千葉県市原市の「市原史跡上総国分尼寺跡」には、車椅子で見学ができる復元された回廊とガイダンス施設があります。現地のバリアフリー状況を紹介します。
奈良時代に日本各地に建立された国分寺。上総国国分尼寺の史跡に、往時の様を再現した復元施設とガイダンス施設があり、いずれも入場入館無料です。
スロープがあり車椅子での見学は可能です。独立棟タイプの公衆トイレがあり、バリアフリートイレが用意されています。立派な復元施設で「中門」「金堂」それを結ぶ「回廊」があります。
大規模な復元施設です。現地の解説版を要約すると「市原が上総国の政治文化の中心であったことを示す」ために復元したと書かれています。1993年に中門と展示館、1997年に金堂と回廊が公開されました。
1990年代の施設ですから、今どきのバリアフリー水準ではありません。
展示館脇に無料駐車場があり、身障者用駐車区画が1台分あります。そこから段差回避のスロープを上り施設へ向かいます。
展示館の出入口は段差はありません。復元施設へはほぼフラットは舗装歩道を進みます。
回廊にあがる車椅子ルートの案内があるので左折し、スロープで回廊に上ります。このスロープが木製で路面に隙間があります。車椅子での最大の難関はこの復元回廊へのスロープです。隙間に車椅子のタイヤを落とさないように気をつけてください。
回廊に上れば車椅子にとって大きな障害物はありません。回廊内のスペースに下りるのは段差路。したがって車椅子では回廊を巡りながら、中門、金堂を中心に見学するコースになります。資料に基づき、忠実に往時の様を復元しているそうです。
復元施設の見学の前に、展示館で勉強するのが市原市お薦めのコースです。
展示館は小規模な施設。メインはビデオ解説です。展示館に入りスタッフに視聴を希望すると上映していただけます。上映後にジオラマ等を用いたスタッフの解説を聞くこともできます。最長30分コースという案内です。
現地には、復元施設の完成予定図のようなものが掲示されています。「往時をすべて復元するとこういうイメージになる」ということです。用地は十分に確保されています。未完の復元施設なのかもしれません。
「市原史跡上総国分尼寺跡」は、一般的な知名度は高くありませんが、とても立派な復元施設です。展示館でしっかり勉強するなら、見学に1時間は必要です。時間に余裕を持って利用してください。
(本稿は2018年1月の取材に基づいています)