笠間日動美術館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

笠間日動美術館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

茨城県笠間市の「笠間日動美術館」は、昭和47年に開館した歴史ある施設ですが、バリアフリー改修が進み、ほぼ全館を車椅子で利用できます。ただし完全なバリアフリー施設ではありません。車椅子での観覧に役立つ現地の情報を紹介します。

笠間日動美術館

細長い敷地のなだらかな丘陵に、3棟の展示館と野外彫刻庭園がある美術館です。

笠間日動美術館 車椅子観覧ガイド 

年間5本前後が開催される企画展史室と、7つの常設展示室で構成されます。

笠間日動美術館 車椅子観覧ガイド 

観覧料の障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で本人と介助者1名が半額に減免されます。

入口は細長い敷地の両側2か所、企画展示館側とパレット館側にあります。車椅子でのアクセス方法が問題です。現況を詳しく紹介します。

笠間日動美術館

笠間日動美術館へは、車でのアクセスが便利です。企画展示館側から入館する場合、いずれも無料駐車場の「市営駐車場」または「そば屋一茶庵前駐車場」の利用が案内されています。

車椅子利用者は、企画展示館前のフリースペースに駐車できます。駐車区画は整備されていません。また身障者用駐車場であることを示す大きなサインはありません。ポールに車椅子マークが付けられています。

笠間日動美術館

誘導するスタッフはいないので解りにくいのですが、企画展示館前に車を乗り入れて、適切なスペースを自分で判断して駐車します。

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企画展示館のエントランスは階段ですが、段差回避スロープが用意されています。

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反対側の入口、パレット館側から入館する場合は、無料駐車場「パレット館前駐車場」を利用します。収容台数は20台ほどの駐車場で、美術館入口の目の前にあります。

駐車場から美術館の敷地内に入ります。緩やかな上り坂を少し進むと、屋外に入館受付窓口があります。ここで障害者手帳等を提示して、観覧料を支払います。その先に「パレット館」、横に「フランス館」があります。

笠間日動美術館

「企画展示館」と「パレット館」「フランス館」の間が「野外彫刻庭園」です。企画展示館の3Fからスロープ路を通り、野外彫刻庭園に出ます。庭園内は傾斜面で企画展示館側が高地で、「パレット館」「フランス館」側が低地です。庭園内は段差回避する舗装された坂道の通路があり、フランス館の2Fにつながります。

笠間日動美術館 車椅子観覧ガイド 

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一般的な車椅子利用者なら通行出来るレベルの傾斜路ですが、坂道が苦手な人は、企画展示館前からパレット館前駐車場へ車で移動するのも作戦です。その場合は受付スタッフに申告して下さい。再入館券を発行していただけます。

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バリアフリートイレは企画展示館の1Fに用意されています。取材時の状況では、設備更新されて綺麗なトイレでした。ユニバーサルベッドはありません。

「企画展示館」「パレット館」「フランス館」の出入口は、デザインされた手すりがある手動ドアです。開閉式の重いドアなので、車椅子では介助者がいると助かります。

笠間日動美術館

各館にエレベーターが用意されています。

その中でパレット館のエレベーターは、小さなホームエレベーターで、一般的な車椅子1台でほぼいっぱいになるサイズです。大型の車椅子は入りません。また介助者の同乗は小柄の人に限られます。

笠間日動美術館

企画展示館のバリアフリー状況です。企画展示館は1Fと2Fが展示室で、3Fはカフェと「パレット館」「フランス館」につながるスロープ路になります。

1Fと2Fの展示室は、フラットでスペースに余裕があります。また常設展示室「鴨居玲の部屋」があります。

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ドアは手動ですが、それ以外には車椅子での展示作品鑑賞に問題はありません。

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パレット館のバリアフリー状況です。建物は5F構造ですが、展示室は1Fから3Fまでです。

1Fが様々な画家のパレットが展示されるコーナー。2Fは小さな空間を利用した展示室で、年に2回ほど展示替えされます。

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3Fが「金山平三・佐竹徳記念室」で、両画家の作品が展示されます。

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ドアが手動で、エレベーターが狭い問題はありますが、それ以外は車椅子で利用できます。

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フランス館のバリアフリー状況です。展示室は2フロア構造です。

1Fには創設者の「長谷川仁・林子記念室」があり、夫妻の収集品や愛蔵品が展示されます。他にデッサン作品が並ぶ「デッサン室」とミュージアムショップがあります。

2Fはフランス美術の展示室。モネ、ルノワール、ゴッホ、シャガール、フジタなど巨匠の名画が展示されます。笠間日動美術館のハイライトな展示室です。

フランス館は通常サイズのエレベーターがあり、各フロアはフラット構造です。車椅子での作品鑑賞に問題はありません。

3Fは半屋外型のバルコニーになっています。車椅子で利用できます。

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野外彫刻庭園のバリアフリー状況です。傾斜面を利用した庭園なので、車椅子での散策路は迂回傾斜路になります。日本を代表する作家の作品が19体展示されます。体力のある人、元気な介助者がいる人なら、車椅子で散策できます。

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新しい施設ではありませんが、決定的なバリアポイントは解消されています。笠間日動美術館は、ほぼ全館を車椅子で利用できます。ただし大型車椅子の利用者、およびエレベーター利用に介助者が必要な人は、エレベーターが狭いため、パレット館2Fと3Fの見学は出来ない可能性があります。

笠間芸術の森公園にある「茨城県陶芸美術館」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2020年1月の取材に基づいています)