山梨県山梨市にある、山一面を観光地化した公園です。開園は1995年。バリアフリー仕様の施設ですがアップダウンがあるので、車椅子でどこまで利用できるかはその人の障がいの状況によります。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
〇公園の概要
様々な施設がある公園です。屋外施設としては、野外ステージ、アスレチックや幼児用遊具、水遊び場などがある公園施設、花畑や花の広場、ドッグラン、バーベキューができるコーナーなどがあります。
屋内施設としては「くだもの館」「わんぱくドーム」「くだもの工房」の3棟があり、屋内ステージ、子供向け展示室、子供用アスレチック、マルシェ、レストラン、ワークショップ教室などがあります。
山の上部エリアには「富士屋ホテル」「横溝正史館」「フルーツセンター」「やまなしフルーツ温泉ぷくぷく」、恋人の聖地になっている展望広場などが点在します。
アップダウンが激しい公園内は、有料の「ロードトレイン」が運行されています。
ロードトレインは最後部の車両が車椅子乗車用です。また運賃の障がい者減免制度があり無料に減免されます。
〇駐車場の状況
笛吹川フルーツ公園には、複数の無料駐車場が用意されています。この内、身障者用駐車スペースがあるのは、P1‐AとP2-A。車椅子マークがペイントされた、屋根なしの駐車区画があります。
P2-Aは屋外アスレチック施設などに近い場所ですが、公園内で最も低い位置にあるので、散策路は上り坂になります。車椅子利用者は、P1‐A駐車場の利用が無難です。ここからはトンネルを通り、ほぼフラットにインフォメーションセンター付近まで車椅子で進むことができます。
上部エリアにある「横溝正史館」「フルーツセンター」などを利用する場合は、車で山を上り、上部エリア施設用の駐車場を利用します。「富士屋ホテル」「やまなしフルーツ温泉ぷくぷく」には、専用駐車場があります。
〇バリアフリートイレの状況
屋外にある6か所のトイレ全てにバリアフリートイレがあります。屋内のバリアフリートイレは「くだもの館」と「くだもの工房」内。下の写真は「くだもの館」のトイレです。今回取材時は設備更新されて綺麗なトイレでした。一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器とオストメイトが備えられています。
〇笛吹川フルーツ公園内の車椅子で移動可能なルート
インフォメーションセンター付近から、盆地を見渡す展望テラスまでは、フラットな舗装路面です。
次にドーム「くだもの広場」に向かうには、花畑の中の折り返しスロープ路を上がります。このスロープは極端な急坂ではありません。楽ではありませんが、元気な介助者がいれば車椅子で通行可能です。
「くだもの広場」内はバリアフリー仕様です。
展示室「くだもの館」へ車椅子で移動でき、かつ展示も車椅子から観覧可能です。
ただし「くだもの館」からお隣の「わんぱくドーム」への移動ルートは階段で、エレベーターはありません。車椅子の場合、いったんメインエントランスに戻り、そこから屋外通路を通行し、「わんぱくドーム」「くだもの工房」に移動します。このルートの坂の傾斜は車椅子には辛い角度があります。
坂道が苦手な人は、第一駐車場からインフォメーションセンター、展望テラス、そして「わんぱくドーム」「くだもの工房」までなら、車椅子で大きな無理はなく、散策可能です。
〇笛吹川フルーツ公園内の傾斜角度が強いルート
第二駐車場を利用した場合、そこから公園内に進むと、すぐにアップダウンが始まります。遊具広場などの横を通り、インフォメーションセンター付近まで、200ⅿほどの坂道です。このルートがクリアできるのは、坂道に強い人だけです。
「わんぱくドーム」はアスレチックなので、車椅子ではそもそも利用できません。
インフォメーションセンター付近から「くだもの工房」に向かうルートもアップダウンがあります。
「くだもの工房」よりも高い位置にある「花の広場」「ワイン噴水」周辺も、アップダウンがあり、車椅子での移動は簡単ではありません。
園内の広域が、きついアップダウン散策路でつながります。全般的に車椅子での散策には向かない公園です。
〇フルーツセンターなど上部エリア施設の状況
「フルーツセンター」は「物産館・売店」「足湯」「バーベキューセンター」、恋人の聖地などで構成されます。恋人の聖地は「新日本三大夜景」の地にも認定されています。
一般車用駐車場は道路を渡った先で、出入口にかなりの傾斜があります。空いている時なら利用しても問題のない大型車用駐車場は、高台寄りで坂の上です。どちらに停めても、少し距離があり、それなりの傾斜があり、一般車用駐車場からは道を渡ります。
「物産館・売店」は、基本的にバリアフリー構造で、車椅子での利用は可能ですが、出入口のドアは手動です。館内にバリアフリートイレがあります。
「足湯」は有料です。いわゆる足湯の構造なので、車椅子のままでの利用は出来ません。
「バーベキューセンター」は、段差がなく車椅子での利用は可能です。高台の吹きさらしの施設なので、冬季は休業です。
「横溝正史館」は、作家の書斎が移築され無料公開されている施設です。ほぼ同じ高さに駐車場があります。古い平屋の家でバリアフリーではありませんが、車椅子でお庭から外観を見学することはできます。
「やまなしフルーツ温泉ぷくぷく」は、エントランスと同じ高さに駐車場があります。さらに山の上にある「ほったらかし温泉」に比べれば、足が悪くても利用しやすい日帰り温泉です。とはいえ車椅子利用者のための特別な設備はありません。ワンフロア構造の段差の少ない日帰り温泉です。
段差箇所にはすべて迂回スロープがあるので、笛吹川フルーツ公園の屋外全域を車椅子で散策することは、出来ないことはありません。ただし距離があり、傾斜のあるルートなので、体力の範囲で無理のない散策にしてください。
(本稿は2021年4月に書き直しました)