重度障がいの生徒 寝たきりの晴れ着姿 特別支援学校の卒業式

重度障がいの生徒 寝たきりの晴れ着姿 特別支援学校の卒業式

身体障がいがある肢体不自由の人が通う特別支援学校は、一般に平常時の服装は自由で、制服の着用は義務付けられていません。その人の障がいによって、着ることが出来る衣服に制約があるためです。

重度重複障がいの児童生徒の通学ファッションは、一般に動きやすい、着替えがやりやすい、楽な服装をしている児童生徒がほとんどです。

特別支援学校の小学部、中学部、高等学部では、一般の学校と同じように、入学式、卒業式があります。この特別な式典のために、ハレの衣装を用意される児童生徒がいます。素晴らしい衣装を数多く見てきました。

ある女子生徒は、特性の着物が用意されました。重度の脳性麻痺の生徒で、特別仕様の車椅子に寝たきりで、定期的な吸引が必要です。自分で動かせるのは、指先が少しだけ、という人。もちろん普通の着物を着つけることはできません。

仕立ての心得のあるご家族が特製した着物で、寝た状態でかぶせるように着せると、着物を着ているようになります。頭の飾りも重装備で、寝たきりながらリボンとかんざしで綺麗に仕上がっています。

特別支援学校の卒業式

男子生徒の一番人気は「学ラン」です。この日のために、オーダーメイドで作る人がいます。

不自由な体でも着られるように、全体はゆったり寸法ですが、詰襟はビシッときめます。先輩OBがつくったオーダーメイド詰襟を、後輩が借りて着ることもあります。

女子生徒の一番人気は「ドレス」です。この日のために用意されたドレスを着用します。車椅子に乗った状態で、バランスよく綺麗に着こなせるドレスが選ばれます。ロングドレスが多いようです。髪飾りも必須アイテムです。

「袴」に挑戦する人もいます。ある程度体幹がしっかりしている人なら、車椅子に乗りながらの袴着用は可能です。足が出ないように、通常の袴よりも、裾の前を伸ばした特注の袴を用意する家族がいます。

重度重複障がいがある高校生の卒後の進路 通所施設の見学と体験

重度障がいがある児童生徒の入学式、卒業式の場合、先生が児童生徒と一緒に行動していただけます。

特別支援学校の先生たちは、いつもはジャージ姿ですが、一緒に証書を受領するので、いつになくきちんとした格好をしています。式の時だけ、雰囲気が変わります。

肢体不自由の特別支援学校の入学式、卒業式は、人数も少なく、多くの児童生徒は車椅子利用なので、一般の学校の入学式、卒業式とは雰囲気は違います。そして衣装も、それぞれの障がいに応じているので、とても個性的です。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「特別支援学校の文化祭 重度重複障がいの生徒が演じるプログラム」を掲載しています。ご参照ください。