上野のオアシス「不忍池」は車椅子で散策できます。現地のバリアフリー状況を紹介します。

不忍池一帯はバリアフリーで、池の周辺を車椅子で散策できます。四季それぞれに咲くお花を楽しむ。池の鯉、亀、水鳥を観る。そして「弁天堂」はスロープがあります。江戸時代から庶民に愛された池は、車椅子で快適に散策できるバリアフリーなオアシスです。

不忍池は3つの水域に区分されます。「野外ステージ」に面したブロックが「蓮池」。

不忍通り側に面したブロックは「ボート池」。「上野動物園西園」の領域になるのが「鵜の池」。それぞれの水域周辺のバリアフリー状況を紹介します。

「蓮池」周辺の状況です。散策ルートは池の周囲の歩行路。車椅子での通行に大きな問題はありません。夏場には蓮の葉がびっしりと覆い水面が見えないほどになります。毎年7月の後半から蓮の開花が始まります。上野の夏の風物、不忍池の蓮の花は、ここ蓮池で咲き誇ります。
蓮池の畔にある公衆トイレに、バリアフリートイレがありますが、トイレのレベルは高くはありません。

「ボート池」周辺の状況です。その名の通り有料ボートで遊べるブロックです。動物園側には「浮き橋」の散策路があり車椅子で通行でき、浮き橋のゆらゆら感を楽しめます。
車椅子で水生動物の観察をするなら、ボート池の浮き橋からがお薦めです。鯉や亀が多数生息しています。エサを投げると大騒ぎになります。

「鵜の池」周辺の状況です。ここにも蓮が自生しています。眺望ポイントは「弁天堂」。「弁天堂」は不忍池全体の中心部に位置するので、弁天堂周辺からは3ブロックすべてを見わたすことが出来ます。
弁天堂の周囲には、「鳥塚」「包丁塚」「魚塚」など、数多くの変わり種の碑があります。

これらの変わり種碑の情報はネット上に溢れているので詳細は割愛しますが、いずれも車椅子で近付いて見学が可能です。

また弁天堂は正面からは10段ほどの階段を昇りますが、正面左手にスロープがあり、車椅子で参拝ができます。バリアフリーな六角堂です。



これまでは、春の桜、夏の蓮が、不忍池を代表するお花でした。近年、紫陽花の植栽を強化。紫陽花のまだ小さな苗木が、池の周囲に数多く植えられています。すでに池の西側、不忍通り沿いの歩道の脇は、かなりの数の紫陽花があり、6月には美しく咲き誇ります。6月の不忍池は車椅子で紫陽花が楽しめます。
詳しくは別稿「東京の紫陽花名所 上野不忍池 車椅子散策ガイド バリアフリー情報」を参照してください。

不忍池の歴史について紹介します。不忍池の総面積は、111,776㎡。元は東京湾の入り江であったのが、平安時代の頃に入り江が後退し、取り残されて誕生した天然の池です。
江戸時代の初期に、上野の寛永寺が開かれ、寺の山号を比叡山に模して「東叡山」と定めました。比叡山にとっての琵琶湖の竹生島になぞらえて、「不忍池」に中島を造り「弁天堂」を創設。したがって、「弁天堂」のある一帯は人工島です。

江戸時代から庶民に人気の観光スポットとなり、広重、歌麿らによる不忍池を描いた浮世絵が多数残されています。
時は下り太平洋戦争中。食糧不足対策として不忍池は埋め立てられて、水田になりました。

戦後復旧作業が行われ、現在の池の姿を取り戻したのは昭和30年代になってから。歴史を振り返ると、天然なのか人工なのか、なんともいえない不忍池です。

弁天堂はスロープがあり、周回路や浮き橋バリアフリー、不忍池は車椅子で散策を楽しめる都心のオアシスです。
(本稿は2021年6月に加筆修正しました)