千葉県千葉市の「稲毛海浜公園」は、長さが3kmある大規模公園で、広い園内のほぼ全域を車椅子で散策できます。現地のバリアフリー状況を紹介します。
「稲毛海浜公園」は、1970年代後半から1980年代にかけて整備された公園です。総面積は83ha。公園は3ブロックに分かれます。
西側はヨットハーバーとその関連施設。東側はプール、競技場、テニスコートなど。そして中央部が芝生広場や散策路、各種施設などがあるエリアです。この中央部だけでも公園の約半分の広さがあり、車椅子での散策には広過ぎるほどです。
徒歩圏に駅はありません。車の利用が便利です。駐車場はヨットハーバー用と、一般用が公園中央部に2か所あります。東寄りが「第一駐車場」、西寄りが「第二駐車場」です。「第二駐車場」の方が、身障者用駐車スペースが数多く用意されています。
駐車料金は障がい者減免制度があり無料に減免されます。減免申請方法は、駐車券をもって「三陽メディアフラワーミュージアム」など指定の場所に行き、障害者手帳等を提示して減免処理をしていただきます。手続きが出来る指定の場所は、休館日などによって変わるので、駐車場入口に掲示されている指定場所の案内板を確認してください。
公園全体のバリアフリー状況です。園内の歩道は車椅子で通行可能ですが、完全なフラット路面ではなく、小さなデコボコがある箇所が多い歩道です。また段差をスロープで解消している箇所が多々あります。
園内の各所にあるほとんどの公衆トイレには、バリアフリートイレが用意されています。
最も混み合うのは、プールが営業している夏休み期間です。
「いなげの浜」のバリアフリー状況です。日本初の人工海浜である「いなげの浜」は、全長1,200mの人口の砂浜です。砂を綺麗にして2019年10月にリニューアルオープンしました。
「いなげの浜」のほぼ中央部に、歩道から砂浜に向かうスロープが設置されていますが、砂浜ですから車椅子では無理のない範囲での散策になります。
三陽メディアフラワーミュージアムのバリアフリー状況です。千葉市の施設でネーミングライツを導入している植物園です。
1996年オープンした施設で、スロープやエレベーターを利用して、全館を車椅子で観覧可能です。入館料は障害者手帳の提示で、本人と介助者1名が無料に減免されます。
第一駐車場の近くで、駐車場から施設敷地まではバリアフリールートです。
前庭はお花が咲き乱れています。後庭はバラ園です。
前庭と後庭は、未舗装路もありますが固い路面なので、車椅子で散策可能な無料エリアです。
その途中には「脇庭」とよばれるボーダーガーデンがあります。
三陽メディアフラワーミュージアムのエントランスへは、段差の横のスロープを上り進みます。エントランスのドアはそれほど広くはありません。
エントランスの脇には売店があり、多彩なお花関係商品が売られています。この売店は通路が狭く車椅子では利用が難しいお店です。
売店の奥にトイレがあり、バリアフリートイレあります。トイレへの通路の幅は狭いのですが、トイレの中は最低限の広さは確保されています。バリアフリートイレは、1Fの奥にもう一か所あります。
受付の先は「アトリウムフラワーガーデン」。2Fまでの吹き抜けの空間に、季節のお花が飾られています。「アトリウムフラワーガーデン」は、段差箇所にはスロープがあり車椅子で移動できます。お花の企画型展示コーナーが次々に現れます。
その先に「温室」があります。「温室」内の通路はフラットですが、通路幅は狭く、混雑時は車椅子での「温室」内鑑賞は苦戦します。
エレベーターで「温室」の2Fへ上ります。そこから「アトリウムフラワーガーデン」の吹抜部の横に幾つもの展示スペースが並び、それぞれ企画型のお花の展示があります。バルコニーを利用した「屋上庭園」「バルコニーガーデン」「日本庭園」なども配置。「フラワー発見ギャラリー」「フラワー体験カフェ」などもあります。ただし2Fの通路は狭く、車椅子での移動は可能ですが、混雑時は苦戦します。
エレベーターはエントランス寄りにもう1基あるので、車椅子でも効率的な動線で1Fに戻ることができます。
「アトリウムフラワーガーデン」の横の屋外に「中庭」があります。施設からの出入口は手動ドアです。
「中庭」の横にイタリアンレストランがあります。車椅子で利用できるお店です。
他に、「モネサロン」「うさぎの花屋」「花工房」などの企画展示コーナーや「図書室」があります。
稲毛海岸は、明治45年に日本で最初に民間飛行場が出来た場所です。そのことを記念した施設「稲毛民間航空記念館」があり、当時の飛行機の復元モデルなどが展示されていましたが、2019年に閉館しました。
「稲毛記念館」という施設は、休憩所や会議室などがある施設です。
そこに隣接して「海星庵」というお茶室があります。貸し出し用の施設です。
稲毛海浜公園は、経年劣化を感じる箇所もありますが、広い園内を車椅子で散策できます。駐車料金と植物園入園料は、障がい者減免制度があります。
(本稿は2019年11月の取材に基づいています)