様々な事情により、入所施設で生活をしている障がいのある人は何人いるのか。2020年10月に公表された「令和2年版厚生労働白書」の数値から、身体および知的障がい児・者の、施設入所状況を推計しました。
なお白書のデータは、ほとんどが2017年から2019年にかけて行われた各種の推計値に基づいています。また重複障がいの場合、身体と知的の人数は重複集計されています。
○身体障がい児は18人に1人が施設に入所
18歳未満の子どもの身体障がい児の総数は、7万2千人と推計されています。
そして「平成31年3月の国民健康保険団体連合会による支払いの実績データから、抽出・集計した」データによると、「福祉型障害児入所施設」に1,473人、「医療型障害児入所施設」に1,955人、合計で3,428人が入所しています。
この他の施設に入所している障がい児を加えて、白書では約4,000人の身体障がい児が施設に入所していると推計しています。
入所している4,000人は、身体障がい児総数の72,000人の、5.6%になります。身体障がい児の18人に1人は入所施設で暮らしています。
○大人の身体障がい者は60人に1人が施設に入所
18歳以上の大人の身体障がい者の総数は、419万5千人と推計されています。高齢者を含む18歳以上の日本の総人口の、31人に1人が身体障がい者です。
白書では大人の障がい者の入所者総数を、7万人と推計しています。身体障がい者の総数に対する比率は低く、1.7%です。入所施設で暮らすのは、身体障がい者の60人に1人です。
○知的障がい児は20人に1人が施設に入所
18歳未満の子どもの知的障がい児の総数は、22万5千人と推計されています。
白書では約1万1千人の知的障がい児が施設に入所していると推計しています。総数に対する入所者の比率は4.9%です。知的障がい児は20人に1人が施設に入所しています。身体障がい児の18人に1人と比べ、大きな差異はありません。また相当数の障がい児は、重複障がい児ではないかと推察されます。
○大人の知的障がい者は7人に1人が施設に入所
18歳以上の大人の知的障がい者の総数は、85万1千人と推計されています。
白書では約12万2千人の知的障がい者が施設に入所していると推計しています。総数に対する入所者の比率は14.3%です。大人の知的障がい者の7人に1人が施設に入所しています。
○グループホーム入居者数と夜間ケア利用者数は各13万人
白書では「平成31年3月の国民健康保険団体連合会による支払いの実績データから、抽出・集計した」数値で、グループホーム入居者数と夜間ケア利用者数を推計しています。
それによると、共同生活援助(グループホーム)利用者総数は、131,627人、障害者支援施設での夜間ケア等(施設入所支援)利用者数は、127,916人です。どちらも13万人前後の利用となり、大人の知的障がい者の推定入所者総数12万2千人の近似値になっています。
以上データに基づくと、入所施設で暮らす障がいのある人の総人数は15万人前後と、大雑把には推計されます。同白書によると、全国でグループホームの事業所数は9,111、療養介護施設数は254となっています。
(本稿は2020年10月に執筆しました)