静岡県三島市三島駅前にある、国の天然記念物及び名勝指定の三島市立公園です。面積は約75,474㎡。富士山の溶岩「三島溶岩流」の上に立地した富士山世界文化遺産の一部であり、世界ジオパーク認定の伊豆半島のジオサイトの一つです。
明治23年に小松宮親王が別邸として造営。昭和27年から市立公園として三島市が運営しています。
そのような施設なので、もちろん全面的なバリアフリー公園ではありませんが、少し頑張れば車椅子である程度は散策ができます。現地のバリアフリー状況を紹介します。
三島駅南口から徒歩3分の案内です。楽寿園の「駅前入園口」は駅前。電車利用で車椅子での来園は可能です。
車利用の場合、車椅子利用者に限り、「駅前入園口」内に駐車することができます。駅前入園口は、一般車両が侵入できる雰囲気ではありません。見るからに歩行者専用の歩道とエントランス前空間があり、その奥は移動式のフェンスが閉じられています。今回取材時は、フェンスの手前にスタッフがいたので、車から車椅子利用の旨を申告しました。フェンスに「車椅子の方はこの電話番号に連絡してください」という掲示があります。スタッフがいないときは、閉じられたフェンスの前まで車両を進め、そこで電話をして誘導を受けてください。
移動式フェンスは園のスタッフが開閉します。駐車料金は今回取材時点で200円。指定の場所に駐車すると、スタッフから2枚の用紙が配布されます。内1枚に200円と記載があり、その用紙を園受付に提示して駐車料金を支払います。もう1枚は、帰りの出庫の前に受付に渡します。それが合図になり、出庫時の移動フェンスの開閉をスタッフが行います。
楽寿園は有料の施設ですが、入園料の障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で本人と介助者1名の入園料が無料に減免されます。受付で障害者手帳等を提示して減免措置を受けてください。
バリアフリートイレは、園内4か所のトイレの内、2か所のトイレに各1つ用意されています。写真は「南トイレ」です。
園内の散策路は、ほぼすべてが砂利路面の未舗装路です。舗装路面はごく一部、例外的にある程度です。
したがって車椅子やベビーカーでの移動は、快適ではありません。
さらに園内は三島駅側の北側が高く、小浜池がある南側が低い、高低差がある構造です。そして部分的には砂利が深い場所があり、小浜池の周囲を中心に決定的な段差や車椅子では渡れない橋などがあるルートもあります。
園内散策路の概況は以上ですが、決定的な段差路を回避して、少し無理をすれば、ほぼ園内全域を車椅子で移動できました。固い路面で砂利が薄いことが多く、見た目よりは車椅子が動く路面です。
特に小浜池の周囲は、高低差が少ないことで、予想よりも楽に車椅子が移動できました。もちろん車椅子に砂利路面の小さな衝撃がくるので、快適な移動ではありませんが。
楽寿館の内覧は段差構造のため車椅子では不可です。入口付近から外観を見学します。
入口の横に、楽寿館の由緒などを解説した趣のある掲示版があり、車椅子から読むことができます。
しかしながら、楽寿園の景観のハイライトの一つ、小浜池越しに見える楽寿館は、散策路から車椅子で楽しめます。見る価値のある光景です。
園内2か所に「お休み処」があります。段差解消されている入口があるので、車椅子での利用は可能です。写真は「お休み処桜」の段差解消入口です。テイクアウトコーナーでは、シロップかけ放題のかき氷や、手作り搾りたてレモネードなどが販売されていました。車椅子用テーブル席の用意など、特別なバリアフリー対応はありません。
楽寿園は格式高い伝統ある庭園ですが、「のりもの広場」や「どうぶつ広場」、アスレチック遊具などがある公園です。下の写真はその広場の一部の様子です。未舗装砂利路面ですが、少し無理をすれば車椅子で移動可能です。
ジオパークとしての見どころを紹介します。
園内の散策路を歩くと「いこいの松エリア」「小浜の森エリア」「常盤の森エリア」があり、溶岩と植物が織りなす景観を楽しむことが出来ます。
近年は渇水がすすみ、その対策が現在検討されているということでした。
駅前立地の天然記念物にして名勝、世界文化遺産のジオサイトです。楽寿園はバリアフリーとはいえませんが、少し無理がきく人なら、車椅子でここにしかない景観を楽しむことができます。
全長400mの歩行者専用吊「三島スカイウォーク」の情報を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2021年5月に執筆しました)