特別支援学校「準ずる」授業を受けるクラスは少数精鋭

特別支援学校「準ずる」授業を受けるクラスは少数精鋭

一般に、肢体不自由部門の特別支援学校に通う児童生徒は、重度重複の障がいがあり、年齢に応じた学習が難しい人が多く、一般の学校で行われる同学年の授業とは違う学習プログラムが組まれます。

なかには肢体に不自由があっても、学力は年齢相応の実力がある児童生徒がいます。そういう子どもには、一般の学校に準ずる内容の授業が行われます。

正式な名称ではありませんが、特別支援学校の保護者の間では、通常の授業を行う生徒のクラスを「準ずるクラス」と呼びます。差別的な意味の表現ではありません。

もともとの語源は、文部科学省の学習指導要領によって、特別支援学校は一般の小学校、中学校、高等学校に「準ずる教育」を行うとともに、障害の克服のための自立活動という特別な指導領域を持つ、という文面からきていると思われます。

一般の学校と同じ授業のことを「準ずる教育」と表現していることから、そのクラスの俗称が「準ずるクラス」と呼ばれている学校が多いようです。

特別支援学校「準ずる」授業を受けるクラス

全体としては、準ずる教育のレベルが難しい児童、生徒のほうが多数派です。一般に各学校の「準ずるクラス」は少数精鋭、2~3名のケースが多いようです。1名のケースもあります

「準ずるクラス」の授業は、先生一人に生徒は2~3名です。ほとんどマンツーマン指導で、よそ見をする雰囲気ではなく、授業中は息抜きが出来ません。しかも児童生徒は皆何らかの障がいを持っています。

本人と保護者が「準ずるクラス」入りを希望しているのに、入れない児童生徒もいます。本人が思うほど実際の学力はないと判断される場合と、学校側が教員の手配が出来ずにクラスが編成出来ない場合があります。医療的ケアが必要な児童生徒の場合などは、有資格の教員の配置が必要で、なかなか対応が出来ないのも事実です。

特別支援学校は高校までです。その先の進路は判断が難しくなります。大学の学力までは厳しい生徒が多いのも事実ですし、仮に学力的には大学に進学できる実力があっても、スクールバスはありません。親も年をとってきます。自力で通学ができて、大学生活を自活できるかどうかが問題です。

「準ずるクラス」の生徒は、高校3年生で大きな進路の壁にぶつかります。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「重度重複障がいがある高校生の卒後の進路 通所施設の見学と体験」を掲載しています。ご参照ください。