雄大で美しい境内が魅力の南禅寺はバリアフリーではありませんが、無理をしてでも車椅子でお参りする価値のある寺院です。
なお南禅寺の有料公開施設はすべて障がい者減免制度があり、障害者手帳の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。
車椅子利用者は車での参拝が便利です。境内入口にお寺直営の参拝者用駐車場があります。2020年3月現在で、駐車料金は概ね2時間までが1,000円です。
駐車場入口に管理員さんがいるので料金を支払います。手書きで入庫時間を記載した大きな駐車カードが渡されます。車椅子利用の旨を申告して、駐車場所の誘導を受けてください。
境内のバリアフリー状況です。「三門」は段差構造のため車椅子では通行できません。門の右側の舗装路面を進みます。境内は緩やかな傾斜地で、舗装路は車椅子で通行可能な上がり坂です。
有料施設「三門」は、階段を上がり内部を見学します。車椅子では内部は拝観できません。外観を見学する場合も、周囲は砂利路面なので、車椅子では無理のない範囲での拝観になります。
その上の「法堂」は通常は内部非公開で、階段を上がってお参りします。周囲の路面は一部舗装路があります。「法堂」も車椅子では無理のない範囲での拝観になります。
さらに坂を上がると「疎水水道橋」があります。水道橋の近くへは、やや急な未舗装路面を上がります。路面には部分的にゴムマットが敷かれているので、無理をすれば車椅子で水道橋へ近づくことが出来ます。水道橋をバックに記念撮影ができる地点まで、頑張れば車椅子で行くことが出来ます。
水道橋の先に有料施設「南禅院」があります。ここは入口が石階段で、内部の庭園も段差構造です。車椅子での拝観は困難です。
国宝「方丈」のバリアフリー状況です。3つ目の有料施設「方丈」もバリアフリーではありません。それでも無理をすれば、車椅子で拝観が出来る可能性はあります。
「方丈」の館内への出入口に段差はありません。館内に入ると左手に受付があります。
その先、方丈内への入口に段差があり、靴を脱いで上がります。
屋内用の車椅子は用意されています。
何らかの方法でこの段差を上がり、屋内用の車椅子に乗り換えることが出来る人は、国宝「方丈」内を拝観できます。
「方丈」の内部はバリアフリー仕様です。段差箇所にはスロープがあり、数多くの部屋、そこに飾られる狩野派の障壁画、小堀遠州の庭など、ほぼすべてを車椅子で拝観できます。その場でアプリをダウンロードして、障壁画の解説を聴けるサービスがあります。「方丈」内には綺麗なトイレが用意されていますが、バリアフリートイレはありません。
南禅寺の「方丈」は、多少無理をしてでも拝観する価値のある国宝です。
南禅寺の境内は全般的にバリアフリーではありません。しかしながら車椅子で移動可能な範囲からの拝観だけでも、その魅力に触れることが出来ます。
なかでも「方丈」は、入口の段差を乗り越えることが出来る人は、多少無理をしてでも拝観に挑戦することをお薦めします。
(本稿は2020年3月の取材に基づいています)