上ることが出来るレベルの坂道です。

最後の道が傾斜の強い上り坂

最初の見どころは、弘法大師が杖をついたら清水が湧きだしたという弘法大師の「柳の井戸」です。関東大震災や東京大空襲の際には、多くの都民の飲料になったと伝えられています。現在でも少量ですが湧水が流れています。

弘法大師の「柳の井戸」

そして井戸の横には柳があります。「柳の井戸」は坂道の手前の参道にあり、車椅子から見学できます。

弘法大師の「柳の井戸」

境内の「逆さ銀杏」は推定樹齢750年で、都内最大級の銀杏です。この銀杏は、親鸞が土に刺した杖から生まれたという伝承で、枝が下に伸びて逆さに見えないこともない巨木です。

親鸞の「逆さ銀杏」

また墓地エリア入口には、大きな親鸞の立像が建てられています。像は段差の上で車椅子では行けませんが、境内からでも像を見ることは出来ます。

大きな親鸞の立像

ここは初代米国大使公使館の地。境内には米国大使公使館を記念する碑があります。当時は攘夷の熱風が吹き荒れた時代。攘夷派の襲撃を受け、庫裏などが焼失しました。ハリス公司以下は、寺の僧の手配で難を逃れたと伝えられます。

境内には米国大使公使館を記念する碑があります

境内のバリアフリー状況です。「逆さ銀杏」と米国大使公使館を記念する碑には、車椅子で近付くことができます。

境内には福沢諭吉夫妻のお墓、越路吹雪さんの歌碑がありますが、このエリアは段差があり、車椅子で近付くのは苦戦します。

境内の公衆トイレにはバリアフリートイレがあります。

境内のバリアフリー状況

善福寺といえば、東京都杉並区に同名の寺院があり、地名もあります。杉並の善福寺は創建からの歴史が伝承されておらず、「麻布山 善福寺」との関係を示す確たる証拠はないそうです。

現在では幼稚園と葬儀場が目立ちますが、麻布山善福寺は歴史と伝承がある古寺です。坂道を上れれば、史跡が残る境内を車椅子でお参りできます。

東京都港区東麻布のスーパーマーケット「日進ワールドデリカテッセン」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2019年9月の取材に基づいています)

徳川家の菩提寺 伝通院 車椅子お参りガイド バリアフリー情報

東京都文京区小石川の「伝通院」は、車椅子で境内に立ち入ることができる寺院です。現地の状況と寺院の歴史を紹介します。

伝通院

伝通院の寺歴概略です。開山は1415年。その後小さなお寺として続いていました。転機は1602年、徳川家康の生母である「於大(おだい)の方」が逝去。法名を「傳通院殿蓉誉光岳智光大禅定尼」と号し、この寺を菩提寺としたことから「傳通院」と呼ばれるようになり現在に至っています。

「でんづういん」と濁音で読みます。宗派は浄土宗。江戸最盛期には1000人の学僧が修行した大寺院であったと伝えられています。

伝通院の寺歴概略

伝通院は著名人の墓が多い寺院です。徳川家では、千姫、孝子の他、若くして亡くなった将軍の子息子女が多数。作家では佐藤春夫、柴田錬三郎、他。

著名人の墓標

指圧で有名な浪越徳次郎氏のお墓「指塚」もあります。指圧を模した墓標です。ちなみに浪越氏の指圧の学校は伝通院通りにあり、この学校にも指圧を表現したオブジェがあります。

浪越徳次郎氏のお墓「指塚」

空襲で全焼しているので、残念ながら歴史的な建造物は全く残っていません。ただし著名人のお墓は焼け残っています。現在の本堂は1988年に再建。山門は2012年に再建されました。

本堂は1988年に再建

文豪の作品にも登場します。代表は永井荷風。他にも、夏目漱石、二葉亭四迷、菊池寛、徳田秋声、岡本綺堂、中里介山・・・。現代では読まれることが少なくなっている文豪の作品に、伝通院はよく登場します。おそらく昔は、作品を読んでこの地を訪れる人も多かったのではないでしょうか。

司馬遼太郎さんの作品によれば、新撰組の近藤勇が師範代だったころの道場は、伝通院のすぐ隣にあったそうです。

文豪の小説の舞台

駅からはやや距離があり、かつ地形として高台の上にあるので、上り坂を行きます。地下鉄の春日・後楽園駅からなら「富坂」を上る、飯田橋方面からなら「安藤坂」を上る立地です。

車椅子でのアクセス

境内には40台を収容する駐車場があります。葬儀などが行われていない時は、一般参拝者も利用できます。ただし駐車場は砂利路面で、車椅子での移動は快適ではありません。

境内には40台を収容する駐車場

境内は全体的にバリアフリーではありません。

2012年に再建された山門は段差があり、車椅子では通行不能、横の車道から入ります。

山門は段差

1988年に再建された本堂は階段形式です。

再建された本堂は階段形式です。

境内に公衆トイレはありません。

古いお墓のエリアは、未舗装路や段差のある石畳路です。車椅子では、無理なく移動出来る範囲は限られます。

古いお墓のエリアは、未舗装路や段差のある石畳路

有名人の墓地エリアに入るには「事務所でお線香を買ってください」というルールになっています。

事務所でお線香を買ってください

周辺の状況です。江戸の仏閣密集エリアとしては「谷根千」が有名ですが、伝通院周辺も数多くの寺院が現存しています。明治期の廃仏毀釈の嵐に耐えたお寺群です。

本堂は1988年に再建文京西方方面へ抜ける伝通院のすぐ前の坂は「善光寺坂」。長野の善光寺と伝通院の交流の跡を伝える名称といわれています。

伝通院のすぐ前の坂は「善光寺坂」

伝通院は江戸初期から歴史の舞台になり、明治以後の文豪の作品にもたびたび登場するので、知名度は高いお寺です。しかし観光客がほとんど来ない、とても静かなお寺です。

文京区の「護国寺」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2019年9月に執筆しました)

九品仏 浄真寺 車椅子お参りガイド バリアフリー情報

東京都世田谷区の九品仏「浄真寺」は、少し無理をすれば車椅子でお参りが出来るお寺です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

九品仏浄真寺

自由が丘から九品仏一帯は人気タウン。その九品仏の地名の由来になった古刹です。「浄真寺」は浄土宗のお寺で、1678年創建と伝えられています。

本堂の前にある3つのお堂にそれぞれ三体の阿弥陀如来像があり、合計すると九体なので「九品仏」。これが寺の別称になり、ひいては地域の名称になりました。東急大井町線の九品仏駅は、九品仏という街の知名度に比べてとても小さい駅です。

浄真寺は広い大規模なお寺です。しかし日常はひっそりとした古刹。緑豊かで静かなお寺です。

浄真寺と九品仏

九品仏駅から徒歩3分の案内です。駅前から浄真寺に向かうと、すぐに参道になります。参道はほぼフラットな舗装路面で車椅子での通行は可能です。平常時、参道に屋台の出店などは一切なく、公園、公民館、一般住宅などが並びます。静かな参道です。

浄真寺の駐車場は原則として信徒用です。寺務所で発行する駐車許可書の掲示が必要です。お寺の近くに、便利でバリアフリーな有料駐車場は見つかりません。

九品仏駅から徒歩3分

参道を進むと境内への入口に「総門」があります。段差回避スロープがあるので、車椅子で通行できます。もう一つの境内への入口は「東門」です。この門は傾斜がありますが段差はありません。

総門から境内へ

境内の通路は、ほとんどが未舗装路か、車椅子に小さな衝撃があるデコボコした石畳路です。車椅子での境内の移動はあまり快適ではありませんが、決定的な段差箇所はスロープまたは迂回路が用意されています。

境内を進むと「仁王門」とよばれる「山門」があり、鐘楼、そして本堂と続きます。

九品仏浄真寺

広く、そして品格があるお寺です。境内の緑の深さが参拝者に迫ります。山門や鐘楼も実に立派なものです。紅葉の名所でもあります。

山門から本堂へ

本堂には、釈迦牟尼仏を中心に、右に善導大師、左に法然上人の像を安置。開帳され、仏様を拝むことができます。この間の参拝ルートも、デコボコはありますが車椅子で通行可能です。

山門から本堂へ

そして九体の仏様、九品仏を拝みます。一体一体、表情が違う阿弥陀如来像です。

九品仏浄真寺

九品仏が安置されている3つのお堂「上品堂」「中品堂」「下品堂」は、本堂と境内で正対している配置です。これは本堂側が此岸、九品仏のお堂側が彼岸を意味します。

本堂とお堂は石畳の通路で結ばれ、ここを行き来することは、すなわち此岸と彼岸を行ったり来たりすることになります。そういう解説が境内に掲示されています。本堂と3つのお堂周辺の石畳は、比較的車椅子で移動しやすい路面です。

九品仏にお参りする

浄真寺の境内には、公衆トイレはありません。トイレは本堂内にあるという案内です。

また休憩所もありません。今回取材時は「開山堂」の近くに簡易ベンチがあり、参拝者が座って休憩をしていました。

九品仏「浄真寺」は、バリアフリーではありませんが、車椅子で通行できない決定的な段差箇所は迂回できます。

九品仏から多摩川方面に移動すると「等々力渓谷」があります。別稿で掲載しているのでご参照ください。

(本稿は2015年9月の取材に基づいています)