マイナンバーカードを取得するには、規格に合致した顔写真を用意し、申請と受取りを本人が行うことが原則です。それが難しい重度重複障がい者も、マイナンバーカードの取得は可能です。家族が代理で申請するケースを想定して、主な手順とポイントを紹介します。
○写真の準備
45mm×35mmのサイズで、無背景で顔が正面を向いていることが写真の規格です。重度重複障がいがある人の場合、撮影は簡単ではありません。
マイナンバーカード総合サイトでは、そのような人の場合、「下記のいずれかのご対応をいただくことで使用可能といたします。」としています。
・交付申請書の表面の氏名欄に理由を記載して、交付申請書を送付ください。
・個人番号カードコールセンターに電話して、申請書IDを伝えてください。
ただし以下の2点が付記されています。
・各市区町村の窓口で、マイナンバーカードの交付時にご事情を確認させて頂く場合がございます。
・顔写真が規格外(暗い、トリミングができない等)である場合、不備となることがありますのでご注意ください。
したがって、背景がある、顔が横を向いている写真でも、重度障がい者であることを記載、または連絡すれば、その写真でカードが作成されます。しかし、あまりにも本人確認が出来ないレベルの写真の場合は、カードは作成できません。
可能な限りの「良い写真」を用意してください。
○申請方法
スマホ、パソコンによる電子申請と、郵送による申請、そして役所の窓口に届け出る方法があります。
家族が申請を行う場合、電子申請または郵送による申請を行えば、本人確認などの手間は不要です。家族が所定の情報等を登録または記入して、申請を行います。
○受取り方法
受取りは本人が行うことが原則です。申請者が15歳未満の場合は、障がいの有無に関わらず、「法定代理人」として親の同伴が必要です。そして多くの自治体では、受取りは予約制です。
重度重複障がいがあっても、指定の場所、予約時刻に本人を同行できる場合は、通常の受取り方法と同じです。書面の記入、押印、役所担当者との会話を家族がおこなっても、マイナンバーカードの写真と本人が確認できれば問題ありません。
市町村によっては、顔認証システムに照合させてチェックを行っています。本人がカメラの前に顔を出すシステムの場合、重度障がい者には対応が難しいかもしれません。しかしそれを理由に交付を拒まれることは考えられません。
本人は同行せずに、家族がマイナンバーカードを受け取ることができます。本人が20歳以上の場合は、「任意代理人」の受取りに該当します。
必要な書類等は、本人受取りの場合に加えて、「代理人の本人確認書類」と申請者の障害者手帳など「本人の来庁が困難であることを証する書類」です。
そして送付された「マイナンバーカード交付・電子証明書発行通知書兼照会書」に同封されている、「はがき」や「書類」の「委任状欄」に記入したものを持参します。重度重複障がいがある本人による記入が難しい場合は、家族が代筆してください。代筆が認められているわけではありませんが、それしか方法はありません。
受取りの際に、4桁および6文字以上の3種類の暗証番号やパスワードの設定を行います。
以上の手続きで、家族によるマイナンバーカードの受取りができます。
顔写真の用意とカードの受取りには手間がかかりますが、重度重複障がい者もマイナンバーカードの取得は可能です。
(本稿は2020年10月に執筆しました)