施設から地域へ。2019年には全国でのグループホーム利用者が12万人を超えました。厚生労働省が「平成30年度障害者総合福祉推進事業」として実施した「一般社団法人日本グループホーム学会調査研究会」による「グループホームを利用する障害者の生活実態に関する調査研究」で公表された数値から抜粋して、平均的な生活状況を紹介します。
○過半数が社会福祉法人で3割は赤字
グループホームを運営している法人は、社会福祉法人が51%、NPO法人が28%です。営利法人は7%と少ない状況です。
収支の状況は、赤字が30%、均衡が26%、黒字が23%。合計が100%にならないのは、「分からない」と「無回答」の法人が多数あったためです。
○定員は4名が最多、20名以下が9割
グループホームの定員数は4名から7名までが52%になります。これは定員が8名以上になると報酬の減算対象になることが影響しているようです。
更に21名以上になると減算率が上がります。20名定員以下のグループホームが全体の92%を占めます。
○平均年齢は48歳
利用者の年齢は20歳から70歳まで、48歳を中心に幅広く分布しています。
性別は男性が64%、女性が36%と、大差があります。
通算の居住年数の平均が7.2年でした。
○支援区分は2から5が多い
利用者の支援区分は
1が 3%
2が20%
3が24%
4が19%
5が11%
6が 8%
非該当と無認定が15%です。
○車椅子利用者は6%
利用者の92%は、補装具を使わずに移動できます。
○年金受給者が88%
利用者の内「障害基礎年金 1 級」が31%、同「2級」が57%です。
平均の年金月額受給額は7.3万円になります。
これに工賃や親からの仕送りなどを加えた平均月収は9.7万円です。
就労継続B型で働いている入居者が38%います。
○自由なお金は月に3.4万円
支出の項目の平均月額は以下になります。
利用者負担の家賃が2.2万円
食材費が2.0万円
水道光熱費が1.0万円
その他の日用品と日常生活費が0.9万円
個人的に生活費やお小遣いが3.4万円です。
個人収支の状況は「少し余裕があり預貯金ができる」が46%、「収入と支出がほぼ同じ」が40%となっています。
○入居前は家族と同居
グループホームに入居する前の状況は、自宅で家族と同居が40%、入所施設が22%です。
施設から地域よりも、自宅からホームの人が多数です。
利用者の障がいの状況によって、各グループホームの実態は大きく変わりますが、調査結果からみる平均像は以上です。
(本稿は2020年9月に執筆しました)