東京都大田区の「大森海苔のふるさと館」は、2008年に開館した車椅子で見学ができるバリアフリーな入館無料の資料館です。施設名称は海苔の故郷が大森であることを意味しています。大森が海苔の大産地として発展し、江戸時代の終わり、大森から海苔づくりが全国に広がりました。
人工の浜辺を再現した「大森ふるさとの浜辺公園」内にある施設です。アクセスは平和島駅から徒歩15分の案内。車椅子利用者は車の利用が便利です。駐車場は大森ふるさとの浜辺公園駐車場を利用します。有料駐車場で、駐車料金の障がい者減免制度はありません。身障者用駐車スペースが設けられています。
これとは別に同駐車場内に、大森海苔のふるさと館の来館者専用身障者用駐車スペースが1台分あります。通常は入口にポールが立ち駐車できないようになっています。利用したい場合は大森海苔のふるさと館へ事前連絡をして下さい。ここに駐車しても大森ふるさとの浜辺公園駐車場の出庫ゲートで駐車料金がかかります。
大森海苔のふるさと館のエントランスに向かいます。エントランス周辺はフラットな舗装路面です。
館内への出入口は一か所です。車椅子で問題なく利用できます。
2枚の自動ドアを通り館内へ入ります。
入口に貸し出し用の車椅子が置かれています。
大森海苔のふるさと館は3フロア構造の施設です。1Fは展示室、ライブラリー、体験学習室。2Fは展示室と講座室。3F は休憩コーナーと展望テラスです。
バリアフリートイレは1Fにあります。
スペースは一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。
1Fの展示は「海苔のまち大森の記憶」。昭和33年に造船された全長13ⅿの海苔舟が展示されています。
大田区に唯一残る本物の海苔舟です。観覧スペースから車椅子で問題なく見学できます。
1Fのライブラリーでは海苔に関する情報を本やPCで閲覧できます。テーブルは可動式で、PC台の下は車椅子の足が入る構造です。
エレベーターで2Fへ上がります。一般的なサイズの車椅子は利用できるサイズのエレベーターです。
2Fは海苔に関する技術、歴史など様々な情報が紹介される展示室です。1000点以上の海苔関係の資料があり、内881点が国の重要有形民俗文化財に指定されています。すべての展示を車椅子から観覧できます。
船、養殖道具、作業道具、作業着など、往時の資料が丁寧な解説とともに展示されています。大森は日本の海苔発祥の地。1700年代の前半、江戸時代享保年間の頃、大森界隈で海苔の養殖技術が開発され、それが江戸末期に日本全国に伝わり、明治になって各地で海苔の生産が始まったそうです。海苔のふるさとは大森です。
大森の海の変遷を知る貴重な写真が展示されています。全盛期の大森海苔養殖場は、ほぼ現在の羽田空港全域です。羽田空港全てが海苔の漁場でした。大森の海苔生産の歴史は、1962年に終わりました。
エレベーターで3Fへ上がります。休憩コーナーはフラットでスペースに余裕があるので、車椅子で利用できます。
手動ドアを開けて展望テラスに移動できます。段差はありません。
小さなテラスに花壇があります。テラスはフラットで、車椅子で利用できます。
展望テラスから、大森ふるさとの浜辺公園を眺めることができます。
大森ふるさとの浜辺公園のバリアフリー状況を紹介します。大森海苔のふるさと館が建つのは「ふるさとの広場」の横で、人工砂浜などがあるエリアは「浜辺橋」を渡った先のエリアになります。
大森海苔のふるさと館の前に、砂浜などへの行き先掲示板が設置されています。
園内の散策路は傾斜が緩い舗装路面です。車椅子で散策できます。
ややアップダウンがある散策路もあります。
砂浜までは少し距離がありますが、海沿いまではすぐに着きます。
公園に船舶が係留されています。
大森ふるさとの浜辺公園のトイレ棟に、バリアフリートイレがあります。
大森海苔のふるさと館は、江戸から昭和にかけての海苔養殖の歴史を学ぶ大人が楽しめる展示があります。車椅子で観覧できるバリアフリーなオンリーワン資料館です。
東京のユニークな博物館を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年7月に書き直しました)