東京都大田区にある、東京湾の埋め立て地に蘇った野鳥の楽園「東京港野鳥公園」は、車椅子でバードウォッチングを楽しめる公園です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
最寄りの駅は東京モノレールの流通センター駅です。大森駅、平和島駅からのバスもあります。また無料駐車場があり身障者専用区画があります。
公園前の道から入口までが急坂路です。一般駐車場は坂の下ですが、身障者用駐車区画は、急坂の上の公園入口の前に用意されています。したがって車でのアクセスが最も便利です。
東京港野鳥公園の入園料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。休園日は月曜日、祝日の場合は翌火曜日と年末年始です。
園内の概要と車椅子お薦めコースを紹介します。公園は東西の2ブロックに分かれ、それぞれでバードウォッチングなど自然観察が楽しめます。
園内の通路はすべてがバリアフリーではなく、未舗装路や急坂路の箇所もあります。車椅子利用者にお薦めしたいのは「ネイチャーセンター」屋内からのバードウォッチングです。入口から「ネイチャーセンター」までのルートのバリアフリー状況を詳しく紹介します。
入園すると最初に芝生広場があります。この横にトイレ棟がありバリアフリートイレがあります。ネイチャーセンター内にもバリアフリートイレがあります。
ネイチャーセンターまでは大部分舗装通路が整備されていますが、芝生広場の周回路のごく一部分は未舗装路で、雨上がりは車椅子がドロドロになるリスクがあります。デコボコはひどくないので、路面が乾いてれば車椅子での通行に大きな問題はありません。
舗装通路を通り「いそしぎ橋」を渡り、東エリアに進みます。その先に、左が舗装路、右が未舗装路の分岐点があります。
左の舗装路を進むとその先に「東観察広場」があり「東淡水池」の様子を観察することができます。ただしその先「ネイチャーセンター」までは、やや傾斜角度が急な下り坂を通ることになります。
坂道が嫌いな人は、右の未舗装路に進むと緩やかな傾斜路です。未舗装ですがデコボコはそれほどひどくはありません。このルートを通ると「東観察広場」には行きません。
東観察広場は観察用の壁がある露天施設で、壁には様々な高さののぞき穴があり、多数の望遠鏡が設置されています。車椅子からの高さでも覗くことが出来る高さの穴があります。
露天屋外の観察場なので、静かにするのがルールです。声がでるタイプの障がいのある人と一緒の場合は、この点はご注意ください。
「ネイチャーセンター」は下り坂の先にあります。ここはバリアフリー施設です。エレベーターがあり、冷暖房完備で、車椅子で快適に屋内から自然観察が出来ます。
建物は4フロア構造。エントランスフロアは2Fで、大きなガラス張の観察ルームです。バリアフリートイレはこのフロアにあります。1階下の1Fフロアもほぼ同様の構造。より低い位置から「潮入りの池」を車椅子から観察できます。
両フロアには望遠鏡が多数あり自由に使用できます。またレンジャーやガイドスタッフがいるので、聞きたいことがあれば質問が出来ます。野鳥以外にも、例えば跳ね上がる魚や湿地の蟹などの観察も出来ます。
「ネイチャーセンター」の1Fと2Fはバリアフリー環境ですが、他の2フロアは車椅子利用上の問題があります。
3Fは展望室で「東淡水池」方面を高所から観察できます。ただし窓ガラスの位置がやや高く、車椅子からの目線では空を見上げることになります。
地階は湿地に面したフロア。湿地内に通路があり歩き回ることができます。この湿地観察通路は幅が狭く、一般的な車椅子は通行不可。車椅子での通路からの観察は出来ません。フロア内部からの湿地観察になります。
2018年4月。11ヘクタール干潟が広がりました。新しい干潟は前浜干潟。観察用の「前浜干潟観察デッキ」が新設されました。ただし「ネイチャーセンター」から先は、激しいデコボコはありませんが未舗装路です。
「2号観察小屋」と「1号観察小屋」へは、やや急な傾斜がある未舗装路を通ります。いずれも無理をすれば車椅子でも通行できるレベルです。
西エリアのバリアフリー状況です。「西淡水池」がある公園西エリアへは、身障者専用駐車区画の横から、比較的傾斜の緩い未舗装路で「自然生態園」まで進むことができます。「3号観察小屋」と「4号観察小屋」にかけても未舗装路で多少のアップダウンがありますが、無理をすれば車椅子でもなんとか通行できるレベルです。
「ネイチャーセンター」屋内からのバードウォッチングは、一年中、車椅子利用者にお薦め出来ます。「東京港野鳥公園」は、一部の未舗装路を通行できれば、車椅子で自然観察が楽しめるバリアフリー施設です。
千葉県習志野市の「谷津干潟自然観察センター」を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2018年5月の取材に基づいています)