重度重複障がい児・者が受給できる手当と年金の金額をやさしく解説

重度重複障がい児・者が受給できる手当と年金の金額をやさしく解説

障がいのある人のための、お金に係る様々な制度があります。重度重複した障がいを負って生まれた人は、手当や年金をどれくらい受給できるのか。日本の一般的な手当及び年金制度を簡潔にまとめます。なお受給金額は2020年現在の水準です。

《20歳未満の障がい児》

20歳までに受給できるのは「手当」です。手当には、国の制度、都道府県の制度、そして地域によっては市町村の制度があります。

そのほぼすべてに、扶養者の所得制限があります。したがって一定以上の所得がある世帯の障がい児は、受給できる手当がありません。詳しい金額は各行政機関が定める「所得制限基準表」を参照してください。おおよそのイメージとしては、扶養者の年間所得が600万円を超えると、ほぼすべての手当に制限にかかります。逆に400万円を下回ると、ほぼ支給対象になります。

医療費助成にも所得制限があります。現在は多くの地域で、中学生まで、あるいは高校生までは医療費が無料になっているので、お住いの地域の状況によってはその年齢までは無料です。中学を卒業、あるいは高校を卒業して無償年齢を超えると20歳になるまでは、所得制限を超える世帯の障がい児の医療費負担が発生します。

ではどのような手当があるのか。まとめて紹介します。

〇障害児福祉手当(国の制度)

月額14,880円。

20歳未満で身体又は精神に著しい重度の障害・これらと同等の疾病があるため、日常生活に常時介護が必要な在宅の方。ただし、障害を理由とする公的年金等を受給している方、施設に入所中の方を除きます。

〇特別児童福祉手当(国の制度)

1級(重度)月額52,500円

2級(中度)月額34,970円

20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されます。

以下は当社所在地の東京都における手当です。地域により異なります。

〇重度心身障害者手当(東京都の制度)

月額60,000円

常時複雑な介護を必要とする方 (都心身障害者福祉センターで受給可否判定します。)

〇児童育成手当(東京都の制度)

(障害手当)月額15,500円 ※この手当は扶養者の課税所得になります。

知的障害児で、「愛の手帳」1~3度程度。身体障害児で、「身体障害者手帳」1~2級程度。脳性まひまたは進行性筋萎縮症の20歳未満の心身障害児を扶養している方。

以上の手当をすべて上限額で受給すると、月額合計で142,880円になります。

《20歳以上の障がい者》

20歳以上になると、障害年金の対象になります。

また特別障害者手当以外の多くの手当と、医療費助成の所得制限対象が本人の所得になります。

ただし多くの手当は、施設に入所している障がい者は受給できません。年金は施設入所者にも支給されます。

では手当と年金の具体的な金額をまとめて紹介します。

〇特別障害者手当(国の制度)

月額27,350円  ※扶養者の所得制限あり

20歳以上で身体又は精神に著しい重度の障害・これらと同等の疾病があるため、日常生活に常時特別な介護が必要な在宅の方ただし、施設に入所中の方、病院等に3ヶ月を超えて入院中の方を除きます。

〇障害基礎年金(国の制度)

1級 月額81,427円  介助が無ければほとんど日常生活を送ることが出来ない状態の人

2級 月額65,141円  自力で何とか出来るが日常生活を送るのが困難で労働することが出来ない人

障害者手帳の等級とは違います。医師の意見書に基づき、別に審査され等級が決定されます。

また障害基礎年金は、仮に本人に所得があっても制限内なら受給できます。

以下は東京都における手当です。地域により異なります。

〇重度心身障害者手当(東京都の制度)

月額60,000円 20歳以上は本人の所得が制限対象になります。

〇心身障害者福祉手当(東京都の区市町村で実施されている制度)

月額15,500円

身体障害者手帳1級・2級、愛の手帳1~3度、脳性麻痺、進行性筋萎縮症の方。

身体障害者手帳3級、愛の手帳4度の方は、月額7,750円 です。

支給は東京都の区市町村から行われます。

以上の手当と年金をすべて上限額で受給すると、月額合計で184,277円になります。

手当、年金とも、受給条件は様々な指定があります。また申請手続きは、あまり簡単ではありません。各種手当に関する相談窓口は市町村の担当課です。障害基礎年金については、相談に応じてくれる専門的なボランティア団体もあります。

(本稿は2020年6月に執筆しました)

別稿で「障がい者とお金の問題 生活困窮者自立支援法と住居確保給付金をやさしく解説」を掲載しています。ご参照ください。