ゆかしの杜 港区立郷土歴史館 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

東京都港区白金台に建つ、1938年に竣工した「公衆衛生院」の姿を残しながら、バリアフリー改修を行った複合施設です。2018年に改修工事が完了し、供用が始まりました。

施設全体の名称は「ゆかしの杜」で、港区の行政施設としては、がん在宅緩和ケア支援センターや保育所、学童クラブなどがあります。

そして一般来場者向けには、建物の内外観を鑑賞できる無料エリアと、有料施設「港区立郷土歴史館」があります。

戦前の名建築を車椅子で利用できます。現地の独特なバリアフリー状況を紹介します。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

白金台駅から徒歩1分の案内です。駅構内から地上行きエレベーターで上がると、「ゆかしの杜」入口の前に出ます。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

一般来場者用の駐車場はありませんが、身障者用駐車スペースは2台分用意されています。利用は予約制ではなく、直接現地に行き、その場で警備スタッフに利用を申告します。満車ではないかと心配な場合は、利用前に港区立郷土歴史館に電話連絡をすると、その時点の使用状況を確認していただけるそうです。目黒通りから左折で「ゆかしの杜」の入口内に車を進めて利用します。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

「ゆかしの杜」の建物への入口は、南エントランスと中央エントランス、2ヵ所あります。身障者用駐車スペースのすぐ横にあるのは、南エントランスです。

建物の内外観または港区立郷土歴史館を見学する場合の入口は、中央エントランスです。中央エントランスは階段構造のため、段差回避するロングスロープが用意されています。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

車椅子で建物外壁に沿ったスロープを進みます。決定的な段差は回避して、中央エントランスに入ることができます。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

有料施設である港区立郷土歴史館を見学する場合は、中央エントランス入口にある受付で観覧料を支払います。港区立郷土歴史館の観覧料の障がい者減免制度は、港区民の障がい者だけが対象です。港区民の障がい者は、障害者手帳の提示で、本人と介助者1名が無料に減免されます。

「ゆかしの杜」は1Fから6Fまでの構造で、中央エントランスは2Fです。2Fはフロア内に段差がある構造です。そのため、館内のどこに向かうにしても、車椅子では2F内で昇降機を利用しなければなりません。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

「ゆかしの杜」で採用された昇降機は、一般的な車椅子が1台搭載できる小さな昇降機です。介助者は同乗できません。昇降機の操作はスタッフが行います。中央エントランスから退館する場合も同じルートで、昇降機を利用します。

したがって昇降機に収まらないサイズの大型車椅子利用者や、昇降機稼働中に介助者が離れることが難しいタイプの障がいがある人は、「ゆかしの杜」館内の通常ルートでの利用は困難です。ただし昇降機を回避するルートはあります。

港区立郷土歴史館のバリアフリー状況です。郷土歴史館は2Fが特別展示室、3Fと4F に常設展示室があります。中央エントランスから昇降機で段差を回避した後のルートは、2Fから4Fまでエレベーターで問題なく上下階移動できます。

各階の展示場入口には、駅の自動改札のようなゲートがあり、通常は観覧チケットを入れてゲートを開けて入場します。今回取材時は、車椅子で行くと、各フロアのスタッフがリモコン操作でゲートを開けて下さいました。

各フロア内の展示室はすべてフラットな構造で、車椅子で移動できます。また車椅子で見難い気になる展示は、ほとんどありませんでした。

常設展示は、想像するよりもボリュームがあります。特に3Fは広く、すべての展示を丁寧に観覧すると、おそらく数時間はかかります。時間に余裕をもった観覧をお薦めします。

館内無料エリアの見学ルートです。2Fと3Fを吹き抜ける「中央ホール」は、それぞれのフロアで車椅子から見学できます。

3Fの「旧院長室・旧次長室」も、車椅子で見学できます。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

もっとも有名な見学ポイントである4Fの「旧講堂」は、郷土歴史館4Fからアクセスすると、手前に段差があり、昇降機で移動する必要があります。ここの昇降機も、2F中央エントランスと同じ、小型一人乗りタイプで、スタッフが操作します。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

「旧講堂」へは、南エントランスから入り、そのフロアにあるS2エレベーターを利用して4Fへ上がると、昇降機を利用せずに見学できます。逆のコースで言えば、郷土歴史館の4Fを見学して、昇降機で「旧講堂」へ下り、その横のS2エレベーターを利用して2Fの南エントランスに出ると、行きに利用した中央エントランス2F内の昇降機を利用せずに退館することができます。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

なお「コミュニケーションルーム」は、今回取材時はコロナ対策で休室でした。

バリアフリートイレの状況です。確認できた限りで、2F、3F、4Fに各一つバリアフリートイレがあります。写真は3Fのトイレで、ウォシュレット付き便器が備えられています。未確認ですが、おそらく他のフロアにも、車椅子で利用できるトイレがあると思われます。

ゆかしの杜 港区立郷土歴史館

段差構造の歴史的建造物の姿をそのまま残しながら、車椅子で利用できるバリアフリー改修が行われた希少な施設です。建物の見学は興味深く、郷土歴史館の展示は充実した内容、アクセスは抜群です。小型一人乗り昇降機が利用可能な車椅子利用者には、「ゆかしの杜」および「港区立郷土歴史館」はお薦めできる施設です。

東京都にある郷土歴史館を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年1月に執筆しました)

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

毎年恒例、朝香宮邸の魅力を紹介する「建物公開展」です。会期は2020年6月1日から9月27日までの予定。企画の正式名称は「建物をみる2020 東京モダン生活 東京都コレクションにみる1930年代」です。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

現東京都庭園美術館本館である朝香宮邸は1933年に竣工しました。建物と共に、その時代の東京を紹介する企画展です。

関東大震災が1923年。そこから復興した東京銀座を、モボ、モガが闊歩する写真などが展示されています。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

「東京都コレクションにみる1930年代」とサブタイトルにあるように、本展で展示される資料は、庭園美術館所蔵品以外は、ほとんどが東京都美術館、東京都現代美術館、東京都写真美術館、江戸東京博物館など、東京都の美術館、博物館が所蔵する1930年代を知る資料です。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

車椅子で観覧する手順と現地のバリアフリー状況を紹介します。

アクセスは目黒駅から徒歩7分、白金台駅から徒歩6分の案内です。

来館者用の有料駐車場があります。身体障害者手帳の交付を受けている人は、無料で利用できます。入口スタッフに手帳を提示して減免措置を受けてください。来館、駐車場利用とも、事前予約は必要ありません。

観覧料は障がい者減免制度があり、障害者手帳の提示で本人と介助者2名までが無料に減免されます。

本館入口は2カ所の段差があります。車椅子で来館すると、スタッフが簡易スロープを用意していただけます。2つのスロープを上がった先に受付があり、ここで障害者手帳を提示して入館手続きを行います。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

本展は「建物公開展」なので、朝香宮邸そのものを十分に見学できるコースになっています。ただし感染対策のため、3Fは非公開です。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

一般見学者は1Fを半分見学して階段で2Fへ上がり、階段で1Fへ下りてまた半分を見学します。車椅子利用者は1Fをすべて見学してから、外付けエレベーターで2Fへ上がります。2F内に1カ所段差箇所があり、車椅子で行くとスタッフが簡易スロープを用意していただけます。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

2F見学が終わると、簡易スロープで段差箇所を下り、エレベーターで1Fへ下り、新館に移動します。新館展示室では、1930年代の東京を紹介する展示が行われています。この展示の中台ショーケースの中に展示されている資料は、ケースの位置が高く、平面的に展示されているので、ケースの真上から鑑賞する必要があります。車椅子では鑑賞に苦戦します。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

2020年6月時点のコロナ対策として、本館1Fのウエルカムルームとその奥のバリアフリートイレは使用できません。バリアフリートイレは新館にあります。

新館の展示室Bは、空間が狭く密室構造のため使用されていません。

新館内のカフェとショップは営業しています。

東京都庭園美術館「東京モダン生活」展

年に一度の建物展「東京モダン生活」は、簡易スロープを合計6回通過しますが、車椅子でほぼすべてを観覧できる展示会です。

東京都庭園美術館の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ご参照ください。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

東京都港区白金台にある、加藤清正公を祀る日蓮宗の寺院です。「清正公堂」には段差解消スロープが設置されています。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド

アクセス方法です。白金台駅と白金高輪駅の中間付近でどちらからも400mほどの距離があります。

境内に接する目黒通りは坂道で、白金台駅方面からは下り坂、白金高輪駅方面からは上り坂になります。傾斜はそれほど強くはありませんが、距離があるので車椅子では少し苦労します。元気な介助がいると助かる坂道です。

境内に駐車スペースはありますが、一般参拝者用には開放されていないようです。近隣にコインパーキングは複数個所あります。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド

重々しい山門があります。以前は段差回避スロープがありましたが、今回参拝時はありませんでした。門の下には段差があるので、車椅子では通行できません。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド

正面からみて左側に、車両の出入口があります。車椅子ではそこから境内へ入ります。

境内はフラットな舗装路面です。中心となる清正公堂の参拝場所は3段の上。この段差を回避するスロープがあります。しっかりとした構造で緩やかな傾斜の使いやすいスロープです。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド

そして3段上の高さから、さらに社務所や堂内へ上がるスロープが伸びます。2つのスロープで段差回避するバリアフリー対策がとられています。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド

清正公堂の前、境内の中央部に浄行堂があり、その下に浄行菩薩が安置されています。周囲は石ころ路面に飛び石通路で囲まれた構造で、車椅子では近づきにくい路面です。ガタゴト路面に車椅子を乗り上げて、菩薩様を浄める必要があります。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド

山門の横に覺林寺の本堂、そして山手七福神の毘沙門天を祀るお堂と、お稲荷様のお堂があります。参拝所前に段差がありますが、小さな段差なので無理をすれば車椅子で乗り越えることができます。

白金の清正公 覺林寺 車椅子参拝ガイド

白金の清正公は、スロープを上がり車椅子で清正公堂にお参りが出来ます。

近隣にある歴史的建造物「公衆衛生院」を活用した複合施設「ゆかしの杜」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2020年5月に執筆しました)