東日本大震災では、地震や津波の一時的な被害を逃れたものの、その後の避難生活で体調を崩して亡くなられた方が、3,000名以上いたと推定されています。
その後国が主導して、各都道府県で社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、ホームヘルパー、看護師、保育士らで構成される「災害派遣福祉チーム」を編成し、平時から有事を想定した「ネットワーク会議」を開催し、災害が発生した場合は一時避難所で速やかな福祉支援活動を行う体制づくりが進められています。
災害派遣福祉チームは、「Disaster Care Assistance Team」の略称で「DCAT(ディーキャット)」または「 Disaster Welfare Assistance Team」の略称で「DWAT(ディーワット)」と呼ばれています。
2016年に発生した熊本地震では、各県から災害派遣福祉チームが現地に派遣され、避難所などでの支援を行いました。以後、各地で発生した災害に、チームが派遣されています。一般的に1チームは4~6名程度で構成され、一定期間で交代して活動を行います。
災害派遣福祉チームが現地で行う主な活動内容は以下です。
・福祉避難所等への誘導
・災害時要配慮者へのアセスメント
・日常生活上の支援
・相談支援
・一般避難所内の環境整備
・本部、都道府県との連絡調整、状況等の報告
・被災市区町村や避難所管理者との連携
・他職種との連携
・被災地域の社会福祉施設等との連携
・後続のチームへの引継ぎ
医療スタッフによる災害支援組織は「災害派遣医療チーム」で「Disaster Medical Assistance Team」その略称は「DMAT」です。「DMAT」は法的に整備された活動ですが、「DCAT」または「DWAT」は明確な法的根拠はありません。全国社会福祉協議会の調査によると、2020年8月時点で、31府県で災害派遣福祉チームが設置されているそうです。
地域の一時避難所に指定されていることが多いのが、公立の学校です。文部科学省の調査によると、2019年4月時点で、避難所に指定されている公立学校のバリアフリー状況は以下になります。
・スロープなどにより段差が解消されている校舎・・・・66.6%
・多目的トイレが設置された校舎・・・・・・・・・・・65.2%
・スロープなどにより段差が解消されている体育館・・・63.8%
・多目的トイレが設置された体育館・・・・・・・・・・37.3%
文部科学省では、2025年までに既存公立校のバリアフリー化を推進する方針で、実施計画を検討しています。
障がい者や高齢者、小児などの災害弱者支援のために、災害派遣福祉チームが組織され、避難施設のバリアフリー化が進められています。
(本稿は2020年9月に執筆しました)