特別支援学校でも、文化祭に相当する学校イベントが開催されます。
児童生徒全員が、音楽系あるいは演劇系のプログラムに出演します。
通学が出来ない、病院に入院している生徒、自宅で訪問教育を受ける児童は、映像でプログラムに出演します。
通学クラスの、ほとんど体を動かせない生徒、発語が難しい児童、コミュニケーションが困難な生徒も、学年単位、あるいは障害の程度が近い生徒で構成するグループ単位で文化祭に出演します。
プログラムの企画、演出、進行は、特別支援学校の先生達の腕の見せ所です。レベルの高い先生たちが作り上げるプログラムは、一人ひとりの課題が組み込まれながら、全体の構成がしっかりとしていて、見応えがあります。
事前の準備では、舞台の装飾づくりなどにも参加します。文化祭を通じて、その生徒の障がいの状況に応じた課題への挑戦が行われます。
本番プログラムでの出番のイメージです。
ほとんど動きができない重度障がいのある生徒は、押すと録音された声がでるスイッチ操作盤を利用して、演劇に挑戦します。
ロープをちょっと引っ張ることに挑戦する児童、一言発声することに挑戦する生徒、しゃべることが出来る子は、長セリフに挑戦することもあります。
手が動く生徒なら、音楽系のプログラムでは、楽器の操作に挑戦します。
スイスイとは進行しないことが多く、例えば手元のスイッチを押すのにとても時間がかかる生徒もいます。
観客は児童生徒の家族です。皆で出番の子どもたちを応援します。客席からは大きな声援があります。うまく出来たら大拍手。途中で笑いのネタが入っている、上手に構成された出し物もあります。笑うところは、客席は大いに笑います。ステージと客席が一体になる文化祭です。
身体面で重度の障がいのある子は、体調管理が大変です。一生懸命当日の体調を整えますが、急に調子が悪くなり、欠席になる子もいます。
あらかじめ各児童生徒の練習の様子を録画しておいて、急に欠席なった子がでた場合は、その練習の様子を放映することもあります。
ステージでのプログラムの他に、授業で児童生徒が製作した絵画や焼き物などの作品の展示が行われます。
重い障がいのある児童生徒は、特別支援学校の文化祭でそれぞれの課題に挑戦しています。
(本稿は2019年11月に執筆しました)