障がいのある子を抱える家族の悲願の一つは、トイレで出来る、です。
一人でトイレが出来るのが理想ですが、あるレベル以上の身体障がいがある子の場合、トイレの介助は必須です。これは仕方がありません。また便器で座位をとることが全くできないほどの重度身体障がいの子は、トイレは無理です。
身体、知的に重度の障がいはあるが、介助をすれば座位はなんとかとれる子は、トイレで出来ることが家族の悲願になります。
普通の幼児でも、トイレトレーニングで最初から喜んでトイレに行く子は稀です。重い障がいのある子も同じで、大概嫌がります。
便器で座位がとれるのであれば、2歳3歳からでも頑張るべきなのですが、嫌がるのでトレーニングが続きません。
小学校年代になると体が大きくなり、幼児用のオムツが入らなくなり、なんとかしたいという強い思いが家族に起こります。一般的にいって5歳6歳くらいから、本気でトレーニングに入る家庭が多いようです。
時間管理によるトイレでの訓練です。前回尿がでてから一定時間を経過すれば、トイレにつれていき、座らせます。
重い障がいのある子は、おしっこをしようと思う、排泄に力を入れる、という一連の動きができません。知的、コミュニケーション上の重い障がいがある子の場合、排泄行為自体を理解するまでに相当の時間がかかります。なんのためにトイレで座らされているのかが、なかなか理解できないように見えます。
年単位でのトイレトレーニングの結果、出来るようになった人もいます。ついにできずに今に至る、という人もいます。
普通の幼児のトレーニングと同じといえば同じですが、年齢が高い、訓練が長期化する、ひょっとすると無理かもと思う迷い、などが家族を襲います。
それでもがんばって、だいぶ出来るようになったとしても、次はオムツ外し。ここからがまた、難行苦行が続きます。
小に比べて大は更に難易度があがります。トイレが間に合うタイミングで、何らかのサインを出してくれるようになると、助かります。
長いながい挑戦の末、トイレで出来るようになった人を知っています。人の成長の可能性は無限大です。今苦労している家族に「トイレで出来た」という日が来る可能性はあります。トレーニングを頑張ってください。
(本稿は2019年11月に執筆しました)