千波湖を臨む高台に建つ「茨城県立近代美術館」は、1988年の開館。県立の名に相応しい立派な美術館です。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
アクセスは車が便利です。一般駐車場とは別に、建物裏手に4台収容の身障者専用駐車場があります。ルートは美術館HPに詳しく案内されているので参照してください。
空いていれば自由に利用できる駐車スペースです。不正利用防止のため美術館管理スタッフが事務所から監視しています。スタッフに「車椅子利用です」と申告してください。
身障者専用駐車場から美術館エントランスへは、建物外周を4分の1周して向かいます。
この間のルートはほぼフラットでバリアフリー。ただし屋根や庇はほとんど無いので、雨天は濡れます。
一般駐車場方面からのルートは、階段かスロープ路です。坂道が苦手な車椅子利用者でも、身障者専用駐車場からは楽に美術館へアクセスできます。
近代美術館は吉村順三氏の設計。建築物としては、広々とした解放感と高質感が特徴です。
展示室は1Fと2Fの2フロア。地階に講堂と講座室があります。バリアフリートイレは1Fです。全館バリアフリーで車椅子での利用に大きな問題はありません。
所蔵作品はルノワール、横山大観などのビッグネームから、水戸由来の作家など。その数は約4,000点。企画展は年に4回から5回開催されます。
近代美術館の入館料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。館内に入ると総合受付があります。ここで障害者手帳等を提示し、無料入館券を受け取ります。※2020年11月現在、特別展は入場時間のWEB予約制が導入されています。
展示室に入る前に、館内から眺望を楽しめます。1Fのロビー空間は大きな窓がある設計で、窓の向こうには千波湖が輝きます。
もちろんロビーはバリアフリー。車椅子でゆっくり千波湖の眺めを楽しめます。
展示室のバリアフリー状況です。1Fはコレクション展が開催される常設展示室が2室あります。
2Fが企画展示室です。
1Fの中央部に2Fへ向かう大きなスロープがあります。
これを利用しても良いのでが、やや傾斜がきついので、車椅子利用者はエレベーター利用が安全です。
展示室は空間的に余裕があるフラット構造。車椅子で鑑賞できるバリアフリーな展示室です。
エントランスホールや2F回廊部も広々した設計です。
美術館らしい、ゆっくりとした時間が楽しめます。
美術館に隣接して水戸市出身の洋画家中村彝氏のアトリエが新築復元されています。入室は無料です。
隣接していますが、高台にある美術館からいったん一般駐車場の高さに下りて、道を渡って向かうことになります。そしてアトリエ内部は段差があり、バリアフリー構造ではありません。
身障者専用駐車場、障がい者減免制度があり、建物は大きく高品質で眺めが良い。「茨城県立近代美術館」は、車椅子で利用できる美術館です。
無料公開されている「茨城県庁展望ロビー」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2020年11月に加筆修正しました)