静岡県浜松市の「アクトシティ浜松」は車椅子で利用できる複合施設です。バリアフリー面を中心に現地の状況を紹介します。
施設の全体概要です。1994年から1995年に開業した複合商業施設です。
A棟からD棟まで、4つの建物からなる複合施設です。A棟は文化ホール。立派なコンサートホールなどがあります。大ホールは四面舞台、中ホールはシャンデリア、パイプオルガンがあります。B棟は中層階まではレストランなどの商業店舗、高層階はホテルオークラです。C棟は展示イベントホール。D棟は「楽器博物館」と研修センターです。
浜松駅からのバリアフリー状況です。浜松駅からA棟、B棟、C棟、D棟まで、全ての2階部を繋いでいる歩行者用デッキがあります。ところどころに「動く歩道」が設置されています。車椅子での利用も無理ではありません。
車椅子で移動する際の3つの注意点です。駅ビル「メイワン」からデッキにつながるスロープは、車椅子では傾斜がきついスロープです。A棟からB棟に抜ける通路は屋根がありません。雨天は注意して下さい。B棟への入口付近がビアホールで、お客さんが大勢いると車椅子では通りぬけが難くなります。
駐車場のバリアフリー状況です。アクトシティの地下駐車場は4つの棟それぞれにあり、更に一部はB1とB2の2フロアあります。
どこに停めたのか解らなくなる人が多いようで、プラットフォームに「お客様が駐車された場所は、B2Fの赤色ゾーンです。お帰りの際は○○エレベーターを利用してください」と駐車箇所が記された「チラシ」が置いてあります。利用してください。
今回の取材では、A棟B2にある身障者用駐車区画を利用しました。4台分のスペースが設置されています。
このスペースは横の広さは余裕があり過ぎるくらい。通常の一般駐車区分の2倍はあります。後付設置の身障者用駐車スペースのようなので、一般駐車スペースの2台分を1台分に変えたのかもしれません。
施設内のバリアフリー概況です。設備のメンテナンスは実施されています。また部分改修でバリアフリー面も強化が進んでいます。ただし施設の規模に比べると、バリアフリートイレの数は多くはありません。
アクトプラザの飲食店は、確認できた限り車椅子で利用できる段差の無いテーブル席のお店が多いようです。浜松餃子をいただけるグルメ店もあります。
アクトタワー最上階は有料の展望回廊で車椅子利用できます。結婚式などで貸し切りになることもあります。
アクトシティの歴史と現状を紹介します。浜松の貨物駅の跡地を核にして建設された複合商業施設です。バブル期に企画された複合商業施設で、完成した時にはバブルは崩壊していました。 コンセプトは「音楽の街 文化都市 浜松」です。
郊外の商業施設に顧客を奪われて、中心部が空洞化したドーナッツ現象の典型例として語られてきた浜松駅周辺部ですが、高層マンションの建設などにより、人の動きが戻ってきているようです。
そのような環境もあり、情報によると長い低迷期を脱して、近年少しずつですが、レストランやショップの売上、ホテル稼働率、オフィス入居率などが向上しているようです。ただ、ホールなどの文化施設の稼働状況は、まだ苦戦している模様です。
アクトシティ浜松は1995年開業の施設ですが、メンテナンスされて車椅子で利用できる施設になっています。
東海道随一の絶景ポイントに建つ「道の駅潮見坂」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2015年8月の取材に基づいています)