東京都写真美術館「山城知佳子リフレーミング」車椅子観覧ガイド

那覇市生まれで那覇市在住の山城知佳子氏の、公立美術館初個展が開催されています。会場は東京都目黒区恵比寿ガーデンプレイス内東京都写真美術館(TOP)B1展示室。会期は2021年8月17日から10月10日まで。最新作「リフレーミング」他、全10作品が公開されています。

「山城知佳子リフレーミング」展の観覧料は、障がい者減免制度があり、本人と介助者2名までが無料に減免されます。TOPはバリアフリー施設。車椅子での観覧に大きな問題はありません。

東京都写真美術館「山城知佳子リフレーミング」

展示会場の手前で放映されている作品は「I like Okinawa Sweet」。山城氏本人が、米軍基地をバックにアイスクリームを食べ続ける7分35秒の作品です。

会場内で公開されている「OKINAWA墓庭クラブ」などの初期作品には、作家自身の姿たびたび登場します。

その先の高い位置にあるスクリーンで放映されているのは「アーサ女」。沖縄の海でよく生える海藻を擬人化した7分15秒の作品です。会場にはアーサ女の息遣いが流れ続けています。

展示の後半は、大型スクリーンで公開される2作品。2016年の「土の人」は23分の作品。2021年の「リフレーミング」は、33分の作品です。2つの放映会場内は、間隔をあけて椅子が配置されています。車椅子で好きな空きスペースから問題なく鑑賞できる作品です。

「アーサ女」など他の作品は、全編を鑑賞しなくても様々な解釈が可能かと思いますが、「土の人」と「リフレーミング」は、出来れば全編を鑑賞したい作品です。2作品をフルに鑑賞すると、それだけで約1時間かかります。

山城知佳子氏の映像作品は、自分なりの解釈を得るのに、時間がかかると思います。バリアフリー面では車椅子での観覧に問題はありませんが、時間に余裕をもって来場されることをお薦めします。

東京都写真美術館の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ご参照ください。

東京都写真美術館「宮崎学 イマドキの野生動物」車椅子観覧ガイド

東京都目黒区恵比寿ガーデンプレイス内の東京都写真美術館(TOP)で開催されている企画展です。「自然界の報道写真家」宮崎学氏の、約50年にわたる活動から、代表的なシリーズが展示されています。会場はTOPの2F展示室。会期は2021年8月24日から10月31日までです。

「イマドキの野生動物」展は、観覧料の障がい者減免制度があり、本人と介助者2名までが無料に減免されます。TOPはバリアフリー施設。車椅子でのアクセス及び展示室内の観覧に大きな問題はありません。

東京都写真美術館「宮崎学 イマドキの野生動物」

展示は7つのパートで構成されます。第1章は「ニホンカモシカ」、第2章が代表的なシリーズである「けもの道」、第3章「鷲と鷹」、第4章「フクロウ」。ここまでのパートは、野生動物の生態をとらえた貴重な写真が並びます。幼い子供から大人まで、誰もが楽しめる作品群です。

第5章は「死」「死を食べる」。森の中で出会った野生動物の死体を、時系列的に追いかけた作品群です。「死」は死んだ動物が、他の動物や虫、最終的にはバクテリアによって、その姿を変える過程の記録。「死を食べる」は、死体をむさぼる他の動物が主役の作品。「真夏の死体に湧くうじの踊り食いをするツキノワグマ」など、野生動物の生命の営みを切り写した作品が心に残ります。

第6章「アニマル黙示録イマドキの野生動物」は、野生動物の生態を通じて、人間社会の問題を考えさせられるシリーズ。都市で生きるネズミ、海岸でゴミと暮らすヤドカリ、お供え物を盗むサル、どぶ川を泳ぐ外来種ティラピアなど、野生動物の現実を写します。宮崎学氏は、獣害被害のアドバイザーとして活動されています。

第7章「新・アニマルアイズ」と「君に見せたい空がある」は、動物の目線から見る世界がテーマ。2018年から2021年に撮影されたシリーズで、ロボットカメラなど宮崎学氏の技術が盛り込まれた臨場感あふれる作品群が展示されています。この章も、子供から大人まで楽しめます。

今回取材時、もっとも多くの観覧者を長時間釘付けにしていたのは、第5章「死」の映像作品でした。宮崎学氏によれば、正面から向き合わなくてならないテーマであったそうです。

東京都写真美術館「宮崎学 イマドキの野生動物」展は、幅広い層が楽しめる、車椅子で観覧できる企画展です。

東京都写真美術館の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ご参照ください。

東京都写真美術館「リバーシブルな未来」車椅子観覧ガイド

東京都目黒区の東京都写真美術館(TOP)の企画展です。オーストリアと日本から、それぞれ4名のアーティストが参加するグループ展で、会期は2021年8月24日から10月31日まで。会場はTOPの3F展示場です。

TOPはバリアフリー施設で、車椅子でのアクセス及び観覧に大きな問題はありません。「リバーシブルな未来」展の観覧料は、障がい者減免制度があり、本人と介助者2名まで無料に減免されます。

東京都写真美術館「リバーシブルな未来」

「リバーシブル」とは「裏と表」。オーストリアのマレイ・クラーク氏は先住民族であるアボリジナルの作家。作品の舞台は海岸で、そこに写る人物は先住民族の文化と風習を身にまといます。1枚の写真に、民族の伝統と迫害の歴史、風習の遺物と現在の景観を織り交ぜた「裏と表」の作品です。

会場内でひときわ目を惹きつけるのは、日本の片山真理氏のセルフポートレート作品群です。身体的な障がいのある片山氏は、自らの体を写し撮り、障がいと健常、個人と社会の「裏と表」を表現します。

「裏と表」は対立しながら循環する関係。東日本大震災をテーマにした畠山直哉氏の「陸前高田」は、過去と現在、生と死、記憶と忘却などが対立しながら、未来を考えるシリーズです。

「リバーシブルな未来」は8名の作家によるグループ展。矛盾する構図、対立する概念、違和感のある要素などがある作品が並びます。それぞれの作家にとっての「裏と表」を鑑賞者が想像しながら楽しむ企画展です。

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