遊びで発達を促す「リトミック」障がいのある未就学児への音楽療法

遊びで発達を促す「リトミック」 障がいのある未就学児への音楽療法

リトミックは楽しく遊びながら総合的な発達を促す音楽療法です。様々なプログラムがありますが、幼稚園年代くらいの子どもへの、集団で行うリトミックの実例を紹介します。

メインスタッフは、指導にあたる先生と音楽を担当するピアニストです。一般に楽器はピアノが使用されるケースが多いようです。

他に参加する子どもの人数に応じた補助スタッフ数名。道具の出し入れや、子どもの相手、その場の雰囲気づくりなどを担当します。

幼稚園年代なら、親も一緒に参加することがあります。もちろん近くで見守っているだけ、というやり方もあります。

先生の主導によりリトミックが始まります。最初は音楽に合わせた体操。体を動かしてウオーミングアップを行います。

次はストップ&ゴー。音楽が流れると歩いて、音楽が止まるとストップします。音楽が始まるまで、そのまま動かないのがルールです。

次は思い切りジャンプ。音楽の節目で飛び上がります。体の不自由な子の場合は「高い高い」をしてあげます。

次は楽器の演奏。自分の好きな楽器を使って、ピアノに併せて自由に演奏したり、順番に大太鼓をたたいたりします。

次は障害物競争。輪くぐりやロープに沿って歩くなど、音楽に合わせて簡単なコースを通ります。

次は大きな風船をトス。スタッフの方と楽しく遊びます。最後はくるくる回るバルーン遊び。小さくしたり大きくしたり、中に入ったり出たりと音楽に合わせて体を動かします。集団で行うリトミックは、こんなイメージです。

集団で行うリトミックは、こんなイメージ

リトミックは、スイスの作曲家・音楽教育家エミール・ジャック=ダルクローズによって考案された音楽教育法です。

集団活動による協調性の獲得、遊びを通じたルールの理解、自己を表現する喜びを知る、などの効果があげられます。

直接的な医療行為ではないので、障がいのある子にどこまで効果があるのか、断定的なことは言えません。しかしリトミックを通じて音楽が好きなれば、この先の発達のきっかけになる可能性はあります。

各地で様々なリトミック教室が開催され、多くの障がいのある子どもと家族が参加しています。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「重度の障がいのある人と家族が人生の進路を選択する年代」を掲載しています。ご参照ください。