脳性まひなどにより、四肢に重度の障がいがある人のために考案された集団競技のボールゲーム、ボッチャの紹介です。勿論、脳性まひではない人でも、参加できます。
競技内容を簡単に紹介すると、ターゲットとなるボールを置き、そのボールに近づけるように投てき用のボールを投げて、近くに寄ったチームが勝ちになります。
脳性まひの人でも参加出来るために、工夫されているポイントを説明します。
指先だけでも動けば競技が出来ます。投てきボールは、ランプと呼ばれる勾配器具を使用して転がすこともできます。目標ボールに向かってランプを置き、その上に置いた投てきボールを「ちょん」と押して転がすことが出きれば、競技になります。
介助者が一緒に競技に参加できます。ボールを準備したり、ランプをセットしたりは、介助者がやっても構いません。
正式なルールとしては、細かい介助の規定がありますが、大雑把な理解としては、出来ないことは介助者が手伝ってよい競技です。
そして障がいのレベルによるクラス別になります。
以上の工夫により、競技のルールが理解できて、指先が動けば、重度身体障がい者でも競技に参加できます。
パラリンピック正式種目ですから、正式な大会での競技ルールは厳格です。例えば、使用できる車椅子にもルールがあり、投球にかけらえる時間も制限があります。ただし、クラブ活動などで一般的に練習するときなどは、メンバーの事情に合わせて、自由裁量で楽しみます。
競技は体育館で行います。「日本ボッチャ協会」があり、国内大会、そして世界大会が開催されています。
近年、障害者団体、福祉施設、特別支援学校などで、クラブ活動としてボッチャに取り組む団体が増えています。
知的な障がい、コミュニケーション面での障がいは無い、または軽く、身体障がいが重度の人が典型的なボッチャ競技者です。
一方、重度重複障がいがある人で、本人からは参加したい、というはっきりとした意思表示は無い人でも、家族の希望などでクラブ活動に参加している人が大勢います。
家庭、学校や施設以外に居場所を作る、友達を作る、コミュニケーションのある環境に身を置く、こういうことが家族の目的です。重度障がいのある家族に、様々な経験をさせてあげたい、刺激を与えたい、という希望は強くあります。
ボッチャの活動に参加させて、皆で集まり、家にいるのとは違う環境に身を置き、練習することが目的のクラブ活動になります。
ボッチャは、本来の競技目的とは違う意味でも、重度障がいの世界で広がりつつあります。
(本稿は2019年11月に執筆しました)