京都東山の山頂に平成26年に建立されました。「青龍殿」には国宝「青不動」が安置され、その裏には京都を一望する「大舞台」があります。隣接する「将軍塚」は桓武天皇が平安京遷都の安泰を記念した場所です。
新しく誕生した施設ですが、車椅子では利用できない箇所があります。現地の状況を紹介します。
場所は東山の山頂です。傾斜の強い坂道を上ります。アクセスは車が便利。無料駐車場が用意されています。駐車場は「福徳門」内にあります。車で門をくぐり「青龍殿」の正面を通り過ぎると駐車場があります。身障者用駐車区画の設定はありません。駐車場からは東山の東側の風景がよく見えます。
駐車場から「青龍殿」正面へ向かいます。受付があるので拝観料を支払います。拝観料は障がい者減免制度があり、障害者手帳の提示で「大人料金」が100円減免されます。受付は段差の上なので、介助者がいると助かります。
通常の進行ルートは段差のある受付の前から進みますが、バリアフリールートはその右側にあります。途中に竹のバーが置かれているので、自分で持ち上げて通過します。ここは介助者がいると助かります。
「青龍殿」は入口に段差があり、中は土足禁止で靴を脱いで入ります。屋内用の車椅子は用意されています。何らかの方法で段差を上がり、靴を脱ぎ、屋内用車椅子に乗り換えができる人は、「青龍殿」内部に入ることが出来ます。
青龍殿内のバリアフリー状況です。国宝「青不動」は「青龍殿」の奥に安置され、通常は複製画を拝観します。
複製画の手前に2段の段差があります。そして2つ目の段差床面へは床暖房システム保護のため、屋内用車椅子の乗り上げは禁止です。
「青龍殿」は巨大な建築物ですが、内部には「青不動」複製画以外には、特に拝観する仏様はいらっしゃいません。
大舞台のバリアフリー状況です。「青龍殿」の裏側に京都市内を一望する「大舞台」があります。広さは清水寺の舞台の4.6倍です。
「大舞台」へは「青龍殿」の横からフラットな舗装路で移動できます。
「大舞台」はフラットな木製デッキです。車椅子で問題なく移動できます。「大舞台」の入口近くにトイレ棟があり、バリアフリートイレがあります。
見学コースは次に「将軍塚」の周囲に向かいます。「青龍殿」の前から、「将軍塚」を一周する通路はすべて砂利路面。車椅子ではかなり苦戦する路面です。「将軍塚」そのものは、小さな丸い山のような形状なので、無理をして周回見学路に進んでも、見える外見にあまり変化はありません。その先にある展望台は階段で上がります。車椅子では利用できません。
車椅子で無理をして「将軍塚」を回ると、その先は「庭園」になります。この園内の通路は隙間のある石畳で、車椅子での通行は困難です。砂利路面を引き返します。
見学コースから外れないように、コース外のルートにつながる個所には、竹のバーが置かれています。来た道を逆流して砂利路面コースで戻ります。
「大舞台」は車椅子で利用でき、フラットな床面から京都の街並みを眺望できます。「青龍殿」内は段差のある土足禁止施設、「将軍塚」は砂利路面、「庭園」は車椅子通行不能です。「将軍塚青龍殿」は、ご自身やご家族の障がいの状況に応じて、無理のない範囲で拝観することをお薦めします。
(本稿は2020年3月の取材に基づいています)