特別支援学校 重度の障がいがある小学生の全校遠足

特別支援学校 重度の障がいがある小学生の遠足

重度重複障がいのある小学生が通う特別支援学校でも、遠足があります。学校の先生方が、周到な準備を重ねて企画します。本稿では、毎年5月に、全校生徒で大きな公園に遠足に出掛ける小学校の例をご紹介します。

体調の管理は慎重に行います。遠足の3日前くらいから、朝晩の熱を記録するシートが家庭に配布されます。家庭で熱を測って記入します。当日の荷物の準備も大変です。5月の公園の気候は、当日その場でどうなるのか分かりませんので、暑さ対策、寒さ対策の両面で備えます。急な雨への対策も準備しておきます。

当日はお弁当です。普通食を食べることが出来る子のご家庭は、普通の遠足のお弁当の準備と同じです。たいへんなのは、中期食や初期食の子どもの家庭です。作り慣れているとはいえ、せっかくの遠足お弁当ですから、美味しくて、見た目にもこだわったお弁当を作ります。ミキサーやトロミ材を巧みに使って、驚くほどの仕上がりのお弁当をつくるご家庭もあります。そういう子どもは、お出かけの支度、朝の食事も一人ではできないので、家庭の朝は大忙しです。

通常通りのスクールバスで登校します。9時前には全員が学校に到着。9:30には学校から公園に出発です。全校遠足なので、スクールバス全便がフル動員され、先生と児童が乗りこみます。

先生の荷物も半端ではありません。着替えやオムツ替えが必要な児童のために、大型のテントまで持参します。万が一に備えた救急道具も、酸素ボンベまであるフルパックです。レクリエーション生演奏用のギター、太鼓など楽器類も持っていきます。

重度重複障がいの児童の遠足は、マンツーマン対応が基本です。保健室の先生も含めて、学校側も総員で対応します。児童と先生がペアで、お散歩をしたり、ゲームで遊んだり、先生のギター演奏で歌ったりします。

そして昼食タイム。初期食の児童の場合、お食事だけでつきっきり1時間かかる子もいます。先生は自分の食事は片手でパクパクでおしまいです。日頃から慣れているとはいえ、公園でのお弁当は、いつもとは違う大変さがあります。

15時過ぎには下校のスクールバスの時間になるので、昼食後は学校に戻る準備が始まります。大荷物の片づけです。実質10時過ぎに到着し、13時過ぎには出発になります。それでも公園で1回か2回は、児童のトイレが入ります。大忙しの遠足がこれで終わります。

学校に到着すると、ひと休憩。体力的に弱い子が多いので、無理は出来ません。ゆっくりと水分補給をして、軽いストレッチなどで体調を整えます。隙間をみて先生たちは、今日の様子を連絡帳に書きます。そして下校になります。

ある特別支援学校の遠足の実際です。この学校の場合、遠足の写真は後日教室や廊下に掲示され、保護者が見ることが出来ます。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「特別支援学校の修学旅行でディズニーランドへ行く」を掲載しています。ご参照ください。