障害者政策委員会による「障害者差別解消法」第52回見直し議論

障害者政策委員会による「障害者差別解消法」第52回見直し議論

令和2年6月22日に開催された「第52回 障害者政策委員会」での「障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見」の内容が内閣府から公表されました。新たに出された意見、従来よりも強い表現に修正された意見を中心に、委員会の意見を抜粋して紹介します。(意見書案の原文を転載しています)

〇事業者への合理的配慮の義務化

障害者が安心して生活を送るために社会における合理的配慮を進める必要があり、また障害者差別解消法の施行から既に4年が経過していることから、事業者による合理的配慮の義務化を明確に打ち出すべきである。

〇民間での事例の共有

企業の中には、公共機関よりもはるかに工夫をし、先駆的な合理的配慮の提供を行っているところもある。障害者対企業の問題ではなく、業界内の問題として意見を戦わせ、良い取組をしている企業からもっと前向きな意見を業界内に広めてもらうべきである。

〇相談機能の強化

相談のたらい回しを防止する等の観点から、国における新たなワンストップ相談窓口の設置や既存の相談窓口の効果的な活用、国・地方 公共団体の役割分担の整理などを含め、どのような対応が可能かについて検討すべきである。

相談を受け止める人がいなければ相談の掘り起こしにつながらないので、広域支援相談員の配置を地域の実情に応じて促すことに大賛成である。国からの財政措置を講じた上で、地方公共団体に対し力強く進めていくことを打ち出すべきではないか。

大阪府では、条例で地方公共団体が事業者への啓発を行う責任を明確にして啓発キャンペーンやガイドライン策定を行っているほか、広域支援相談員の配置など相談・紛争解決体制が整備されており、国や地方公共団体 の取組として学ぶべき点が多いのではないか。

地方公共団体における十分な紛争解決を担える権限や機能を持つ機関が必要であり、これを円滑に行うためには相談員が準拠できる相談対応マニュアルの作成が重要ではないか。

「事業者への合理的配慮の義務化」を強く提言する意見と、相談・紛争解決機能の強化に関する具体的な提言などが議論されました。

《生きるちから舎ニュース 2020年6月23日付》