障がいのある人、特に知的な面、コミュニケーション面で重い障がいがある人は、独特のコダワリがある場合があります。危険が伴うほどの極端な行動が現れる場合は「強度行動障害」とされます。
そこまではいかなくとも、世間の人を驚かせてしまうコダワリ行動をしてしまう、障がいのある人がいます。このコダワリは、年齢とともに変化します。久しぶりに会うと、コダワリが変わっている人が多いようです。
様々な軽微なコダワリを見たことがありますが、ティッシュへのコダワリをもっている障がいのある男性を複数人知っています。
ポケットティッシュ、ボックスティッシュやウェットティッシュなどを、常時持っています。片手に箱を持って、片手に数枚のティッシュをもっていたりします。近くにいる人に、そのティッシュを強引にプレゼントしてくれたりもします。人がポケットティッシュを持っていると、欲しがる人もいます。
こういうコダワリを持っている人は、あまり愛想がない人が多いのです。無表情で、突然近づいてきて、無言でティッシュを差し出す。学校や施設の中など、周りの人が解っている場合はいいのですが、公園などで知らない人にやると、キャーといわれてしまいます。知的障がい者、イコール怖い人というイメージが出来てしまう典型的なパターンです。
なぜそういう行為をするのか、家族など近しい人にも解りません。いったんティッシュプレゼントのスイッチが入ると、周囲の人が止めても止まらないくらい、激しくプレゼントに走る人を見たこともあります。まさにグチャグチャになるまで、同じティッシュを握り続けている人を見たこともあります。「紙をください」と、周囲の人に真顔でお願いし続けている人も見たことがあります。
障がいのある人のコダワリ。危険性がなくても、あまりに激しく、人迷惑なコダワリがあると家族は大変です。家や施設から出られなくなります。
愛嬌のある、可愛げのあるコダワリならいいのですが、一般に本人以外はとてもついていくことが出来ないのが、障がいのある人のコダワリです。重い障がいのある人の不可解なコダワリ行動に、家族は深く悩んでいます。
(本稿は2019年11月に執筆しました)