植物分類学の父 牧野富太郎博士記念庭園 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

牧野記念庭園

東京都練馬区にある区立牧野記念庭園は、日本の植物分類学の父と呼ばれる牧野富太郎博士が、大正15年から94歳で永眠されるまでの30余年を過ごされた住居と庭の跡地を整備した施設で、お庭と記念館、展示室が無料公開されています。

牧野記念庭園

博士が亡くなられた翌年1958年に開園し、2010年にリニューアルオープンしました。現地にはリニューアル前の庭園の様子を伝える掲示板があります。

牧野記念庭園

お庭は未舗装路面ですがルートを選べば車椅子で散策できます。講習室、記念館、書屋展示室は車椅子で利用できます。

牧野記念庭園

アクセスは大泉学園駅から徒歩5分の案内です。アップダウンはほとんどありませんが、歩道が狭い交通量のある道路を通行しますので、注意して移動してください。

一般来園者用の駐車場はありませんが、身障者用駐車スペースが1台分設けられています。利用は事前電話予約制です。駐車場の入口は庭園正門ではなく、臨時駐車場と同じ、記念館などがあるエリアの裏側です。住宅街の細い道路を通ります。

身障者用駐車場の入口には門扉があり、半分が開けられ、半分は簡単なロックがかけられて閉められています。車を入口の手前でいったん停めて、閉められている半分の門扉を開けて、駐車スペースに進入します。車がすれ違えない幅の道に停車して門を開ける作業をするので、車椅子利用者が運転をして一人で作業をするのは事実上困難です。身障者用駐車スペースを利用する場合は、介助者と一緒に行動されることをお薦めします。

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身障者用駐車スペースは前後左右に幅広い駐車区画です。車椅子で問題なく乗降できます。

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身障者用駐車場から庭園へ入る専用の門扉があります。そこまでは段差解消スロープが設置されています。

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専用出入口の門扉は簡単なロックがかけられています。出入りの都度、扉を閉めるように案内されています。

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身障者用駐車場から園内に入ると、書屋展示室の横に出ます。通路はフラットなウッドデッキ構造です。車椅子で問題なく移動できます。

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庭園正門からのルート順で園内のバリアフリー状況を紹介します。入口付近は舗装路面で、園内に入ると砂利の路面または小石の路面になります。

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未舗装路面のポイントになる箇所には、車椅子のタイヤが砂利や小石に埋まらないようにリングが埋め込まれています。そのため見た印象よりも車椅子は動きます。

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段差箇所には段差解消スロープが設置されています。車椅子で動きにくい箇所はありますが、決定的なバリアポイントは回避されています。

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リングが埋め込まれていない未舗装路面も、見た目よりは車椅子が動きます。植物に掲示されている品種名を確認しながら、博士が「我が植物園」と愛した300種類以上の植物が育成するお庭のほとんどを、車椅子で散策できます。

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お庭にはところどころにデコボコな石畳がありますが、段差を回避して車椅子で散策できます。

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箱庭のような植栽コーナーの植物の一つひとつに、品種名が掲示されています。

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庭の地に這いつくように、品種名が掲示されている植物もあります。丁寧に観察すると、時間がいくらあっても足りません。

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今回訪問時は連続テレビ小説のモデルになったことを記念するフォトスポットが設置されていました。

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博士の胸像は、博士が昭和2年に仙台で発見した「すえこざさ」の植栽の中に建っています。昭和3年に永眠された博士の奥様のお名前は「すえ」。奥様を想い命名されたと言われています。

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入口の近くにあるのは「講習室」です。出入口は段差回避され、自動ドアを通り車椅子で中に入ることができます。

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室内では休憩スペースを兼ねた席から、博士の生涯や功績に関する映像コンテンツが鑑賞できます。夏休みには子供向けのワークショップが開催されるそうです。

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講習室内にバリアフリートイレが1つあります。スペースはやや狭い個室で、シンプルな設備の便器が備えられています。バリアフリートイレは他に1つあり、そちらの個室のほうがスペースは広いトイレです。

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講習室の屋外テラスにはテーブル席が配置されています。テラスへの段差は小さいので、乗り越えて車椅子で利用できます。

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講習室から園内の奥に進みます。この付近はやや深い砂利路面ですが、少し力を入れると車椅子が動きます。

牧野記念庭園

難所には車椅子を助けてくれるリングが埋め込まれています。車椅子でお庭の奥まで散策できます。

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次に庭園奥にある記念館のバリアフリー状況を紹介します。常設展示室と企画展示室があります。

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出入口はフラットな自動ドアです。車椅子で問題なく入退館できます。

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常設展示室内はフラットな構造です。壁掛け展示とケース内展示があり、日本の植物分類学の基礎を築いた博士の生涯と研究を紹介しています。博士が発見、命名した植物は1500種類以上にのぼります。

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展示はすべて車椅子から観覧できます。とても見やすい展示手法です。

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平台ケースは車椅子から見やすい構造です。これほど車椅子から見やすいケースは珍しいと思います。

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車椅子からの目線で、ケース内展示品がしっかり観覧できます。

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今回訪問時、企画展示室は休館でした。常設展示室からフラットにつながっている構造です。

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次に書屋展示室のバリアフリー状況を紹介します。博士の書斎と書庫の一部が保存展示される施設です。入口は横開き手動ドアですが、今回訪問時は開放されていました。車椅子で問題なく入館できます。

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博士の等身大パネルが置かれた記念撮影スポットがあります。博士は小柄な方でした。

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館内を一周歩きながら展示を観覧します。通路はフラットで、車椅子から問題なく展示物を観覧できます。

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博士の晩年は、書庫に約4万5千冊の書籍が積み上げられていたそうです。

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記念館と書屋展示室からウッドデッキを通りアクセスできるトイレ棟があります。

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今回訪問時、バリアフリートイレは故障で使用禁止でした。スペースは一般的なサイズの個室で、シンプルな設備の便器とオストメイト装置が備えられています。

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生涯を植物の研究に尽くした牧野富太郎博士の人生に出会える施設です。牧野記念庭園は、車椅子で観覧できます。

「都立大泉中央公園」のバリアフリー状況を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2022年7月に執筆しました)