障がい児・者向けサービスの事業所数と利用者数の概況

障がい児・者向けサービスの事業所数と利用者数

生活介護、居宅介護、就労継続支援、地域移行支援、放課後等デイサービスなど、障害者総合支援と児童福祉法に基づく、様々な障がい児・者向けのサービスが実施されています。

各サービスの事業所数と利用者数はどれくらいなのか。2020年10月に公表された「令和2年版厚生労働白書」で示された数値から、概況を紹介します。

○事業所数最多は2万カ所ある「居宅介護(ホームヘルプ)」

厚生労働省の推計値では、全国で20,488の事業所が活動しています。利用者数は183,236人。一事業所当たりの平均利用者数は8.9人になるので、小規模な事業所が数多く存在していることがわかります。

身体障がい児・者の内、在宅している人が429万人程度と推計されているので、これを分母にすると利用者は4%程度になります。「居宅介護(ホームヘルプ)」は、重度の障がいがある18万人が利用しています。

○利用者最多は29万人の「生活介護」

通所系サービスである「生活介護」の利用者数は、286,074人です。「居宅介護(ホームヘルプ)」よりも、約10万人多くの障がい者が利用しています。

事業所数は10,967ヵ所。一事業所当たりの平均利用者数は26.1人になります。就労が難しいレベルの大人の障がい者、約29万人が、「生活介護」施設に通所をして日中の時間を過ごしています。

○知的障がい児の多くが利用している「放課後等デイサービス」

「放課後等デイサービス」の利用者数は、216,848人です。18歳未満の知的障がい児の総数が22万5千人で、内施設入所児が1万1千人、在宅児が21万4千人と推定されているので、未就学の児童も含めた在宅の知的障がい児数と「放課後等デイサービス」の利用者数は、ほぼ等しくなります。知的障がいを伴わない身体障がい児が利用するケースもありますが、「放課後等デイサービス」は、在宅で通所が可能な体力がある知的障がい児のほぼ全員が利用している状態に近いのかもしれません。

「放課後等デイサービス」の事業所数は、14,465ヵ所。一事業所当たりの平均利用者数は15.0人になります。

○34万人が働く「就労継続支援(A型・B型)」

「就労継続支援」はA型とB型を合わせて、16,959事業所が活動しています。利用者数はA型B型合計で、341,536人です。34万人が働く労働市場に成長しました。一事業所当たりの平均利用者数は20.1人。職場としては平均すると小規模です。

一般企業等への就労を希望する人が利用する「就労移行支援」は、事業数が3,090ヵ所、利用者数は33,548人。一般就労に移行した人を支援する「就労定着支援」は、事業数が1,215ヵ所、利用者数は11,037人です。

「就労継続支援(A型・B型)」と比べると、「就労移行支援」及び「就労定着支援」は、一桁少ない利用者数にとどまっています。

○「児童発達支援」を利用する幼児は12万人

未就学の障がい児が利用する「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」は、7,275事業所あり、122,441人の児童が利用しています。一事業所当たりの平均利用者数は16.8人です。利用者数を5学年で割り算した場合、1学年当たり約2万5千人の児童が「児童発達支援」を利用しています。

保育所等に通う障がいのある児童を対象とした「保育所等訪問支援」は、事業数が595ヵ所、利用者数は3,663人と、サービスの規模は大きくありません。

○ショートステイ、グループホーム、夜間サービスは18万人が利用

サービスの意味合いは異なりますが、「短期入所(ショートステイ)」は4,745事業所で利用者数は48,629人、「共同生活援助(グループホーム)」は9,111事業所で利用者数は131,627人です。重複利用者は多くはないと推定出来ますので、両サービスを単純加算して、合計利用者数は180,256人となります。

一方、施設等から一人暮らしに移行した人へのサービス「自立生活援助」は、今回の白書でデータでは、事業数が198ヵ所、利用者数が918人と、極めて少ない数値になっています。

各種の障がい福祉サービスは、大勢の障がい児・者に利用されています。

(本稿は2020年10月に執筆しました)

別稿で「現状調査からみる 放課後等デイサービス 今後の課題」を掲載しています。ご参照ください。