山梨県北杜市長坂町は国蝶オオムラサキの全国一の生息地。「北杜市オオムラサキセンター」は、車椅子でオオムラサキの生態観察ができる施設です。
オオムラサキセンターは八ヶ岳高原に広がる約6haの「オオムラサキ自然公園」内にあり、「本館」「森林科学館」「生態観察施設びばりうむ長坂」3つの施設で構成されます。オオムラサキ自然公園は散策路が整備されていますが、段差やデコボコがある未舗装の路なので、車椅子での散策は困難です。車椅子ではオオムラサキセンターの3施設の利用をお薦めします。
アクセスは日野春駅から徒歩10分の案内です。来館者用の無料駐車場が用意されています。身障者用駐車スペースの設定はありません。車椅子で乗降しやすい場所に駐車してください。
駐車場からオオムラサキセンターのエントランスまで、50mほど舗装された下り坂を進みます。エントランス前に身障者用駐車スペースの設定はありません。一般駐車場から車椅子で移動してください。
派手なアイコンが目立つオオムラサキセンター本館の入口は、段差迂回スロープが設けられています。
本館の出入口はフラットな構造の自動ドアです。奥にあるもう1枚のドアは手動ですが、今回訪問時は開放されていました。
北杜市オオムラサキセンターの観覧料は障がい者減免制度があり、本人が半額に減免されます。本館受付で障害者手帳等を提示して減免措置を受けてください。バリアフリートイレは本館エントランスの近くにあります。
一般的なサイズの個室で、シンプルな設備のトイレです。
本館のバリアフリー状況です。本館ではオオムラサキの生態、分布、オオムラサキが生息する里山などについて学びます。入口の近くに「オオムラサキのしくみ」を解説する展示があります。車椅子から観覧できます。
里山を紹介する大型展示物では雑木林が再現されています。フラットな通路から車椅子で見学できます。
里山に生息する動物たちの展示。オオムラサキと共に生きている仲間たちです。
フラットな展示室には企画展示エリアがあります。今回訪問時は「里山の虫たち展」が開催されていました。
本館にはテラスがあり、可動式のフリーテーブル席が置かれています。
見る価値のある動物を表現した力作のベンチも置かれています。テラスへは小さな段差があるので、車椅子を慎重に動かして移動してください。
本館から連絡路を通り森林科学館へ移動します。森林科学館では世界の蝶や昆虫の標本約1万点が展示されています。たいへんなボリュームです。
廊下と展示室におびただしい数の標本が展示されています。丁寧に観察すると時間がいくらあっても足りません。
展示室内に「カブト・クワガタふれあいの森」がありました。出入口の幅がやや狭いので車椅子でケージ内に入るのは苦戦しますが、ケージの外からカブトとクワガタが観察できました。
次に生態観察施設びばりうむ長坂へ移動します。森林科学館からドアを出て、短い距離ですが屋外を移動します。舗装通路が整備されています。
びばりうむ長坂の大きなケージが見えてきます。植物園の鑑賞ドームのような施設です。
びばりうむ長坂へは2重のドアを開閉して入ります。手動の横開きドアで、方側を開ければ普通サイズの車椅子は通行できます。
オオムラサキが外に出ないように注意して、2重のドアを通り内部へ移動します。
オオムラサキが生息する里山を再現した施設です。広さは1,400㎡。車椅子で散策できる木製のバリアフリー歩道が整備されています。
バリアフリーな散策路を、蝶を観察しながら進みます。ものすごい数のオオムラサキが生息しています。
木の枝や幹にオオムラサキがいます。クワガタやカブトムシもいます。
びばりうむ長坂内の散策路は多少の傾斜がありますが、車椅子での移動に問題がある角度ではありません。バリアフリー木道から外れた観察路は、段差やデコボコがあるので車椅子では通行できません。
バリアフリー木道の上にもオオムラサキがいます。
羽を広げた雌のオオムラサキを、真上から観察できました。
駐車場から本館までは坂道を通りますが、北杜市オオムラサキセンターは、国蝶オオムラサキの生態を知り、そして生態観察ができる、車椅子で観覧できるバリアフリー施設です。
オオムラサキセンターから同じ北杜市の「ハイジの村」は車で20分ほどの距離です。別稿「山梨県立フラワーセンター・ハイジの村 車椅子観光ガイド バリアフリー情報」で詳しく紹介しています。ご参照ください
(本稿は2022年8月に執筆しました)